【不具合か欠陥か】不動産業者が建物の状態を確認する際のポイント

【不具合か欠陥か】不動産業者が建物の状態を確認する際のポイント

建築中の状態を自らの目で確認できる注文住宅とは違い、建売住宅や既存住宅においては、建物の内部にある構造躯体や下地の状態などを直接確認することが容易ではありません。

そのため、建物の品質がどの程度であるのか、さらには現在の状態を正確に把握することは、一般の方はもとより私たち不動産業者でも困難な場合があります。

建築の知識が相応程度以上あれば、細かいポイントをチェックしてある程度は判断できるかもしれません。

加えて、インスペクションを実施すれば、建物の状態について一定の客観的な確認を行うこともできます。

ですが、目視による検査だけでは「欠陥」と断定することはできませんし、不具合が見受けられるからといって、直ちに契約不適合に該当するとは限りません。

例えば、歩くと床鳴りがする、壁紙に隙間がある、建具の開閉が重いといった現象が見つかったとしても、それが施工不良や欠陥であるのか、それとも材料の乾燥収縮や経年変化によって生じたのか、さらには簡易的な調整や補修で対応可能なのかによって、見解は異なるでしょう。

そこで本稿では、建物に生じている「不具合」と「欠陥」を安易に同一視することなく、現地で確認するためのポイントを取り上げていきたいと重います。

具体的には、床、壁、天井、建具、窓、外壁、基礎、屋根、床下の順番で、「どこを見るのか」「どのように見るのか」「異常が見つかった場合に何を確認すべきなのか」を整理していきます。

床のチェックは、歩いて、しゃがんで耳を澄ます

建物の状態を確認する際、最初にチェックしたいのが床です。

可能な限りスリッパを使用せず、実際に歩き回ることで床鳴りや沈み込み、部分的な傾きなど、目視では確認できない違和感を把握できます。

特に意識して確認したいのが、次の場所です。

  • 部屋の中央
  • 壁際
  • 廊下と居室の境目
  • 床材の継ぎ目
  • ドアの前後
  • 家具などが置かれている周辺

歩いたときに「ギシギシ」「バキッ」といった音がする場所や、足を踏み込んだ際にフワッと沈み込むような感覚がないかを確認して、図面に書き込んでおくと良いでしょう。

ただし、音がした場合は一度だけでなく、何度か歩いたりつま先に体重をかけたりして、同じ場所で鳴るのかを確認する必要があります。

それにより、状況の捉え方が異なるからです。

また、「床鳴りがするから施工不良である」ないしは「欠陥」があると短絡的に判断してはなりません。

木材は温度や湿度の変化によって伸縮するため、施工精度にかかわらず、床材や下地材の状態によっては床鳴りが生じる場合もあるからです。

また、床の傾きがあったとしても、基礎に問題があるとは限らず、施工上の誤差や床材・下地材の状態など、様々な原因が考えられます。

ただし、床鳴りに加えて、明らかな沈み込みや床材の浮きが確認できる、あるいは広い範囲で違和感がある場合には、専門家による調査を検討したほうが良い場合もあります。

もっとも、検討に際して大切なのは「音がした」「違和感を覚えた」という事実と、それらが生じている原因を分けて考えることです。

そのため、明らかな傾きを感じる場合や、複数箇所で違和感を覚えた場合には、その事実を記録したうえで、次のような計測や確認を実施されると良いでしょう。

①巾木と床の境目

巾木と床の間に不自然な隙間がないか、さらには隙間の大きさが極端に違っていないかを確認すると同時に、必要に応じて隙間寸法を記録します。

また、隙間をコーキングなどで処理している場合には、その仕上がり状態も確認しておくと良いでしょう。

もっとも、床材は温度や湿度によって収縮するため、床材と壁の間には一定のクリアランスが設けられている場合があります。

そのため、「隙間がある=問題あり」と短絡的に判断するのではなく、その隙間がどのような場所に、どの程度、どのような状態で生じているのかを確認することが肝要だと言えるでしょう。

