【2026年改正対応】国内管理人制度を正しく理解する-法的構造・実務設計・契約実務までを徹底解説

2026年(令和8年)10月17日にマンション標準管理規約が改正され、総会手続き、建て替え・再生決議、所在不明者の対応規定の新設、共用部における受動喫煙防止措置の例示など、現在の住環境変化に即した様々な内容が新設・改変されました。

もっとも、標準管理規約は法令そのものではなく、2026年4月に施行された区分所有法の改正に合わせて見直された、管理組合が参考にすることを想定したモデル規約に過ぎません。

しかしながら、管理規約の策定において広く模範とされていることから、その内容を正確に理解することは実務において極めて重要です。

改正されたマンション標準管理規約には、海外居住の区分所有者に代わり日本国内のマンション管理事務を行う「国内管理人制度」も含まれています。

これは、グローバル化の進展や外国籍所有者の増加に伴い顕在化した、所有者不明や連絡不能リスクを軽減し、マンション管理や修繕を円滑にすることが目的です。

しかし、管理不全の専有部分・共有部分について、裁判所が選任した管理人に管理させる「マンション等に特化した財産管理制度」とは異なり、区分所有者が任意で委託できる「国内管理人制度」の詳細、例えば行使できる法定代理権の範囲や報酬額、必要とされる実務の範囲、委託契約書の内容などを正確に理解している媒介業者は多くありません。

例えば、総会における議決権の行使、管理費・修繕積立金の支払い、管理組合との各種連絡対応といった具体的な業務の範囲は、契約内容に大きく依存しますが、この点は広く共有されていません。

このように具体的な例示や実務上求められる詳細情報が十分に整理されないまま、制度の運用開始に関する情報のみが先行した広まったことが、理解不足を招いている一因であると考えられるのです。

国内管理人制度,規定

歴史的な円安による割安感に加え、日本は治安の良さや安定した政治・経済環境、さらには現行法において外国人による不動産取得に原則制限がない自由な取引環境を有するため、当面はインバウンド需要や投資、実需を目的に外国人による不動産購入は継続すると予測されます。

外国人との不動産取引は、もはや特別な事例ではありません。私たち媒介業者は、外国人との不動産取引実務はもとより、購入後居住しない物件の管理、すなわち「国内管理人制度」の詳細についても理解を深め、当事者への説明責任を果たすことが求められます。

さらに、状況によっては受託者として当該業務を担うことも想定されます。

本稿では、国内管理人を受託した場合に付与される代理権や報酬についての考え方、さらには想定される注意点や受託契約書の内容について解説します。

国内管理人制度の法的位置付けと基本構造

国内管理人制度を正確に理解するためには、まずその法的位置づけを明確に整理する必要があります。

前提として本制度は、2026年4月に施行された建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)の改正に基づき新設(同法第6条の2)され、同条第2項で国内管理人が有する権限の範囲が具体的に定められています。

もっとも、これらはあくまで基本的な枠組みを示すものに過ぎず、具体的にどの業務を担わせるか、さらにはどの範囲まで代理権を付与するかといった実務上の具体的な内容は、標準管理規約や各管理組合の規約、さらには区分所有者と国内管理人との間で締結された契約によって、個別に定めることができます。

したがって私たちは、国内管理人の権限が、「法令による基本的枠組み」と「契約による具体的内容」との組合わせによって構成される点を正確に理解する必要があるのです。

とはいえ、際限なく権限を付与できるわけではありません。

法律上、本人しか成し得ない理論的な限界(代理不可の行為)と、公序良俗に基づく限界(民法第90条など)が存在するからです。

したがって、裁判所の許可を得ることで専有部分の処分すら可能となる「所有者不明管理制度」や、専有部分・共有部分の適切な管理を実現するため動産の処分や保存行為、専有部分等の性質を変えない範囲の利用改良行為が認められる「管理不全専有部分管理制度」や「管理不全共有部分管理制度」と混同してはならないのです。

