不動産仲介の仕事をされている皆様が、お客様から借地権の更新について相談を受けた場合に、気を付けるポイントをまとめてみました。
借地権の更新には2種類ある
借地権の更新は、大別すると以下の2種類に分けられます。
- 「合意更新」
- 「法定更新」
それぞれの特徴をこれから説明して参ります。
合意更新について
借地契約は「更新」が可能
前提として、旧借地法で借地契約をしている場合と新法の借地借家法での普通借地契約の場合、契約締結時に定めた期間満了後も契約の更新を行い、借地契約を継続することができます。
この際、地主は借地権者に更新料の支払いを請求することが多く、その相場は借地権価格の3%〜5%、更地価格の2%〜4%と言われています。しかし、実際には土地の広さや借地権者の支払い能力によってもその金額は左右されます。
また、更新の際には更新料の支払いだけではなく、それまでの契約内容に不備や不満があればその点についても話し合いを行い、双方が合意すれば契約内容を変更する場合も有ります。
特に地代に関しては、長い契約期間中の経済環境の変化に合わせ、更新のタイミングで見直しが行われることが多く見受けられます。
このように、双方がその内容を合意した上で行う更新を「合意更新」といいます。
合意更新のメリット
多くのケースにおいて、借地権者が更新料を支払った上で合意更新をしています。ちなみに土地賃貸借契約の中で更新料の定めがない場合、支払いの義務はありません。しかしながら、今後の地主との長期間に渡る関係を考えると、払うことの意義について考えておいた方がいいと言えます。
なぜなら借地においては、建物の建て替えや条件の変更、借地権の譲渡等、借地権者は地主の承諾を得る場面が出てきます。その際、地主と良好な関係が築けていれば円滑に済むことも多いと思われます。地主にもよりますが、親子間の譲渡であれば承諾料を免除してもらえる場合もあります。
借地契約も契約ごとですから、契約者同士の合意で決まります。契約が続く以上、地主と借地権者は切っても切れない縁の相手となります。そして、その相手との人間関係を良好なものにできることが、合意更新の最大のメリットなのです。
法定更新とは
更新料を支払わなくても更新は行われる
更新料の支払いや更新についての話し合いを一切行わなくても、借地権者が更新を請求し、その借地上に建物がある場合には自動的に更新が行われます。これは旧借地法・借地借家法両方で「自動更新の原則」として定められており、これによってなされる更新を「法定更新」と定義しています。
法定更新をした場合、契約内容は賃貸借期間を除き更新前と同一の条件が適用されます。
そして、賃貸借期間については、旧借地法においては、堅固建物は30年、堅固建物以外については20年となり、借地借家法においては、最初の更新の時は20年、その後は10年になります。
なお、契約締結時に「更新料の支払いに関する特約」がなされている場合には、更新料の支払いは義務であるという考え方に変わります。この場合に更新料の支払いを怠ると、状況によっては契約の解除が認められてしまうこともあるので注意しましょう。
法定更新のデメリット
地主と話し合いをし、お互いが合意をした上で契約の更新をするためには少なくない労力が必要になることも考えられます。その手間を掛けずとも、法定更新という形で契約が更新されるのであれば、それで良いと考える借地権者も中にはいるかもしれません。
しかし、法定更新にはリスクがあることを理解しておくべきです。なぜなら、借地契約は長期に渡るものですから、借地権者から地主に依頼をしなければならないことが将来出てくることでしょう。建て替えや譲渡、それに契約条件変更の承諾がこれに当たります。
更新時に誠意を示さなかった借地権者に対して、地主が快く承諾することは期待できないと思われます。地主には借地権者の要求に対して、「承諾をしない」という対抗手段があります。一方、借地権者にも「借地非訟を通じて裁判所に地主に代わる承諾を求める手段」が認められていますが、時間と費用がかかるため、地主に長期戦を覚悟で構えられてしまうと相当面倒なことになります。
また、争った結果、承諾を得られたとしても過去の経緯やこれまでの関係性が考慮されるため、相場より高い承諾料を請求されることも十分考えられます。裁判所もこれまでの過程を考慮した上で裁定を出すためです。
このようなリスクも考慮しておく必要があります。
まとめ
以上が、更新の種類と気を付ける点についての説明になります。
上記を十分理解した上で、どういう戦略を取るのが良いのかをお客様と話し合う必要があります。