【宅建業】知事免許と大臣免許の違いを徹底比較|申請先・審査期間・費用まとめ

【宅建業】知事免許と大臣免許の違いを徹底比較|申請先・審査期間・費用まとめ

不動産会社を開業する際に避けて通れないのが、宅地建物取引業免許(宅建業免許)の取得です。

宅建業免許は「都道府県知事免許」と「国土交通大臣免許」の2種類に区分されており、どちらを取得すべきかは事務所をどこに設置するかによって決まります。

本記事では、知事免許と大臣免許の違いを比較表付きでわかりやすく解説し、申請手数料や審査期間、営業保証金、免許換えの手続きまで、開業前に知っておくべきポイントを網羅的にまとめました。

【結論】知事免許と大臣免許の違いは「事務所の所在地」で決まる

まず結論からお伝えすると、知事免許と大臣免許の違いは以下の1点に集約されます。

  • 1つの都道府県内にのみ事務所がある → 知事免許
  • 2つ以上の都道府県にまたがって事務所がある → 大臣免許

取り扱える物件の金額や業務範囲に差はなく、事務所の配置によって管轄行政庁が分かれているだけです。

知事免許
東京都
🏢🏢🏢
同一都道府県内のみ
1つの都道府県内のみに事務所
大臣免許
東京都
🏢
埼玉県
🏢
2つ以上の都道府県にまたがる
違いは「事務所が1都道府県内か、複数都道府県にまたがるか」のみ
※取り扱える物件や業務範囲に差はありません

知事免許と大臣免許の比較表

項目都道府県知事免許国土交通大臣免許
事務所の所在地1つの都道府県内のみ2つ以上の都道府県にまたがる
申請先・管轄各都道府県知事(住宅政策課等)国土交通大臣(主たる事務所を管轄する地方整備局)
審査期間(新規)約30〜40日約100日
申請手数料(新規)33,000円(収入証紙)90,000円(登録免許税)
更新時の手数料33,000円(収入印紙)33,000円(収入印紙)
有効期間5年5年
営業保証金(本店)1,000万円1,000万円
営業保証金(支店1店ごと)500万円500万円
保証協会加入時の分担金(本店)60万円60万円
保証協会加入時の分担金(支店1店ごと)30万円30万円

申請手数料・審査期間は国土交通省および各自治体の公表情報に基づきます。

【参考データ】知事免許と大臣免許の業者数(最新統計)

国土交通省が公表した「令和5年度 宅地建物取引業法の施行状況調査」によると、2024年3月末時点の宅建業者数は以下のとおりです。

免許区分業者数前年度比
大臣免許3,047業者+4.3%
知事免許127,536業者+0.7%
合計130,583業者+0.8%

全体の業者数は10年連続で増加しており、13万業者台に乗ったのは2006年以来17年ぶりとなりました。

2024年3月末時点
全国の宅地建物取引業者数
合計
130,583
業者
知事免許 97.7%
127,536 業者
大臣免許 2.3%
3,047 業者
出典:国土交通省「令和5年度 宅地建物取引業法の施行状況調査」
知事免許が全体の約98%を占める(大臣免許は全体の約2.3%のみ)

内訳を見ると、知事免許が全体の約98%を占めており、圧倒的に知事免許業者が多いことがわかります。

これは、多くの不動産会社が1つの都道府県内で事業を展開しているためです。

都道府県知事免許とは?

都道府県知事免許は、1つの都道府県内にのみ事務所を設置して宅建業を営む場合に必要な免許です。

  • 申請先:主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事
  • 審査期間:約30〜40日
  • 申請手数料:33,000円(収入証紙)

知事免許が必要なケースの例

例① 東京都内に本店のみを設置する場合

  • 本店:渋谷区
  • 東京都知事免許

例② 大阪府内に本店のみを設置する場合

  • 本店:大阪市
  • 大阪府知事免許

例③ 同一都道府県内に複数の事務所を設置する場合

  • 本店:渋谷区(東京都)
  • 支店①:新宿区(東京都)
  • 支店②:千代田区(東京都)
  • 東京都知事免許(1つの都道府県内で完結しているため)

同一都道府県内であれば、支店が何店舗あっても知事免許で対応可能です。

国土交通大臣免許とは?