②フローリングの継ぎ目と端部

フローリングについては、板と板の継ぎ目を確認します。

具体的には、隙間が不均一になっていないか、浮きが生じていないか、壁際やドア枠周辺の収まりに不自然なところがないかを確認します。

確認をする際には、部屋の中央だけでなく壁際や出入口付近など、全体をくまなく確認する必要があります。

もっとも、目視だけでは隙間の大きさを比較することが難しい場合もあるため、コンベックスなどを利用して隙間の寸法を記録されると良いでしょう。

③床の傾きを測る

床を歩いた際に傾きを感じたり、複数箇所で違和感があったりした場合には、実際に床の傾きを測定してみるのも一つの方法です。

古くはビー玉を転がすといった手法が一般的に採用されていましたが、床は水平に見えても微細な凹凸は少なからず存在しているため、水平器などを用いて確認するほうが、より客観的に状態を把握しやすいでしょう。

もっとも、簡易的な測定であれば、スマートフォンの水平器アプリを利用しても良いでしょう。

ただし、アプリに関してはスマートフォンの機種やセンサーの精度、ケースの形状などによって誤差が生じる可能性があるため、あくまでも異常の有無を確認するための目安として使用する必要があります。

また、測定をする際には部屋の中央だけでなく、四隅や壁際など複数の場所で実施し、場所ごとの数値に大きな違いが生じていないかを比較されるとよいでしょう。

例えば、中央部は水平であるにもかかわらず、壁際だけ明らかに数値が異なるようであれば、その場所を記録しておくのです。

なお、国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では床の傾斜について、3/1000未満、3/1000以上6/1000未満、6/1000以上という区分を設け、それぞれについて構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性の程度を整理しています。

また、床の傾斜の測定方法については、「3m程度以上離れた床表面2点を結ぶ直線の水平面」に対する角度と定義されていることも、覚えておくと良いでしょう。

ただし、「3/1000を超えているから欠陥」と断定するための区分ではありません。

床の傾斜が確認された場合でも、その原因が建物の構造に起因するものか、あるいは施工上の誤差なのか、床材や下地材に起因するものかなど、原因を特定する必要があるからです。

何より、原因の特定は不動産業者の業務ではありません。

私たちが行うのは、測定した場所や数値を記録したうえで、必要に応じて専門的な計測や調査につなげることなのです。

④床下点検口からの確認

戸建住宅に限られますが、キッチンや洗面所などに設けられている床下点検口から、次のような現象が生じていないかを確認しておく必要があります。

  • 水たまりが存在していないか、明らかな湿気や結露の痕跡がないか
  • 配管に水漏れの痕跡はないか
  • 断熱材が脱落していないか
  • カビや腐食などを疑わせる状態が見受けられないか
  • 大量の木くずや廃材などが放置されていないか

もっとも、床下点検口から確認できる範囲には限界があるため、見える範囲に異常がないからといって、床下全体に問題がないと判断することはできません。

そのため、床下に関しては目視できる範囲内に明らかな異常の痕跡がないかを、確認することが目的です。

そのため、明らかな問題が確認された場合には、必要に応じて専門家に依頼し、詳しい調査を実施することが重要です。

このように、床のチェックでは「歩いて感じる」「しゃがんで確認する」「存在する隙間を簡易的に測る」「床下の状態を確認する」という複数の方法を組み合わせることが大切です。

ただし、何らかの異常が発見されたとしても、安易に結論を下してはなりません。

その現象が何によって生じている可能性があるのかを確認し、必要に応じて専門家につなげることが、次のステップとなるからです。

壁と天井は光を利用して凹凸や異常を確認する

天井や壁は床と同様に、まずは目視によって異常がないかを確認します。

ただし、床とは違い天井や壁は直接触れて状態を確認することが難しく、正面から見ただけでは分かりにくい凹凸やクロスの浮きなどもあります。

そのため、窓から入る自然光や室内照明を利用して、壁や天井を斜め方向から見る方法が有効です。

これは、斜め方向から見ることで、正面から見た際には気がつかなかった凹凸が、陰影として浮かび上がることがあるためです。

私たち不動産業者が確認すべきは、クロスがきれいに貼られているかだけではありません。

下地の状態、さらには漏水や結露などによって生じた痕跡がないかといった、次に挙げる視点を持つことが重要なのです。

①クロスの継ぎ目と浮き

一般的な住宅用壁紙は幅約92cmのものが多く、壁一面に貼る際にはつなぎ合わせて施工します。

継ぎ目のジョイントの方法には、突付け貼り、重ね張り、重ね裁ちなど幾つかの種類が存在するものの、いずれの方法を採用したとしても、クロス自体が材質や日当たりなどによって収縮することがあります。

