AIを使っても不動産営業は始まらない――「完璧な準備」が新規開拓を遠ざける理由

AIを使っても不動産営業は始まらない――「完璧な準備」が新規開拓を遠ざける理由

優真商事小林です。

不動産業界でも、ChatGPTをはじめとする生成AIの活用が急速に広がっています。

物件紹介文の作成、査定書のたたき台、営業メール、追客メッセージ、ブログ記事、社内マニュアル、営業トークの作成など、AIが支援できる業務は少なくありません。

実際に、不動産会社向けの業務支援システムにも生成AIが組み込まれ、物件情報を基に担当者コメントを作成するような使い方が始まっています。

生成AIは、不動産会社の業務効率化において非常に有効な道具です。

しかし、ここで一つ考えなければならないことがあります。

AIを使えば、本当に不動産営業の成果は上がるのでしょうか?

私の答えは、半分は「はい」で、半分は「いいえ」です。

正直な話、優真の教え子はほとんどAIを使いませんが、あなたの年収より必ず稼いでいるはずです(個人差有)

AIを使えば、準備は速くなります。

しかし、AIに営業戦略を相談し、営業資料を作らせ、見込み客への文章を考えさせても、営業担当者自身が動かなければ、案件は一件も生まれません。

AIは、不動産営業の準備を代行してくれます。

しかし、営業活動そのものを代行してくれるわけではないのです。

 「完璧な準備」が不動産営業を止めている

営業が思うように進まない人から、次のような言葉を聞くことがあります。

「営業資料が完成したら動きます」

「もう少し不動産知識を身につけてから訪問します」

「AIを使って営業トークを完成させてから電話します」

一見すると、どれも真面目で前向きな考え方に見えます。

しかし、営業の現場では、準備が行動を先延ばしにする理由になっているケースが少なくありません。

そもそも、営業における「完璧な準備」とは何でしょうか。

商品知識をすべて覚えることでしょうか。

どのような質問にも即答できるようになることでしょうか。

一度も断られない営業トークを完成させることでしょうか。

結論からいえば、そのような状態は存在しません。

不動産は、物件ごとに条件が異なります。

売主の事情も、買主の希望も、地域性も、市況も、資金計画も異なります。

前回うまくいった説明が、次の顧客にも通用するとは限りません。

つまり、不動産営業には「すべての準備が整った瞬間」などないのです。

存在しない完璧を待っている限り、営業活動はいつまでも始まりません。

AIに百回相談しても、一本の電話にはならない

現在は、営業担当者が動けない理由に「AI」が加わりました。

「AIに営業戦略を分析してもらってから」

「AIで完璧な提案書を作ってから」

「もっと使いこなせるようになってから」

AIを使って準備を続けているため、本人には仕事をしている感覚があります。

ところが、肝心の顧客には一度も接触していない。

これでは、売上にはつながりません。

AIに百回相談しても、顧客への一本の電話にはなりません。

AIに千種類の営業トークを作らせても、誰にも話さなければ売上はゼロです。

AIに市場分析をさせても、売主を訪問しなければ売却理由は分かりません。

不動産営業の答えは、画面の中だけにあるのではありません。

顧客の表情、声の変化、言葉にしない不安、家族の意向、会社の事情、売却を急ぐ本当の理由。

こうした情報は、顧客と接触した人にしか得られないものです。

”10年後のAIは人間の知能が金魚になるだろう”

だからどうしたって話です。

中小企業の人間がそんなことを論じたところで今の数字は上がりません!

