コロナ禍の巣ごもりの影響で不動産会社がプロモーションを見直す中、利用実績が2020年に飛躍的に高まったYouTubeなどの動画プラットフォームの活用が改めて注目されています。
YouTubeは、2020年9月実績で月間利用者数が6,500万人、中でもテレビでの視聴者数が前年比で2倍になるなど、利用実績が大幅に伸びています。
とりわけ不動産は、動画メディアとの相性が比較的良いこともあり、物件・スタッフ紹介などで動画が活用されるケースが散見されますが、成果に結び付けられずに止めてしまうといったケースも多いようです。
この記事では、利用が広がるYouTubeなどの動画メディアを不動産会社・物件のプロモーションにどのように活用すべきかを検証・分析してみたいと思います。
ユーザーの動画利用の傾向を知り、興味を持ってもらえる動画をどのようにして作成するかについて理解を深めていきましょう。
【1】日常生活に深く入り込んだ動画共有サイト「YouTube」
コロナ禍で外出自粛が続いていることもあり、動画配信・共有サービスは軒並み利用者が増加しています。
特にYouTubeは以下のアンケート結果からも分かるように、数ある動画関連サービスの中でも幅広い認知・利用実績を獲得しています。
※他のオンラインプラットフォーム平均の3倍以上
■テレビ画面でのYouTube視聴数:1,500万人(2020年6月)※前年同月比で2倍以上
■テレビ画面でYouTubeを視聴する人で、リビングで見ると回答した人「65%以上」
■テレビ画面でYouTubeを視聴する人のうち、家族・パートナー、友人らと一緒に視聴すると回答した人「50%」
■他のオンラインプラットフォームと比較してYouTubeは「なくなったら最も寂しいプラットフォーム」1位(18歳〜64歳)
※データ引用:Think with Google「月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態」
YouTubeが他の動画関連サービスと異なるのは、スマートTVなどの普及によってリビングで日常的に家族や友人などと視聴する機会が多く、そのため幅広い世代から支持されている点にあると言えるでしょう。
【2】視聴が多いコンテンツの特徴とは?
①「ハウツー動画」の再生数が伸びる傾向
不動産のプロモーションにおいて無視することができなくなりつつあるYouTubeを始めとする動画メディアですが、具体的にはどういった内容の動画で訴求すれば良いのでしょうか。
コロナ禍で動画の視聴数・再生数が大幅に伸びましたが、その内訳を見ると、エクササイズやガーデニングなど、自宅で何かを行う上で参考になる動画の視聴が伸びる傾向にあります。
(※2020年1月1日〜3月14日と3月15日〜5月31日を比較)
■家庭菜園に関する動画の日本での平均視聴回数:400%以上増加
(※2020年1月1日〜3月14日と3月15日〜5月31日を比較)
■料理に関する動画の視聴:50億回以上視聴
(※2020年1月1日〜10月1日)
※データ引用:Think with Google「月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態」
コロナ禍の自粛期間に「ステイホームで楽しく・有意義に過ごしたい」というユーザーの課題を解決する動画に注目が集まった結果と言えそうです。
②広告が含まれていても興味があれば動画を視聴したい
以下の表1・2は、投稿された動画コンテンツが広告だった場合について聞いたものです。
【表1】YouTuberの投稿するPR案件動画についてどう思いますか?
女性20代 | 女性30代 | 女性40代 | 男性20代 | 男性30代 | 男性40代 | |
コンテンツが良ければ見る | 69% | 47% | 56% | 60% | 56% | 64% |
案件動画だと分かった時点で動画を見るのを辞める | 15% | 28% | 22% | 23% | 23% | 20% |
どれが案件動画なのかわからない | 16% | 25% | 22% | 15% | 20% | 15% |
その他 | 0% | 0% | 0% | 1% | 1% | 0% |
引用:(株)GLAPentertainment「YouTubeと動画視聴に関するユーザーアンケート調査」
※背景色赤は各回答で最も回答率が高かった女性の年代、背景色青は各回答で最も回答率が高かった男性の年代視聴した動画が広告だった場合、いずれの世代・性別においても約半数程度が「コンテンツが良ければ見る」と回答しています。
特に女性20代と男性40代でこの傾向が強いことが特徴です。
【表2】YouTuberの投稿するPR案件動画についてどう思いますか?(Q1で「コンテンツが良ければ見る」と回答した人が対象、回答率上位5項目を抜粋)
女性 | 男性 | |
YouTuberの普段の動画に近い内容なら見たい | 52% | 56% |
自分の気になっていた商品・テーマについてなら見たい | 50% | 51% |
本当に使用しているものの紹介なら見たい | 44% | 35% |
PR以外にも役立つ情報があるなら見たい | 31% | 28% |
紹介する商品/サービスに興味が持てれば見たい | 30% | 30% |
引用:(株)GLAPentertainment「YouTubeと動画視聴に関するユーザーアンケート調査」
広告を含んだ動画について、男女ともに過半数が「YouTuberの普段の動画に近い内容なら見たい」「自分の気になっていた商品・テーマについてなら見たい」と回答しています。
広告色が強いコンテンツは敬遠される傾向にあり、特に動画広告の場合は「スキップ」されることが大半となりますが、YouTubeであれば、ユーザーと動画制作者との関係性、動画の内容・テーマ次第では、十分な訴求を図れる結果と言えるでしょう。
商品と動画視聴者層をマッチングさせ、定期的にコンテンツを掲載してユーザーとの関係性を築くことで、広告を含んだ動画であっても興味・関心を持って視聴してもらえるようです。
【3】動画を活用した不動産集客のポイント
ここまで、YouTubeなどの動画メディアについて、ユーザーの動画視聴の傾向などを中心に検証・分析してきました。
ポイントは以下の通りです。
①コロナ禍で動画共有サービスの利用者が増加し、特にYouTubeは利用者数だけでなく、認知においても幅広い世代で浸透している
②日常生活のちょっとした困りごとや悩み事を解決するハウツー動画の再生が伸びる傾向にある
③ユーザーは、コンテンツの内容・発信者との関係性で広告を含んだ動画を視聴するかしないかを決めている
これらを踏まえると、不動産業者としての専門性を活かし、住宅・暮らし関連の課題に対して動画でソリューション提案を行うコンテンツであれば、ユーザーに広く受け入れられる可能性を高めることができそうです。
住宅・暮らしのアドバイザーとして、例えば「DIYリノベーションの施工事例」、「おすすめ住宅設備とメンテナンスの方法」などを紹介する動画であれば、ユーザーとの関係性を構築しやすいのではないでしょうか。
不動産会社における動画マーケティングの成功事例では、そういった動画に登場した担当者の指名問い合わせが増加する、かつその成約率が高いといった実績も上がっているようです。
コロナ禍の巣ごもりで大幅に利用者を伸ばしたyoutubeですが、5Gが今後進展していくこと、今後もコロナ以前のような対面型営業が当面は難しい状況を踏まえると、動画マーケティングの重要性がさらに高まっていくものと思われます。