【ローン代行手数料】の請求は合法か?

先日、筆者のもとに以前からお付き合いのあるクライアントから「住宅ローン代行手数料なる名目で税別¥100,000円の費用が計上されていたのだが、支払う必要があるのか?」と問い合わせが寄せられました。

少額投資の物件を個人名義で購入しようとしたところ、予め作成された諸費用明細に計上されていた項目を不審に思い、担当者に確認をしても言い逃れのような説明に終始しているだけで要領を得ず「仲介手数料は正規で支払うが、この代行手数料の根拠を明確に教えて欲しい」と問い詰めても「当社の規定でして……」というばかりで埒が明かなかったそうです。

結論からいえば名目をどのように変えても、融資の取り扱いに関して仲介手数料以外に別途請求することはできません。

ですから、上記の相談に関しても「支払う必要性はありません」と回答しました。

とはいえ筆者も、勤め人時代には会社で規定されていたことから疑問を持たずローン事務手数料との名目で請求していました。

考えてみれば、根拠のない費用を会社に命じられるまま請求していたことについて後悔しています。

今回はこのような仲介手数料以外に請求されている融資手数料が、場合により罰則の対象とされる理由について解説します。

住宅ローンの斡旋は不動産業者の義務?

ネット全盛時代ですから、融資に関する知識がなくても顧客は自らネットで申し込みできます。

ですが住宅ローンは、個人が頻繁に利用するものではありませんから、住宅購入者が一度限りとして利用される場合も多く、そのため金利や団信などの諸条件を比較検討し、返済負担率や勤務先属性まで勘案し、最適な申し込み先を検討するのは難しいものです。

そのような状態であることから、問題が生じないようサポートの役割を担っているのが不動産営業だといえるでしょう。

ですが融資に関する知識も、営業個人で差があるものですし、金融機関の担当者がマメに通ってきてくれることから、「楽」だという理由で特定の金融機関ばかりに融資を持ち込むのはよくある話です。

ですが審査基準や承認額は金融機関それぞれですから、A銀行とB銀行は減額承認でも、C銀行で満額承認されるなどのケースもあり、返済負担率など様々な要因により融資の取り付けが困難であると予測される場合には、楽だからと特定の金融機関にばかり持ち込むわけにはいきません。

融資に関しての知識が豊富で、各金融機関における審査基準の違いを理解している営業マンは狙いすましたように申込先を選択し、顧客に対しても、なぜその融資先を斡旋(あっせん)するかを説明し、実際にかなりの確率で希望する金額の承認を取り付けます。

融資が承認されなければ、せっかく契約をしてもタダ働きになってしまいますから当然の業務ですが、本音を言えば面倒な作業です。

ですが割愛することはできません。

融資手続きは専門的な部分が多く、一般消費者にとって容易に取り扱えるものではないとの考えかたから、説明や助言は法的な義務と解されているからです。

重要事項説明書には「金銭の貸借の斡旋(あっせん)」についての項目が設けられています。

国土交通省の「宅建業法の解釈・運用の考えかた」によれば、「顧客の求めに応じ金融機関との交渉に介入する場合」「斡旋(あっせん)」の状態と定義しています。

この定義から解釈すれば、顧客が自ら融資先を検討し申込みを行う場合においては適切な助言を省略し、また申込みの内容や不成立の場合の措置についての説明を割愛しても義務違反とならないと考えられます。

ですが実際には購入者を保護する規定として説明が行われ、少なからず助言やサポート、もしくは代理して申込みを行っているのが現状です。

とくに共同仲介の場合には、顧客が自ら融資を申し込む場合においても買側業者として売主側の業者に対し、融資の進捗状況等や決済時期の目処などの情報を開示して日程調整が必要とされますから「当社は融資のあっせんに関与していないので、状況がよく分かりません」なんて話をすることはできません。

結局のところ、大なり小なり融資に関しては労力を使うことになるのですから、合法であれば融資取り組みに関する費用を、仲介手数料と別に請求したくなるのは致し方がないでしょう。

国交省の見解は?

このような融資手数料の可否については過去に数多くの不動産業者が、管轄省である国土交通省に法令照会を行なっています。

つまり、融資手数料は請求できるか「否」かについての問い合わせです。

過去に筆者も同様の照会を行ったことがあります。

結果は……。

「業務の内容次第」または「態様によって」宅建業法による「処分がなされる可能性がある」と判断が示されています。

この場合における処分とは、業務停止と免許取り消しを指しています。

筆者の経験も含めてですが、同様の照会を行った不動産業者から公開されている情報を見ると国土交通省の見解は一致しています。

一応は内容や態様の状況を精査して処分を下すとされていますが、ニュアンスとしては問答無用で処分対象にするといった意向が見え隠れしています。

つまり融資の斡旋(あっせん)は宅地建物取引業上の報酬に含まれると判断されているのです。

逃げ道として、名目を変えて徴収すればどうなのかと考えがちですが、そうはいきません。

「報酬とは別に広告料・案内料・登録料・コンサルタント料などの名称を用いても、その業務内容が通常の媒介業務に付随する内容であり、それらを超えるものではないときは、名目の如何を問わず媒介報酬と別に金員を受領することはできない」と実務上で解釈されているからです。

どうしてもというなら、貸金業の免許を取得する方法はあるが……

最近では住宅ローンの融資斡旋(あっせん)を専業とする会社が業績を伸ばしています。

顧客への説明や最適な融資申込先の検討、さらには金融機関との交渉には労力が必要ですし、説明をおこなう営業マンに対して融資に関する知識を学ばせるのにも時間が必要です。

様々な申込先による条件の違いを検討してから、納得のいく金融機関を選びたいという一般消費者のニーズと、ローン事務費などの名目で報酬を得るわけにもいかないのなら、いっそ外注してしまった方が余計な手間を省くことができると考える業者を中心として利用者が拡大しているのでしょう。

不動産業者は融資に関連する業務の一切を外注すれば、その分、営業に専念できます。

むろん、融資斡旋業者は有料です。

業者により費用はマチマチでしょうが、¥100,000/件~が相場のようです。

この場合、融資手数料を徴収しても前述した貸金業登録事業者である斡旋業者に支払う費用にあてるのですから宅建業法に違反することはありません。

ですが、どうしても自ら費用を請求したいのであれば貸金業登録事業者もしくは貸金業登録事業者の代理店になる方法があります。

貸金業法第2条第1項で「金銭の貸借の媒介」を行えるのは貸金業登録事業者とされていますから、自社が登録事業者になれば貸金業法に基づき「融資事務手数料等」を請求することができます。

もっとも不動産業者である私達の業務形態を考えれば、あまり現実的とはいえないでしょう。

まとめ

今回は、融資斡旋(あっせん)にかんする手数料の是非について解説しました。

記事を読めば分かるように、融資事務手数料・斡旋手数料・取引費用など名目をどのようにしても、融資に関する斡旋手数料を請求することはできません(貸金業登録事業者になる例外を除き)

ところが実際には、件数まで把握できないものの、冒頭であげた事例のように様々な名目で費用が請求されていることがあるようです。

先日、某不動産業者の代表から聞いた話によると、会社が指示をしていない斡旋手数料を請求して個人の利益としていた営業マンの存在が発覚し処分したとのこと。

面倒な業務であることには違いないのですから、少しでも利益としたいという気持ちは理解できます。

ですがさほど高額でもない費用の請求により、処分が下されては割に合いません。

融資斡旋の費用は請求できないと理解して、どのように融資に関する労力を軽減するか検討するほうが前向きな考えであると言えるでしょう。

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