説明不足がクレームにも!火災保険と地震保険の特約をいくつ知っていますか

ご存じかもしれませんが、火災保険と地震保険に加入していても、万が一の時にすべて補償されるわけではありません。

けれども、そのことを知らないお客様は意外に多いのです。

そのため補償を手厚くする特約についてきちんと説明しておかないと、あとから「聞いてなかった!」とクレームになってしまう恐れがあります。

そこで今回は、火災保険と地震保険で知っておきたい特約をご紹介します。

住まいの大切な保険!火災保険と地震保険

火災保険と地震保険は、どちらも大切な住まいのために重要な保険であることが共通点です。

けれども内容には、異なる点がいくつもあります。

また誤解が生じやすい部分も多いため、その点を押さえた説明が必要です。

ですから特約について知る前に、まず2つの保険の基本をしっかりと理解しましょう。

火災保険の基本的な補償

火災保険で補償される対象は、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」の3通りです。

お客様のなかには、自動的に建物と家財の両方が対象になると思っている方もいるかもしれません。

ですから、まずこの点で誤解が生じないように注意しましょう。

補償されるのは火災のほかに、台風や雷などの自然災害も対象になります。

けれども、地震による被害は補償対象外です。

とくに地震による火災も対象外であることは、火災保険で一番誤解が多い部分といえるでしょう。

ですから契約の際には、念入りに説明をしておきましょう。

また火災で怖いのは、自分の家が出火元とは限らないことです。

「私は火の元に十分すぎるくらい注意しているから大丈夫」と自信をお持ちのお客様がいましたら、延焼の可能性についても説明しましょう。

もし近所の火事で延焼しても、法律では「重大な過失がなければ賠償責任を求めることができない」と決められています。

そのため自分で保険に入っていないと、大変な損害が出てしまう危険もあるのです。

ですから、そちらの観点による火災保険の必要性についても話しておくとよいでしょう。

地震保険の基本的な補償

地震保険は、地震のほかにも噴火や津波による被害を補償します。

保険の対象は「建物と家財」で、居住用の建物のみ加入できるのが特徴です。

単独加入はできず、必ず火災保険とセットでの加入になります。

国と保険会社の共同運営なので、会社による保険料の違いはありません。

地震保険の契約でとくに説明しておきたいのは、保険金額についてです。

なぜなら該当する災害で建物が損壊した時に、再建できるくらいの補償を受け取れるイメージをもつお客様が多いからです。

けれども地震保険の目的は「再建費用などの補てん」なので、火災保険の設定金額の30~50%しか設定できません。

さらに受け取れる金額は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の四段階の程度により、100%から5%まで設定されています。

たとえ全損して100%の保険金がもらえたとしても、火災保険の保険金額の50%が上限ですから、お客様によってはイメージよりもだいぶ少ない印象になるかもしれません。

ですから、この部分に関しては必ず説明をするように心がけましょう。

火災保険で知っておきたい特約5選!