したがって、多少の隙間が確認されたからといって直ちに施工不良と判断してはなりません。

ただし、クロスの端部が浮いている、めくれている、明らかな隙間が複数生じている、あるいは継ぎ目周辺だけが波打っているといった状態であれば、写真撮影をして記録を残しておく必要があります。

特に、クロスの一部分だけが膨らんでいる場合には、施工上の問題ではなく下地や湿気などの影響を受けている可能性があるため、その場所を確実に記録しておく必要があります。

②出隅・入隅の状態を確認する

ご存じかと思いますが、入隅は2つの面が内側に向かって交わるへこんだ部分、出隅は外側に向かって交わる出っ張った部分を指す建築用語です。

このうち、特に入隅に関しては時間の経過とともに浮き、シワ、裂け、剥がれなどが生じる可能性があります。

このような現象を可能な限り防止するため、入隅ではクロスを一旦カットして突きつけるなど、隅の形状に応じた収まりが採用する、あるいはコーキングで処理する場合もあります。

どのような収め方であっても、まずは壁の出隅・入隅に浮きやシワ、剥がれなどが生じていないかを確認すると同時に、角が不自然に湾曲していないか、左右で形状に違いがないかなどに目を向けるとよいでしょう。

ただし、見た目が気になるという事実と、建物に構造的な問題があるという判断を混同してはなりません。

③コンセント・スイッチ周辺を見る

コンセントやスイッチのプレート周辺も、壁の状態を確認するうえで見落としたくない場所です。

プレートが壁から浮いていないか、傾いていないか、クロスの切り込みが不自然になっていないかなどを確認します。

また、同じ壁面に設置された複数のコンセントやスイッチを比較すると、プレートの傾きや壁面との隙間などに気がつきやすくなります。

コンセントやスイッチプレート周辺の確認は構造そのものを判断する材料とはなりませんが、細部の施工状態を確認するうえで、一つのチェックポイントとなります。

④壁に触れて、異常がないかを確認する

壁については目視だけではなく、軽く手を当てて確認する方法もあります。

ただし、壁を「ドンドン」と強く叩くようなまねをしてはなりません。

時折、所有者がいるにもかかわらず壁を強く叩いている方を見受けますが、反感を買う可能性が高いため注意が必要です。

あくまでも軽く手を当て、膨らみやたわみを確認するに留め、確認された場合はその場所を記録しておくのです。

時に、軽く叩いて音の違いを確認することが必要な場合はあるものの、音だけで下地材や石膏ボードの状態を正確に判断することは困難です。

あくまでも異常を発見するための手掛かりとして、目視や触診、写真撮影などを組み合わせて記録することが肝要です。

⑤天井で確認すべきは「シミ」と「たわみ」

天井についてはまず全体を見渡し、クロスの一部だけが変色していないか、たわみや剥がれが存在しないかを確認します。

これらの状態が確認される場合には、過去または現在において漏水や雨漏りが発生した可能性が疑われるからです。もっとも、このようなシミが存在しているからといって、直ちに問題だと指摘してはなりません。

漏水や雨漏りは補修したけれども、クロスは張替えなかったという場合もあるからです。そのため、シミを発見した場合には、物件所有者に次のことを確認する必要があります。

水分が原因であると推測される場合には、放置することで下地材や構造部材などに影響を及ぼしている可能性があります。

そのため、必要に応じて専門家へ調査を依頼することが重要です。

⑥天井点検口からの確認

天井点検口があれば、そこから次のことを確認しておきたいものです。

  • 雨漏りや漏水の痕跡がないか
  • 断熱材が脱落していないか、著しくずれていないか
  • 木材に明らかな腐食や変色がないか
  • 結露を疑わせる水滴や変色がないか

もっとも、床下点検口と同様に見える範囲には限界があります。

そのため、異常が確認されなかったとしても、天井裏全体に問題が生じていないと断定できません。

あくまでも見える範囲を確認し、異常があれば写真やその位置を記録することに留め、そこから先については専門家による調査につなげるか否かを検討するのです。

この基本的な姿勢は、床下の確認と同様です。

壁や天井のチェックでは、クロスの継ぎ目や隙間など、比較的軽微な仕上げの問題から、漏水や下地の異常を疑わせるものまで、さまざまな現象を発見する可能性があります。

研修時において時折、「壁に水平器をあてて、勾配を確認する必要はないのですか」と質問されることもありますが、床のように壁に水平器を当てるだけでは、建物の傾きそのものを判断することはできません。