不動産営業におけるAIの役割は「行動の代替」ではない

AIは便利です。

物件紹介文や営業メール、企画案などの作成時間を短縮できます。

不動産業務では、市場調査、マーケティング戦略、物件広告、メール文章の作成などにも生成AIを活用できます。

しかし、AIの本当の価値は、人間が動かなくてよくなることではありません。

人間の英知が現場へ出るための時間を生み出すことです。

例えば、これまで営業メールの作成に30分かかっていたのであれば、AIを使って3分に短縮する。

そこで生まれた27分で、休眠顧客に電話をする。

物件紹介文をAIに作らせて時間を短縮したなら、その時間で売主を訪問する。

商談の質問項目をAIに整理させたなら、その日のうちに顧客へ連絡する。

これが、不動産営業における正しいAI活用だと私は考えています。

AIによって机上の作業時間を減らし、顧客との接触時間を増やす。

AIは、営業担当者を現場から遠ざけるための道具ではありません。

営業担当者を、より早く現場へ送り出すための道具なのです。

不完全な状態で顧客に接触する

私が提唱している「源泉営業」では、案件や紹介、情報が生まれる源泉まで営業担当者自身が近づいていくこと(ランチェスター戦略では接近戦と称します)を重視します。

待っているだけでは、案件は生まれません。

不動産ポータルサイトからの反響を待つ。

紹介が来るのを待つ。

売却相談が入るのを待つ。

会社から見込み客を与えられるのを待つ。

これらは、すでに表面化した需要を取り合う営業です。

一方で、源泉営業では、まだ表面化していない相談や悩みを探しに行きます。

過去の顧客へ連絡する。

地域の所有者を訪問する。

士業や金融機関、建築会社、管理会社との関係をつくる。

以前断られた顧客へ、時期を変えて再び接触する。

紹介を依頼する。

こうした活動は、営業資料が完璧でなくても始められます。

むしろ、現場に出ることで初めて、必要な資料や説明の仕方が分かってきます。

先に完璧をつくってから動くのではありません。

動いて得た材料を使って、営業を改善していくのです。

AIと現場を往復する営業担当者が強くなる

AI時代に強い営業担当者とは、AIだけを使いこなす人ではありません。

現場だけで頑張り続ける人でもありません。

AIと現場を往復できる人です。

実行、振り返り、AI、改善。

この循環を回すことで、営業力は高まります。

AIに質問し続けるだけでは、この循環は始まりません。

顧客は「完璧な営業担当者」を求めているわけではない

営業担当者が準備に時間をかけ過ぎる背景には、失敗への恐怖があります。

知識不足だと思われたくない。

説明が下手だと思われたくない。

断られて傷つきたくない。

顧客から厳しい質問をされたくない。

しかし、顧客は必ずしも完璧な営業担当者を求めているわけではありません(逆に言うと、既にAIを使い答えは自身でわかっているケースがほとんど)。

顧客が求めているのは、自分の話をきちんと聞き、必要な時に動き、約束を守ってくれる人です。

その場で答えられない質問があっても構いません。

曖昧な回答をするより、「確認して本日中にご連絡します」と伝え、約束どおり連絡する方が信頼につながります。

流暢に説明できなくても、顧客の事情を丁寧に聞くことはできます。

派手な提案書がなくても、困っている顧客のもとへすぐに向かうことはできます。

不動産営業では、説明の巧さ以上に、接触の速さや対応の誠実さが評価される場面があります。

完璧ではなくても、顧客の前に立つことはできるのです。

AI時代ほど「行動量」の差が広がる

AIが普及すれば、営業資料や文章の品質には大きな差がつきにくくなるでしょう。

誰でも一定水準のメールを作れる。

誰でも見栄えのよい提案書を作れる。

そのとき、営業成果を分けるものは何でしょうか。

私は、再び「行動量」と「顧客接点」が重要になると考えています。

AIで一時間短縮できた人が、その一時間で顧客に接触するのか。

それとも、さらに一時間を使ってAIの回答を修正し続けるのか。

ここで差がつきます。

AIの登場によって、動く必要がなくなったのではありません。

動くための条件が整いやすくなったのです。

ところが、AIを使って準備だけを続ける人は、以前より高度な準備をしながら、以前と同じように動かない可能性があります。

一方で、AIを使って準備を短縮し、すぐに電話、訪問、紹介依頼、追客を行う人は、顧客接点を大きく増やせます。

AIは営業担当者間の差をなくすものではありません。

使い方によっては、行動する人と行動しない人の差を、さらに広げるものになります。

まとめ――AIは源泉営業を加速させる武器である

不動産営業に、完璧な準備はありません。

完璧な営業資料もありません。

誰にでも通用する完璧な営業トークもありません。

そして、AIが出してくれる完璧な答えもありません。

AIは間違うことがあります。

顧客との関係性や、その場の空気まですべて理解しているわけでもありません。

最終的には、営業担当者が判断し、自分の言葉で話し、自分の足で顧客に会いに行かなければなりません。

AIは、源泉営業を代行するものではありません。

源泉営業を加速させる武器です。

営業資料を速く作る。

顧客への連絡文を速く考える。

商談を振り返る。

そして、短縮できた時間で、一人でも多くの顧客に接触する。

AIによって机上の時間を減らし、人と会う時間を増やす。

これこそが、不動産営業におけるAI活用の本質ではないでしょうか。

武器を持っているだけでは、営業は始まりません。

不完全でも構いません。自信がなくても構いません。

まず電話を一本かける。

メールを一通送る。

一社を訪問する。

AI時代の不動産営業に必要なのは、完璧な準備ではありません。

AIを使った後、自ら顧客へ向かう最初の一歩です。

優真商事株式会社 小林英治

これらのマインドをマスターできる源泉営業を・・・・

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監修者情報

優真商事株式会社 代表取締役 小林 英治
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