財産管理制度,管理人の専任の流れ

そもそも国内管理人による権限の本質は、民法上の委任契約または準委任契約による「契約上の代理権」に基づきます。

そのため、どこまでの行為を委任するかは、すべて任意契約の内容によって決定されることを、理解する必要があるのです。

この点を正確に理解することは、実務上極めて重要です。

なぜなら、「国内管理人」という名称から、あたかも包括的な代理権が付与されて当然との誤解を与えやすく、委託者が外国人であればなおさら、微妙なニュアンスが伝わりにくいためです。

区分所有法第6条の2では、国内管理人の権限を以下のものと定めています。

1. 保存行為
2. 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
3. 集会の招集通知の受領
4. 集会における議決権の行使
5. 債務の弁済(共有部分、建物の敷地もしくは共用部以外の付属施設につき区分所有者が負う債務等の弁済)
※債務の弁済については、組合員が負う当該債務を弁済する権限を有するにとどまり、国内管理人自身が債務の弁済を個人的に負担するとの趣旨ではありません。

しかしながら、これらの権限は「選任によって当然に行使できる」という包括的なものではありません。

例えば、「議決権の行使」ひとつをとっても、実務上は委託契約においてその行使条件や範囲が規定されていなければ、代理人が独断で行うことは適切と言えません。

これは管理費や修繕積立金の支払い、管理組合との各種連絡対応といった日常的な事務についても同様です。

法第6条の2はあくまで代理権に基づく「法定の外延」を示したものに過ぎず、実際に委託する権限の具体的な範囲は一律ではなく、あくまで個別の委託契約の内容に依拠するからです。

したがって、国内管理人の権限行使における法的有効性と実務的な責任範囲を明確にするためには、契約によってその範囲を精緻に定める必要があるのです。

これを理解せず、かつ権限の範囲が不明瞭なまま国内管理人として業務を遂行した場合、無権代理や越権行為と評価されるリスクが高まるのです。

以上のように、国内管理人制度は「任意性」「契約依存性」「委任契約を基礎とする代理関係という性質」という三つの特徴を持っており、これらを正確に理解することが、その後の実務対応を検討するうえでの出発点となるのです。

代理権の具体的範囲と実務設計

前章で整理したとおり、国内管理人の権限は「法令による基本的枠組み」と「契約による具体的な内容」の組み合わせによって構成されます。

したがって、実務において重要となるのは、法令で定められた権限の内容を前提としつつ、それをどのような契約によって具体化するかという点にあります。

まず前提として、区分所有法第6条の2第2項で列挙された権限は、国内管理人が行い得る行為の「外延」を示すものであり、その範囲内であれば無制限に行使できる権限が、当然に付与されるわけではありません。

そもそも、区分所有法は「国内管理人を選任できる」旨と行使できる権限の外延を定めたに過ぎず、国内管理人による区分所有者への報告義務や、議決権を行使する際に区分所有者への確認を要するか、さらには報酬額に関する規定など、実務上重要な部分については明文で規定していません。

これらは、信義則や民法上の規定に基づき当事者間(区分所有者と国内管理人)で自由に取り決めてよいとの趣旨で制定されているのです。

この点を踏まえると、実務上の代理権設計は「包括的委任型」と「限定委任型」の二つに整理できると考えられます。

まず包括的委任型は、外延として規定された国内管理人の権限すべてに加え、日常的な管理業務までを広く国内管理人に委ねるものであり、定期的な清掃や物件状況の確認、管理費や修繕積立金の支払い、管理組合の対応や総会資料の受領・確認、議決権の行使などを一体的に委任する形態です。

これは、物件の処分などを除くほぼ全ての区分所有者が有する権限を委任する形ですから、委託者が海外に居住して頻繁な意思疎通が困難な場合に効果を発揮します。

一方で、国内管理人のなした行為はすべて委託者に法的効果が帰属するため、後に新たな問題が発生する懸念が残ります。

一方で限定委任は、特定の行為に権限を絞り委任するものであるため、無権代理など逸脱した行為を抑制できますが、想定外の事態が生じた場合、例えば漏水事故を発生させて階下に損害を与えた場合などにおいては、単独で対応できないといったデメリットが生じます。

このように、いずれの方式にも一長一短があるため、実務上は物件の管理状況や委託者の居住実態、さらには管理組合の運営状況を踏まえたうえで、適切なバランスを設計することが求められます。

