不動産営業マンの多くは、住宅ローンの知識が営業で必要なことを日々感じていると思います。
一般的な住宅ローンはそれほど難しくないですが、住み替えの住宅ローンとなると少し複雑になります。
経験が浅い営業マンはもちろんですが、ベテランでもあまり把握できていない営業マンがいるのも事実です。
この記事では、住み替えする際の住宅ローンの種類や内容、どのようなケースで利用するかなどを解説していきます。
この記事を読むことで、住宅ローンの知識が深まり、他の営業マンと差別化することができるため、ぜひ今後の参考にしてください。
1.住み替えする場合の住宅ローン
買い替えする際の住宅ローンは以下があります。
- ダブルローン
- 住み替えローン(買い替えローン、又は、差損ローン)
1つずつ見ていきましょう。
(1)ダブル(二重)ローン
ダブルローンとは、既存の住宅ローンを残したまま、もう1本の住宅ローンを組むことです。
基本的に住宅ローンは1本しか組めませんが、返済比率に2本目の住宅ローンが収まっていれば、融資の実行を受けることが可能です。
また、旧居を売却することを前提条件(半年以内or1年以内)でダブルローンを組むことが可能です。
みずほ銀行や横浜銀行、千葉銀行の一部の銀行では、一定の期間内に売却を行うことを前提に、ダブルローンを実行してくれたりします。
ただし、全てのお客様がダブルローンを利用できるわけではありません。
ダブルローンは、毎月の支払い額が増えるため、通常の住宅ローンと比べて審査が通りにくくなることがあります。
そのため、ダブルローンを利用するには、返済比率や年齢などの借入れ条件をクリアすることが前提となります。
①ダブルローンを利用した方がいいケース
次にダブルローンを利用した方がいいケースを見ていきましょう。
以下のような要望がお客様からあれば、ダブルローンを提案しましょう。
- 先に購入を進めたい
- 仮住まいをしたくない
- 引っ越し後に売り出したい
それでは1つずつ見ていきましょう。
先に購入を進めたい
売却を先に進めようとすると、なかなか購入物件を押さえることができません。
せっかく良い物件が売りに出ても、購入のチャンスを逃してしまいます。
市場に出ている物件は、いつ売れるかわからないことは皆さんもよくご存知だと思います。
ダブルローンであれば、先に購入できるので、良い物件が売りに出た時に即行動できます。
仮住まいをしたくない
引っ越してから売却することもできるため、仮住まいの必要がなくなります。
引越しは意外に気力や体力を使うため、何回もしたくないと考えるお客様が多いです。
旧居と新居の売買を同時にする必要もなく、スケジュールも調整しやすくなります。
引っ越し後に売り出したい
引っ越ししてから売却を進めることができるため、居住中の部屋を見られることもありません。
また、内覧希望が入った時の内覧立ち会いの必要もなくなるので、お客様の手間も減らすことができます。
②ダブルローンの注意点
ダブルローンは、旧居が売れていなくても組むことができますが、旧居がいつ売れるかわかりません。
なかなか売れず、ダブルローンが長く続くリスクも考えられます。
また、ダブルローン後に売却したら残債分より安くなってしまう可能性も0ではありません。
その点はお客様にしっかり伝えるとともに、根拠のある査定価格と合わせて、実際の買取価格も合わせて提案すると良いでしょう。
③ダブルローン可能な年収がない場合(返済比率不算入・媒介契約書が必須)
ソニー銀行、フラット35であれば、既存の住宅ローンがソニー銀行、フラット35以外であることを条件に、現在の残債を返済比率に参入せずにダブルローンを組むことができます。
通常のダブルローンでは返済比率が合わず諦めているお客様でも、ソニー銀行・フラット35であれば利用できる可能性があります。
通常のダブルローンでは返済比率が合わないお客様がいる場合は提案してみましょう。
詳細は以下をご覧ください。
参照:住宅支援機構ホームページ
https://www.flat35.com/topics/topics_20200131_1.html
(2)住み替えローン(買い替えローン、又は、差損ローン)
住み替えローンとは、旧居の売却額でローンが完済できない残債額を新居の住宅ローンと合わせて組むことができるローンです。
例えば、旧居を売却しても200万円残債がある場合、新居の住宅ローンと残債額200万円を1本にまとめて借入れすることができます。
ダブルローンとは違い、ローン自体は1本になります。
ローンが1本になるため、旧居と新居の引き渡し手続きは同日で行う必要があることもダブルローンとは違う点です。
①住み替えローンを利用した方がいいケース
次に住み替えローンを利用した方がいいケースを見ていきましょう。
以下のような要望がお客様からあれば、住み替えローンを提案しましょう。
・ダブルローンは避けたい
それでは1つずつ見ていきましょう。
売却しても残債があるけど新居を購入したい
売却後に残債がある場合でも、新居を購入できるのが住み替えローンの一番のメリットです。
お客様の中には、売却しようとしても完済できないケースは珍しくありません。
それでもさまざまな理由で住み替えを希望される方はいらっしゃいます。
そのようなお客様へ提案してみましょう。
ダブルローンは避けたい
ローン自体は新居を購入する金融機関で1本にまとめるため、ダブルローンにはなりません。
どうしてもダブルローンは避けたいと考えているお客様へは住み替えローンを提案してみてください。
②住み替えローンの注意点
住み替えローンは、売却と購入を同時並行で進める必要があるため、契約や引き渡し手続きの調整が難しくなります。
特に引き渡し日は同日にしなければいけません。
できる限り早いタイミングで引き渡しの日時調整しておくことをおすすめします。
まとめ
先に購入が可能なお客様は、先に購入を促すのが吉です。
売却活動は思った以上に、時間・労力を要します。
私も自身の住み替え経験から、売却の労力を体験しています。
たしかに、売却を先に行い資金計画を確定してから、購入するのは「安心・安全」という観点から魅力があります。
しかし、お客様が欲しいと言っている物件は、きっと「あっという間」に成約になってしまいます。
ダブルローン・住み替えローンが、最適な提案であるケースも多いので、適切な提案が行えるような知識・準備を行っておくと良いです。
提案の選択肢の数が営業力です。
ぜひ知識として知っておいて欲しいローン付けの内容です。
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