国土交通大臣免許は、2つ以上の都道府県にまたがって事務所を設置して宅建業を営む場合に必要な免許です。

  • 申請先:主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局等
  • 審査期間:おおむね100日程度
  • 申請手数料:90,000円(登録免許税)

大臣免許が必要なケースの例

例① 本店と支店が別の都道府県にある場合

  • 本店:渋谷区(東京都)
  • 支店:さいたま市(埼玉県)
  • 国土交通大臣免許

例② 3つ以上の都道府県にまたがる場合

  • 本店:渋谷区(東京都)
  • 支店①:さいたま市(埼玉県)
  • 支店②:横浜市(神奈川県)
  • 国土交通大臣免許

ポイントは「事務所の数」ではなく「都道府県をまたぐかどうか」です。

事務所が2つしかなくても、それが別の都道府県に設置されていれば大臣免許が必要となります。

知事免許と大臣免許で差がない項目

よく誤解されがちですが、知事免許と大臣免許では以下の項目に違いはありません

  • 取り扱える物件の金額
  • 業務範囲(全国の物件を取り扱える点は同じ)
  • 有効期間(どちらも5年)
  • 営業保証金の額(本店1,000万円・支店500万円)
  • 保証協会加入時の分担金(本店60万円・支店30万円)
  • 専任の宅地建物取引士の設置義務(業務に従事する者5名に1名以上)

つまり、大臣免許のほうが「格上」というわけではなく、あくまで管轄行政庁が異なるだけと理解しておきましょう。

開業時は知事免許からのスタートが一般的

不動産業を新規で開業する場合、まず知事免許を取得してスタートするケースが大半です。

知事免許からスタートする3つの理由

①審査期間が短い

知事免許は約30〜40日で交付されますが、大臣免許は約100日かかります。営業開始までのロスを最小化できます。

②申請手数料が安い

知事免許は33,000円、大臣免許は90,000円と約3倍の差があります。

③拡大フェーズに合わせて免許換えが可能

事業拡大に伴い他都道府県に支店を出す段階で、「免許換え」の手続きにより大臣免許へ切り替えられます。

大臣免許で新規に開業しようとすると、準備期間を含めて営業開始まで3〜4ヶ月を要します。本店・支店の空家賃も発生するため、まず知事免許で本店を立ち上げ、その後大臣免許へ切り替えるのが効率的です。

知事免許から大臣免許への「免許換え」とは?

事業拡大により他の都道府県に事務所を設置することになった場合、免許換えの手続きが必要になります。

免許換えが必要となる主なケース

ケース変更内容免許換えの方向
他県に支店を新設1都道府県 → 2都道府県以上知事免許 → 大臣免許
本店を他県へ移転A県のみ → B県のみA県知事 → B県知事
他県の支店を廃止2都道府県以上 → 1都道府県大臣免許 → 知事免許

免許換えの注意点

  • 手続きは現在の免許の有効期間内に行う必要があります。
  • 免許換えにより新たに免許を受けた場合、現在の免許は自動的に失効します。
  • 新規申請と同じ手続き・手数料が必要です(大臣免許への切替は登録免許税90,000円)。
  • 大臣免許に切り替わると免許番号の更新回数は(1)にリセットされます。
  • 保証協会に加入している場合は、新設支店分の分担金30万円の追加納付が必要です。

免許換えの審査中であっても、本店は従来の免許に基づき営業を継続できます。ただし、従たる事務所(支店)は新たな免許が交付されるまで営業を開始できない点に注意が必要です。

宅建業免許の取得までの流れ

知事免許・大臣免許のいずれの場合も、基本的な流れは共通です。

  1. 事前準備(事務所の確保・専任取引士の選任・役員体制の整備)
  2. 申請書類の作成・提出(都道府県または地方整備局へ)
  3. 行政庁による審査(知事:約30〜40日/大臣:約100日)
  4. 免許通知の受領
  5. 営業保証金の供託 または 保証協会への加入
  6. 供託済届出書の提出
  7. 免許証の交付
  8. 営業開始

営業開始までに最低でも2〜3ヶ月は見込んでおきましょう。

まとめ

改めてポイントを整理します。

  • 知事免許と大臣免許の違いは「事務所が1都道府県内か、2都道府県以上にまたがるか」のみ
  • 最新統計(2024年3月末)では、知事免許が127,536業者・大臣免許が3,047業者と、知事免許が全体の約98%を占める
  • 新規開業時は知事免許からスタートし、事業拡大に応じて免許換えで大臣免許へ切り替えるのが一般的
  • 審査期間・手数料は大臣免許のほうが高く・長い(約100日・90,000円)
  • 有効期間はどちらも5年、営業保証金の額も同じ

これから不動産業の開業を検討している方は、まずは本店所在地を管轄する都道府県知事への免許申請から準備を進めましょう。

申請要件や手続きは各自治体で若干異なるため、最新の申請の手引は必ず管轄の行政庁ホームページで確認することをおすすめします。

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