特に注意すべきは、総会における議決権の行使です。

法的には国内管理人が議決権を行使し得る地位にあるとしても、その具体的な行使方法、つまり「包括的な裁量を与えられているか」「事前指示に拘束される立場であるか」といった点は、契約上明確に定めておく必要があります。

これを曖昧にした場合、管理組合の重要決議(建て替え等)に対して委託者の意向と異なる判断をした場合、紛争へと発展する可能性があるからです。

これは、管理費や修繕積立金の支払いについても同様です。

万が一に備え、支払原資をどのように確保するのか(預託方式か、都度請求か)、支払遅延が発生した場合の責任を誰が負うのかを明確にしておかなければ、国内管理人が不必要な責任を負う結果となりかねません。

法的には、国内管理人が区分所有者の債務を個人で負担しない旨が条文上予定されているものの、その取り扱いについては管理組合等、利害関係者との関係で必ずしも自明に受け入れられるとは限らないのです。

加えて、管理組合との連絡対応についても、その範囲を具体的に定義しておく必要があります。

単なる通知の受領だけなら問題ありませんが、一定の判断を伴う応答を含むのであれば、国内管理人の実務負担が大きくなるからです。

以上を踏まえると、国内管理人の代理権設計においてもっとも重要なのは、「できること」と「実際にやらせること」を峻別することにあると理解できるでしょう。

法律上可能であるからといって、すべての権限を当然に委任(あるいは受任)すべきものではなく、むしろ業務内容を精査したうえで必要な範囲に限定することが、リスク管理の観点において有効だと言えるのです。

また、実務上見落とされがちなのが「越権行為」の問題です。

委任されていない行為を国内管理人が行った場合、それが区分所有者の利益に資するものであったとしても無権代理として扱われ、追認の有無や第三者との関係によっては委託者の責に帰するだけでなく、国内管理人自身が責任を負うリスクが生じるからです。

このように、国内管理人制度を適切に運用するためには、単に制度の存在を理解するだけでは足りず、個別契約において権限の範囲を具体的かつ明確に設計することが不可欠だと言えるのです。

報酬の考え方と実務負担のバランス

国内管理人制度を導入するにあたり、実務上もっとも軽視されがちである一方、紛争に発展しやすい論点の一つが「報酬の設定」です。

前章までで見てきたとおり、国内管理人の業務範囲は契約によって大きく変動し得るにもかかわらず、報酬について区分所有法上明確な基準が設けられておらず、また、不動産業の管轄官庁である国土交通省からも、具体的な判断基準が示されていません。

そのため、実務においては「管理の一環として無償で対応する」あるいは、「基準が示されていないため、とりあえず安価で受任する」といった判断がなされがちです。

ですが、このような対応は極めて危険です。

なぜなら、国内管理人の業務は形式的であり極めて単純だと誤解されがちですが、現実には継続的かつ不確定な対応が含まれるため、想像以上に実務負担が増大する可能性があるからです。

例えば、平時において管理組合からの通知受領や管理費等の支払いに留まっていたとしても、ひとたびトラブルが発生すれば状況は一変します。

例えば、漏水事故や設備故障、近隣トラブル、さらには管理組合からの是正要求などが生じた場合、国内管理人は窓口として迅速な対応を求められることになります。

場合によっては、契約上想定していない判断や対応を求められることもあるでしょう。

このような対応は、単なる事務処理の範囲を超え、時に現地確認や利害関係者との調整、さらには専門士業との連携を要するなど、実質的には区分所有者に近い役割を担う可能性があるのです。

それでも、区分所有者とすぐに連絡できれば救われますが、連絡不通の状態が続けば、業務量と対価との間に著しい不均衡が生じることになります。

さらに問題なのは、この不均衡が責任の所在を曖昧にする点です。

報酬が低額あるいは無償であっても、受託者には善管注意義務が伴います。

これは、受任者として通常期待される注意を尽くすべき義務であり、報酬の有無や多寡で左右される性質のものではありません。

したがって、「どこまで対応すべきであったか」「どの時点で報告すべきであったか」「連絡を取るタイミングが適切で、かつそのために要した労力が妥当であったか」などの点で、紛争に発展するリスクがあるのです。

