底地権者が国である借地はどう対応すべきか

不動産売買の仕事をしていると、中古一戸建でも建物所有者が個人なのに、底地所有者が国であるという物件に出会うことがまれにあります。

それぞれの物件がなぜそのような状態になったのかはわかりませんが、おそらく多いのは元の底地所有者に相続が発生して、その底地が物納されてしまったパターンだと思われます。

このような土地について、借地権者から相談を受けた場合、どのような提案をしたらいいのでしょうか?

考えられる選択肢を挙げたうえで、それらが現実的なものかどうかについて検討してみましょう。

【借地人が検討できる今後の選択肢】

では、5つの選択肢についてそれぞれ説明してまいります。

1. 借地権を国(底地の所有者)に売却する

1つ目の選択肢に挙げましたが、残念ながら国は所有する底地上の借地権は購入しません。

個人が底地の所有者の場合には借地権を買い戻したいということが多いのですが、国は借地権を購入して所有権土地にしようとはしません。

ですから、借地人は、借地権を底地の所有者である国に売却することはできません。

2. 借地権を第三者に売却する

借地人が底地の所有者である国の承諾を得て、借地権を第三者に売却することはできます。

この場合、借地契約条項に従い、譲渡承諾料を国に支払うことになる可能性がありますのでよく確認しましょう。

3. 底地を国から購入する

これは1つ目と逆のパターンですが、方向性としては国が求めているパターンです。

財務局のHPには「物納財産等で借地権等の権利が付着した財産については、当該権利者に直接売却することが可能です」とあります。

利用している借地の権利者に底地を売却すれは、借地人は所有権者になれますし、国としても理想的な方策だと考えられます。

4. 借地権を第三者に売却すると同時に、国にも当該第三者に底地を売却してもらう

上記2.と3.の合体バージョンですが、第三者が国の底地売却条件に合意した場合には、「当該第三者への借地人と国による借地・底地の同時売却」を行うことができます。

この場合、国の底地売買契約に付す条件がありますので、事前に調査をし十分に理解するようにしてください。その要旨は下記の通りです。

1)公序良俗に反する使用等の禁止

買受者は売買契約から10年間、公序良俗に反する団体のために利用したり、それらに所有権移転をしたりしてはならない。

2)実施調査

国は上記1)についての履行調査をし、また、そのときに買受者に協力を求めることがある。

買受者はこれに協力しなければならない。

3)違約金

買受者は上記に違反したときは違約金を支払わなければならない。

4)国有地についての売買代金の支払い方法は2つ

・売買契約締結時に全額

・売買契約締結時に代金の10%以上を保証金として支払い、契約日を含めて20日以内に残額を支払う。

5)所有権移転

国有地の所有権は、売買代金全額支払い時に移転。

移転登記手続きは国が行う。

5. 借地契約を継続する

5つ目に挙げましたが、一番簡単なのは現状のまま借地の契約を継続することでしょう。

ご自身が借地人であればその契約内容は熟知されていると思いますが、相続等で借地人になった場合にはその契約内容の精査を速やかに行いましょう。

その借地権は旧法なのか新法なのか、契約期間・地代等々を確認したうえで判断しましょう。

相続等で借地名義人が替わるのでしたら、その通知とともに借地条件の変更交渉もすべきかもしれません。

契約書等を熟読して検討しましょう。

それぞれの具体的な案件については、財務省の所管財務局の窓口でお尋ねください。

時間的にも余裕をもって打合せをされることをお勧めします。

まとめ

また、借地・底地に関すること、不動産の売買に関することで何か悩まれた際には、遠慮なく私共にご相談ください。

各分野の専門家とチームを組んで解決に当たらせていただきます。

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