売買仲介会社を経営していますが、店舗展開するなら複数市町村と同一市町村内のどちらがお勧めですか?|不動産仲介営業お悩み相談室

不動産業界でご活躍のあなた、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。
今回は「売買仲介会社を経営していますが、店舗展開するなら複数市町村と同一市町村内のどちらがお勧めですか?」というお悩みを取り上げます。
複数市町村か同一市町村かでお悩みということは、もう複数店舗を出店することは決定事項なのでしょうけれども、それは何故ですか?
多店舗展開すれば会社は強くなると、そう思っておられるのでしょうか?
ここで、本題に入る前に少し宅建試験の勉強を思い出していただきましょう。
今まさに現役で宅建の勉強をなさっておられる方は、現時点でのお話になりますね。
宅建業法に関する勉強をしている時、講座講師から次のような質問を受けたことはありませんか。
「都道府県知事免許の宅建業者と国土交通大臣免許の宅建業者、規模が大きい宅建業者はどちらでしょうか?」
答えは「どちらの規模が大きいとは免許の違いからは分からない」です。
1つの都道府県内に10店舗展開していても都道府県知事免許ですが、東京に1店舗、神奈川に1店舗の店舗展開では国土交通大臣免許になりますからね。
ここでは「えー!国土交通大臣免許の方が大きそうに思うのになぁ。引っかかったー!」と残念がるのがお約束かも知れません。
しかし、本稿をご覧くださっている方でしたら、こんな問題で引っかかる方はいらっしゃらないでしょう。多分…。笑
では、ここからは宅建の試験勉強を離れて実務的な話をして参ります。
次の問題に答えてください。
Q.10店舗を展開している不動産会社と、2店舗の不動産会社ではどちらの規模が大きいですか?
ここでいう「規模」の解釈が難しいところですが、AIに、会社の規模って何ですかと尋ねたところ「従業員数や売上の大きさ」と答えましたので、ここでは従業員数や売上の大きさを会社の規模と定義します。
では、答えを申し上げますね。
A.店舗数だけでは会社の規模は分かりません。
これが答えです。
店舗数2店舗と10店舗では、10店舗を展開している不動産会社の方が大きく見えますが、そんなことはございません。
特に最近では「極少数の人員のみを配置した買い取り専門店舗」を多数出店されている不動産会社さんも多くいらっしゃいます。
このような店舗は実質、出張所や相談窓口程度の規模であり、一般的に思い浮かべる不動産店舗とは出店趣旨も規模も全く異なります。
これらの要素も勘案して10店舗を展開している不動産会社と、2店舗の不動産会社ではどちらの規模が大きいかという問いに対しては、店舗数だけでは会社の規模は分かりませんという答えになるのです。
では、もう1問出題します。
Q. 10店舗を展開している不動産会社と、1店舗だけで営業している不動産会社では利益を多く上げているのはどちらですか?
どうですか?もう答えは思いつきましたか?
では、解答いたします。
A.店舗数だけでは、どちらが多く利益を上げているか分かりません。
店舗数だけでは利益の多い少ないかを知ることはできません。
実際、私の知り合いの不動産会社は社長と事務員1名の2名で営業されていますが、10店舗ほど展開している不動産会社の一般的な利益よりも多くの利益を上げています。
また、私のクライアント先でも地域密着の1店舗規模で、営業担当1名あたり6,500万円~8,000万円程度の年間仲介手数料を上げている方が何人もいらっしゃいます。
これに対し世間では、複数店舗展開して固定費が多くかかっているものの、営業担当者1名あたりの仲介手数料が年間1,200~1,500万円程度なんていう不動産会社さんも多いようです。
このように多店舗展開を進めた結果、管理コストだけが膨らみ、現場の生産性が崩壊していく会社を私は何度も見てきました。
あなたもこのような会社をご存じなのではないでしょうか。
つまり、不動産会社の儲けは会社の規模と比例するわけではないのです。
私が新卒で不動産業界に入った(平成8年)頃、業界の大先輩から次のように教えていただきました。
「儲からないからといってエリアを広げる不動産屋は駄目だよ。必ず失敗する。だってそうじゃないか、広げた先にも強い不動産会社はいるのだからね。隣の芝生は青く見えがちだけどそんなことはない。不動産屋っていうものは儲からなくなればエリアを狭めて、そのエリアに集中することが業績改善の道なのだ。これはずっと覚えておくといいよ」
今回、「売買仲介会社を経営していますが、店舗展開するなら複数市町村と同一市町村内のどちらがお勧めですか?」とのご質問をくださった方への答えとして、上記の言葉をお伝えします。
この言葉を教えてくださった方は残念ながら鬼籍に入られましたが、私もクライアントから相談を受けるたびに、この言葉を噛みしめています。
多店舗展開し規模を大きくすることだけが、不動産会社が生き残る道ではありません。
選択と集中により最重要商圏を確定し、そのエリアを守りながら育てていく、そんな地域密着農耕型不動産営業という手法も十分に戦える方法であることを理解してください。
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株式会社レコ
不動産業専門コンサルタント
梶本幸治
本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。
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