加えて、媒介業者が国内管理人を受託する場合は特に、業務の性質にも注意が必要です。

不動産取引の媒介業務とは異なり、国内管理人業務は継続的な管理行為を伴うため、業務範囲の拡大に応じて内部体制や人的リソースの確保が求められます。

これを軽視したまま受託した場合、結果として本来業務に支障をきたすおそれは否定できません。

分譲マンションではありませんが、筆者は閑静な高級住宅地で新築した一軒家を外国籍の富裕層に売却したことがあります。

その際、行きがかり上仕方なく、無償で物件の管理を引き受けました。

来日した際の別荘として購入された物件のため、1年のうちほとんどが空き家の状態です。

そのため、1週間に一度の割合で見回りを実施して内外に異常がないかを確認すると同時に郵便物を回収し、固定資産税を代理で支払った後、所有者に請求するなど相応の負担が生じました。

さらに、物件は雪国北海道にありますから、定期的な除雪を余儀なくされたのです。

幸い大きなトラブルは生じなかったものの、少なくとも無償で行うべき業務量ではありませんでした。

物件が高額だったとの理由もありますが、深く検討せず安易に引き受けたことを、いまでも反省しています。

このような失敗をしないためにも、まずは想定される業務内容を具体的に洗い出し、それぞれに対応する工数や責任の程度を踏まえ、合理的な報酬額を設定する必要があります。

特に、定常業務と臨時対応については明確に区分したうえで、別途報酬を設定する、あるいは対応範囲を限定するなどの工夫が必要です。

また、報酬の支払方法についても検討が必要です。

月額固定とするか業務量に応じた従量制とするかはもちろん、所有者が海外在住者であるため送金にも手間がかかります。

そのため、カード決済に対応するなどの配慮も必要となるのです。

以上のように、国内管理人制度における報酬の問題は、単なる金額の多寡にとどまらず、業務範囲・責任・リスク管理と密接に結びつく本質的な論点だと言えるでしょう。

受託契約書の設計と実務上の留意点

これまで見てきたとおり、国内管理人制度は契約によってその実体が決まる制度です。

したがって受託契約書においていかに具体的かつ明確に条項を設計するかが、実務上のリスクを左右します。

以下では、実務上特に重要となる各条項について、具体例を示しながら整理します。

なお、各条文は基本的な内容を盛り込んだに過ぎないため、実際に契約書を作成される際には、条件に応じて精査する必要がある点についてはご留意ください。
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1. 業務範囲(最重要)

国内管理人である乙は、次に掲げる業務を行うものとする。

 

① 管理組合からの通知受領および甲(委託者)への転送。なお、通知文書はスキャナーで読み込んだものをメール等への添付で送付するもとのとし、原本については3年間に限り、乙(受託者)が保管する。

② 固定資産税・管理費・修繕積立金・町内会費・その他、あらかじめ承認を受けた費用の支払い手続き。なお、この支払いに充当するため甲(委託者)は、毎月◯日までに乙(受託者)が指定する口座に金〇円を振り込むものとし、乙は領収書・納付等の原本を保管すると同時に、月末ごとに明細書と併せてスキャナーで読み込み、メール等に添付する形で甲に報告する。

③総会資料の受領及び内容の報告。

④前各号に付随する軽微な連絡対応。

2. 前項に定める業務以外の行為は、本契約に基づく権限には含まれないものとする。

POINT業務範囲は「列挙+除外」で構成することが何より重要です。

特に、期日、権限の範囲などについて曖昧にしないことが不可欠です。
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3. 緊急対応条項

乙(受託者)は、漏水、火災、地震その他緊急性を要する事態が発生した場合において、甲(委託者)への事前連絡が困難である時は、必要最小限の範囲かつ費用の拠出に限り、承諾を得ず応急対応を行うことができる。

4. 前項に基づき緊急対応が実施された場合には、事態収束後速やかに乙は、甲に対して報告しなければならない。

POINT管理の現場では、少なからず「緊急の判断」を迫られる瞬間が訪れます。

その際、海外在住者に連絡が取れるとは限りません。

そのため、この条項がなければ、所有者の利益に帰すと判断して行った行為が、越権と見なされ責任を追及される可能性があるのです。
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5. 議決権行使条項