火災保険は、基本補償だけでは対象外の部分も特約をつけると補うことができます。

けれども保険に詳しくないと、何が補償されて何が対象外なのかは把握しづらいものです。

また特約にはたくさんの種類があるので、どれが必要なのかわからないお客様も多いでしょう。

そこで火災保険の契約時に、念入りに説明しておきたい特約やオススメしたい特約を5つご紹介します。

新価保険特約

火災保険での保険金額の設定には、「新価」と「時価」があります。

新価は建物の再建にかかる額が補償されますが、時価は被害にあった時点の建物の価値に応じた額しか補償されません。

つまり時価での契約だと、家を建て直すのに十分な額がもらえないかもしれないのです。

その場合は「新価保険特約」をつけていると、再建に必要な額がもらえるようになります。

最近は、新価で補償される契約の保険が一般的になりました。

その場合は、特約をつけなくても再築に必要な額がもらえます。

つまり裏を返せば、新価保険特約がある保険会社は、基本補償が時価である可能性が考えられるのです。

ですから新価が一般的になったとはいえ、必ず新価契約だと思ってしまわずに、きちんと確認をすることが大切でしょう。

類焼損害特約

自分の家が火元となる火事が、近所に延焼してしまった場合などに備える特約です。

延焼による損害賠償は、寝たばこなどの重大な過失と認められる場合でなければ責任を負いません。

けれども責任がないからといって何も補償しないのは、気持ちが落ち着かないものではないでしょうか。

特約をつけないと延焼先への補償はありませんので、もしものことを考えると重要度が高い特約といえます。

勘違いしやすいのは、相手が火災保険に加入している場合は、その保険で足りない分だけが補償される点です。

相手先の被害がすべて補償されるわけではありませんので、誤解がないように注意しましょう。

失火見舞金費用補償特約

類焼損害特約と似ているので間違えないようにしたい特約です。

自宅が原因の火事などで近所に損害を与えてしまった場合、1世帯につき20~50万円ほどの見舞金が出ます。

優先したいのは類焼損害特約ですが、こちらも万が一の場合に備えてつけておくと安心でしょう。

保険会社によっては「類焼損害・見舞費用特約」のように2つがセットになっていることもあります。

個人賠償責任特約

他の人に対してケガを負わせたり物を壊してしまい、損害賠償責任が生じた場合に備えてつける特約です。

ボールで隣の家の窓ガラスを割ってしまった、自転車で人にぶつかりケガをさせてしまったなど、さまざまな損害に対して補償されます。

とくに最近自転車による重大事故が増えているため、自治体で自転車保険に加入することが義務付けられつつあります。

そのため自転車事故にも対応している個人賠償責任特約は、つけるのがオススメの特約でしょう。

火災保険に個人賠償責任特約をつけるメリットは、さらに2つあります。

ひとつは、火災保険に入っている間は特約がなくならないという点です。

個人賠償責任保険は火災保険以外にも、自動車保険や個人の保険などで特約として用意されていることが多くあります。

けれども、そのような保険につけた場合は、解約した時に補償がなくなったことに気付かない恐れがあります。

その点火災保険は、住宅に住む際に必ず加入するものですから、解約により補償がなくなるような心配はありません。

もうひとつのメリットは、個人賠償責任保険の多重加入を防げることです。

個人賠償責任保険はさまざまな保険の特約にあるので、二重三重に加入してしまうことも考えられます。

ですから「火災保険につける」と決めておくとシンプルでわかりやすく、どの保険でつけたか忘れてしまったという事態も防げるでしょう。

以上の理由から、火災保険の契約では個人賠償責任特約をオススメしましょう。

借家人賠償責任・修理費用補償特約

賃貸物件の借り主に必須の特約です。賃貸物件の場合、借り主の火災保険は家財保険が基本になり、そこに特約としてつける形になります。

火災などで建物に損害が出た際に、高額になる損害賠償金を借り主が支払えないリスクがあります。

ですからオーナーのためにもこの特約をつける必要があることを、借り主にきちんと説明しましょう。

特約にはたくさんの種類があり、各保険会社で異なります。

上記5つの特約も、保険会社によって名称や内容の違いがある点に注意しましょう。

また今回挙げた以外にも、基本契約では補償できない「借り物を損壊してしまった時の補償」や「外出先に持って行った家財を壊してしまった時の補償」など、さまざまな特約があります。

ぜひさらに理解を深めて、それぞれのお客様に合わせて特約をご紹介できるレベルを目指しましょう。

地震保険も火災保険の特約で強化できる

火災保険には特約がたくさんありますが、地震保険につけられる特約はありません。

けれども火災保険に追加することによって、地震保険を補える特約があります。

地震保険の補償は最大で火災保険の設定金額の50%ということを知らないお客様は多く、知った時に「もっと補償を増やせないのか」と言われる方もいるでしょう。そのような時にご説明したいのが、地震保険に上乗せできる特約です。

地震火災費用特約

火災保険には基本的に、「地震火災費用特約」が自動で設定されています。地震による火災で建物が損壊した場合に、保険金額の5%が支払われる特約です。

ただし地震による倒壊や津波被害などは対象外であるうえ、上限も300万円なので十分に手厚いとは言い難いでしょう。

地震火災費用保険金支払い割合変更特約

「地震火災費用特約」の支払い割合を50%まで上げられる特約です。

ただし対象になるのは地震による火災になりますので、耐震性が高い建物や津波の心配がない立地の場合にはオススメです。

地震危険等上乗せ特約

地震による火災のほか、倒壊や津波被害も補償される特約です。

地震保険と同額が補償されるため、合計で火災保険の設定金額の100%を受け取ることができます。

なお地震保険は保険料控除の対象になりますが、上記の特約のなかで控除対象になるのは「地震危険等上乗せ特約」です。

その点についても忘れずに説明できるとよいでしょう。

まとめ

火災保険や地震保険は、特約次第で補償を手厚くすることができます。

あとから「知っていれば入ったのに!」などのクレームにならないように、最低限ご紹介した特約については説明することを心がけましょう。

さらにお客様の状況に応じた提案ができるようになると、信頼度や業績アップにつなげることもできそうです。

スキルアップを目指して、さまざまな特約の知識を深めましょう。

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