それは、壁に対して水平器を真横にあてても、壁面の一部分が水平・鉛直に対してどの程度傾いているかを確認できるに過ぎず、建物全体の傾きや構造上の問題を判断できるものではないからです。

さらに、クロスの施工誤差や見切り材の寸法誤差など、表面的な仕上げの影響を強く受ける可能性があります。

そのため、壁の傾きについて気になる場合には、簡易的な測定だけで結論を出すのではなく、専門家に依頼して、必要な精度に応じた測定方法によって確認してもらう必要があります。

あくまでも私たち不動産業者による確認は、発見された事実を正確に記録し、必要に応じて専門家による調査につなげることなのです。

建具と窓は開閉して違和感を確認する

壁や天井の後は、室内建具や窓の確認に移ります。

その際には目視だけではなく、可能な範囲で全ての窓を開閉したうえで、不具合がないかを確認する必要があります。

例えば、ドアや窓を開け閉めした際に途中で引っ掛かる、引き戸が重い、最後まで閉まりきらない、完全に閉めても隙間が生じているといった現象の確認です。

このような現象が確認された場合には、「どの場所で」「どのような状態であるのか」を記録しておくことが重要です。

もっとも、建具の開閉に違和感があるからといって、直ちに建物が傾いている、あるいは施工不良や欠陥があると判断してはなりません。

建具そのものの調整不良や、木材・建材の収縮、建具と枠のクリアランスなど、様々な原因が考えられるからです。

不具合の調整だけが目的であれば、製品によっては室内建具や窓に建付けを調整できる機構が設けられているため、ドライバーなどで調整できる可能性があります。

ですが、そのような作業は私たち不動産業者の業務ではありません。

あくまでも、次のような状態が生じていないかを確認したうえで、記録を残すことです。

①室内建具

  • 開閉途中で引っ掛かりはないか
  • 開閉する際に異常な重さを感じないか
  • 建具が、ドア枠に接触していないか
  • 最後まできちんと閉まるか、また、閉めた後に隙間は存在していないか
  • 開閉途中で手を離した際、勝手に閉まるあるいは開くことがないか

②窓

  • 開閉途中で引っ掛かりはないか
  • 開閉する際に異常な重さを感じないか
  • 最後まできちんと閉まるか、また、閉めた後に隙間は存在していないか
  • 閉めた後、クレセント錠などの施錠装置が正常に作動するか
  • サッシ枠周辺に水分による変色やカビ、クロスの剥がれなどが生じていないか

先述したように、開閉不良は調整によって改善できる可能性がある一方で、建具や枠そのものの変形や、下地が原因となっている場合には、単純な調整だけでは改善できないこともあります。

したがって、現地確認の段階では調整可能か否かを断定せず、まずは症状を記録したうえで、必要に応じて施工会社や建具業者などに原因を確認してもらうことが肝要です。

配管はここを見る

室内の状態を確認する際には、床や壁、天井だけではなく、給水、給湯、排水などの配管や、それらが接続されている設備についても確認しておく必要があります。

とはいえ、キッチンや浴室、トイレなどの設備機器に備えられた機能をすべて確認することには限界があります。

そのため、設備機器については物件状況報告書による告知を基本とし、不動産業者としては物件所有者自身が気付きにくい配管関係を中心に確認していくのが良いでしょう。

給水・給湯管の接続部分を見る

キッチンや洗面化粧台の収納を開き、配管の接続部分やその周辺に水漏れの痕跡がないかを確認します。

具体的には、配管や接続部に水滴が付着していないか、周囲の木材や収納内部が変色していないか、底板に膨らみが生じていないかなどを確認します。

特に注意したいのが、周囲に残っている痕跡です。

目視では水漏れが確認できなくとも、木材の変色や腐食、カビ、シミなどが見受けられる場合には、過去に漏水が発生した可能性や、現在も微量な水漏れが発生している可能性があるからです。