乙(受託者)は、総会における議決権の行使については、あらかじめ議題を甲(委託者)に通して判断を仰ぎ、その指示に従うものとする。

6. 前項にかかわらず、甲(委託者)から事前指示がない場合においては、乙(受託者)は議決権を行使しないものとする。

※裁量付与型とした場合は、次の条項を採用する:乙(受託者)は通常の管理に関する議案に限り、合理的な範囲で裁量権を有するものとし、議決権を行使できる。

POINT議決権を完全指示型、あるいは一部裁量型にするかは重要です。これを曖昧にすると、かなりの確率で揉めることになります。
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7. 報酬及び費用条項

甲(委託者)は乙(受託者)に対して、業務の対価として月額◯円を毎月◯日までに、乙(受託者)の指定する口座に振り込む。

8. 前項の報酬は通常業務の対応を想定しており、緊急対応、現地確認、修繕業者の手配や交渉、専門士業対応など臨時業務については、都度別途協議のうえ定める。

9. 前項の規定によらず乙(受託者)が必要に迫られ立て替え払いを行った場合は、速やかにその理由と拠出した費用の内訳を甲(委託者)に提示するものとし、甲(委託者)が合理的な期間内に意義を述べない場合にはその全額を償還するものとする。

POINT重要なのは「通常業務」と「臨時業務」の線引です。これをやらないと、第三章で述べた「搾取構造」となるのです。
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10. 責任限定条項

乙(受託者)は、本契約に基づく業務の遂行にあたり、故意または重過失がある場合を除き、損害賠償責任を負わないものとする。

POINT善管注意義務があるため全ての責任を免れることはできませんが、その範囲や上限について契約で調整することは可能です。
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11. 連絡体制条項

甲(委託者)および乙(受託者)間の連絡は、原則として電子メールにより行うものとする。

① 甲(委託者)および乙(受託者)は、連絡先に変更が生じた場合には、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

② 乙(受託者)による通知が行われても甲(委託者)が相当期間応答しない場合に限り、乙(受託者)は必要な範囲に限り合理的な判断を自ら行うことができ、甲(委託者)はこれを不合理として争わないものとする。

POINT海外在住者あるいは外国人との案件では、ここが生命線となり得ます。連絡不通=リスク転嫁という構図になりがちだからです。
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12. 契約期間・解除条項

本契約の有効期間は締結から1年間とし、期間満了の1か月前までに双方あるいは一方から解約の意思表示がなされない限りは、自動更新とする。

①前項によらずやむを得ない事情がある場合については、各当事者は協議のうえ本契約を解除できるものとする。

POINT何らかの事情が生じても、契約を解消できないことは危険です。契約期間と解除条件は当然として、必要に応じて解約時の違約金について盛り込むかも検討されると良いでしょう。

まとめ

外国人所有者が今後も増加するであろうことを勘案すれば、国内管理人制度は不可欠な仕組みとなっていくでしょう。

ですが、実務においては制度が創設されただけで、その実体は契約によって形づくられることを忘れてはなりません。

本稿で述べてきたとおり国内管理人制度には、次のようなリスクがあります。

 

◯法令はあくまで枠組みにとどまる
◯付与される権限の内容は、契約に依存する
◯報酬と責任の不均衡が起こりやすく、それが重大なリスクとなること

このようなリスクの発生を踏まえれば、重要なのは契約設計の精度であることが理解できるでしょう。

特に、①業務範囲の明確化、②権限行使のルール設定、③報酬体系の整理、④リスク分担の明示は重要です。

これらを曖昧にしないことこそが、国内管理人制度を「有効な仕組み」とするか、「新たな紛争の原因」とするかを分ける分水嶺となるのです。

外国人との不動産取引が一般化した現在において、媒介業者には売買や賃貸にとどまらない継続的な関与が求められています。

だからこそ、制度の理解にとどまらない契約という実務の最前線において適切な設計を行うことが、これからの不動産実務において不可欠だと言えるのです。

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