排水トラップと水栓を確認

可能な限り水を流して、排水がスムーズに行なわれるか、異常な音が発生していないかを確認します。

実際に水やお湯を流すことで、排水のみならず水やお湯が正常に出るか、止水した際に止まるかなどを同時に確認できるからです。

もっとも、排水の流れが悪い場合、その原因は排水口やトラップ部分の詰まりなど、比較的単純な原因によって生じている場合もあります。

それだけに、安易な判断をせず「温度調整が不安定」「排水が遅い」という現象の記録にとどめる姿勢が必要です。

トイレは「水漏れ」と「流れ」を確認

トイレについてはまず、便器や給水管、止水栓などの周辺に水漏れの痕跡がないかを確認します。

次に水を流し、正常に排水されるか、便器周辺に水が漏れてこないかなどを確認するのです。

もっとも、便器の周囲や床に変色やシミが確認される場合でも、漏水や結露など複数の可能性が考えられるため、安易に原因を断定してはなりません。

配管経路の壁・床にも目を向ける

給排水管が壁や床を通っている場所については、その周囲の床材や壁紙に変色、膨れ、剥がれ、カビなどが生じていないかを確認する必要があります。

このような状態が確認される場合には、目視できない部分で水が回っている可能性が考えられるからです。

もちろん、こうした現象だけで漏水箇所を特定することはできません。

しかし、「配管の周囲に異常が見受けられる」との事実を記録しておけば、専門家が原因を調査する際の重要な手掛かりとなります。

そもそも、配管については床や壁のように全体を一度に確認できるわけではありません。

それだけに、どの設備の、どの部分で、どのような現象が確認されたのかを具体的に記録することが重要です。

例えば、

「洗面化粧台下の給水管接続部周辺に変色あり」

「キッチン排水管周辺の収納底板に膨れあり」

「浴室入口付近の床に変色あり」

といったように、場所と現象を記録しておくと、その後の確認が容易になるのです。

外壁の状態を確認するポイント

室内の確認が一通り終わったら、次は建物の外側に目を向けます。

外壁については、建物全体を少し離れた場所から見渡した後、近づいて細部を確認するという順番で調査します。

特に確認したいポイントとしては、次のようなものが挙げられます。

外壁材のひび割れ

ひび割れを発見した際には、その方向が縦、横、斜めのいずれなのか、さらには窓やドアなどの開口部周辺であるかなど、具体的な位置を記録します。

外壁材の浮きや剥がれ

確認するのは、外壁材の一部分だけが周囲より膨らんで見えないか、表面が剥がれていないか、塗膜が浮いていないかです。

特に、外壁材の一部分だけが周囲から浮いているように見える場合には、その場所を記録しておく必要があります。

もっとも、外壁材の種類によっては、表面の模様や施工上の収まりによって凹凸が生じている場合もあります。

それだけに、見た目だけでは判断せず異常が疑われる場合には、専門家による確認につなげることが大切です。

シーリングの状態

目地やサッシ周辺などに施工されているシーリングに、ひび割れ、剥離、大きな隙間、著しい痩せなどが生じていないかを確認します。

シーリング材は、時間の経過や紫外線によって劣化するため、既存住宅ではある程度の劣化が生じていることがあります。

それだけに、シーリングの劣化を確認したからといって、それだけで直ちに建物の欠陥と判断してはなりません。

とはいえ、外壁と開口部との境界となるサッシ周辺については、シーリングの状態確認は不可欠です。

それだけに、劣化の程度や位置を記録したうえで、雨水が浸入する可能性がある状態なのか、補修が必要な状態なのかを確認することが重要です。

膨れや変色

先述したひび割れと同時に、部分的な膨れや変色にも注意が必要です。

例えば、外壁の一部分だけが周囲より濃くなっている、雨が降った後に特定の場所だけ長時間濡れているように見える、水が流れたような跡が残っているといった状態には注意が必要です。

もちろん外壁は、日当たりや雨の当たり方、汚れなどによっても色が変化します。

そのため、変色が確認されたからといって、直ちに漏水と判断してはなりません。

それだけに、単独の現象として処理するのではなく、複数の異常を関連付けて確認する必要があるのです。

水切りや外壁と基礎の取り合いを見る

外壁を確認する際には、建物の下部にも目を向ける必要があります。

具体的には、外壁と基礎の境目、さらには水切りなどの金物に異常がないかの確認です。

例えば、基礎については著しいひび割れや劣化、または欠損、不自然な沈下を疑わせる状態が存在していないかを確認します。

基礎のひび割れについては、国土交通省の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的水準」において、ひび割れの幅だけではなく、仕上材と構造材の関係や、ひび割れがどの部分に生じているのかなどを踏まえて、構造耐力上主要な部分の瑕疵について瑕疵が存在する可能性を整理しています。

例えば、基礎に生じたひび割れについては、幅0.3mm未満と0.5mm以上などの区分が設けられています。

もっとも、ひび割れは幅だけではなく、深さや形状などによって瑕疵と判断すべきか、早急に補修すべきかなどの判断は分かれます。

したがって、クラックスケールなどを利用してひび割れの幅を確認するのも一つの方法ではありますが、不動産業者による現地確認においては、割れの発生場所、方向、長さ、幅などを記録して、必要に応じて専門家へ引き継ぐ姿勢が重要です。

特に、ひび割れは表面の仕上材に生じているだけの場合もありますので、軽率に判断しない姿勢が大切です。

見える範囲で屋根周りを確認

建物の屋根は、デザインのみならず雨風や直射日光から住まいを守り、建物の耐久性にも影響する重要な部材の一つです。

ですが、だからといって不動産業者が、命綱もつけずに屋根に上り調査を行うようなことがあってはなりません。

これは、安全に確認できる範囲から異常の有無を把握するだけでも、一定の目的は達成できるからです。

まず、建物から少し離れた状態で屋根全体を見渡し、可能な範囲で屋根材や軒先、雨樋、軒裏などに異常がないかを確認します。その際には、次の部分を重点的に見ると良いでしょう。

屋根材のズレや破損

屋根材に不自然なズレや浮き、破損が生じていないかを確認します。瓦屋根であれば、瓦のズレや割れ、欠けなどがないかを確認し、スレート材では割れや欠損、浮きなどがないかを確認します。

金属屋根については、表面に著しい錆や変形、めくれなどがないかを確認します。

もっとも、屋根材は種類によって形状や施工方法が異なるため、地上から見ただけで正常か異常かを正確に判断するには限界があります。

それだけに、明らかな破損やズレなど目視で確認できる現象を記録することが基本となります。

軒先・破風・鼻隠しの確認

離れた位置からの確認を終えたら、次に建物へ近寄りつつ屋根の端部を確認します。

具体的には、軒先や破風、鼻隠しなどに著しい変色や腐食、破損、剥がれが生じていないかを確認するのです。

こうした異常は、経年変化や雨水による影響など、複数の原因によって生じる場合があります。特に、軒裏で部分的なシミや変色、剥がれが生じている場合には、雨水だけでなく、結露など別の原因によって生じた可能性も考えられます。

とはいえ、部分的な現象のみを根拠に、その原因を特定することはできません。

より詳細な確認が必要な場合には、屋根の専門業者などに点検を依頼して原因を特定してもらうと同時に、補修の必要性についても確認する必要があります。

これまで確認してきた床、壁、天井などについても同じですが、私たち不動産業者は見える範囲で確認できた事実を記録し、その先として専門的な調査が必要なのかを判断するまでが業務です。

そして、これこそが不動産業者が建物の状態を確認する際に意識しておきたい基本姿勢だといえるのです。

まとめ

不動産業者に求められるのは、住宅の状態を確認して発見された不具合に対し、安易に「欠陥」や「施工不良」と結論付けることではありません。

建物の状態を客観的に観察し、生じている現象とその具体的な位置・状態を正確に記録し、主観的な判断を交えず、確認できた事実を売主や買主と共有することです。

床の感触や音、壁・天井の不陸やシミ、建具の動き、外壁や基礎のクラックなどについて、目視や簡易計測で把握できる事実を丁寧に集めることが、結果的に適切な判断へとつながるのです。

それだけに、自身の判断に固執せず、建築士などの専門家による調査を受けるか否かについて売主や買主が判断できるよう、必要な情報を伝えることが重要です。

主観的な予断を排し、事実に基づいた誠実な調査と状況の把握に努める姿勢が大切なのです。

その姿勢こそが、売主・買主双方からの深い信頼を獲得すると同時に、住宅の不具合をめぐるトラブルを未然に防ぎ、双方が適切な判断をするための予防策となるからです。

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