宅建業者はコンサルティング報酬を受け取れる?媒介業務以外の関連業務を行う際の注意点

宅建業者はコンサルティング報酬を受け取れる?媒介業務以外の関連業務を行う際の注意点

不動産営業の中で、「物件の売買仲介だけでなく、相続対策や空き家の活用方法まで深くアドバイスしたのだから、仲介手数料とは別にコンサルティング料をもらえないだろうか?」と考えたことはありませんか。

実は、一定のルールを守れば、不動産会社は仲介手数料とは別にコンサルティング報酬を受け取ることが認められています。本記事では、難しい法律の知識がない初心者でもスラスラ理解できるよう、媒介業務以外の関連業務を行う際の報酬の受け取り方と注意点を噛み砕いて解説します。

結論から言うと?コンサルティング報酬受け取りのキホン

結論として、不動産会社は「物件の仲介業務」とは明確に区別した上で、事前にお客さまに業務内容や報酬額を説明し、「別の契約」を書面などで結べば、仲介手数料とは別にコンサルティング報酬を受け取ることができます

これは、レストランでの「食事代」と「料理教室の参加費」に例えるとわかりやすいでしょう。

宅地建物取引業法(つまり不動産業界のルールブックということ)では、レストランの食事代(仲介手数料)は上限金額が決まっており、それ以上請求してはならないとされています。

しかし、お客さまから「料理の作り方を教えてほしい」と頼まれて料理教室(コンサルティング)を開く場合、食事代とは別に「料理教室の参加費」をもらうことは何の問題もありません。

ただし、食事のついでに勝手にアドバイスをしておいて、お会計の時に突然「料理教室代も払って」と言うのはルール違反です。

事前に「料理教室の契約」を別に結んでおくことが、ここでのルールの本質となります。

そもそも「媒介以外の関連業務」とは?

なぜ今、不動産会社に関連業務が求められているのか

宅地建物取引業者(つまり不動産会社ということ)は、単なる物件の仲介役にとどまらず、金融機関や司法書士などの専門家と協力しながら、不動産取引の全体的な流れを消費者にわかりやすく説明し、適切な助言を行う総合的な調整役としての役割が期待されています。

特に近年では、全国的な空き家や空き室の増加が大きな社会課題となっています。

そのため、不動産取引や利活用のプロフェッショナルである不動産会社や宅地建物取引士(つまり不動産取引の専門資格を持った人ということ)に対して、自らが持つ専門ノウハウを活かし、所有者のニーズに応えるための「媒介業務にとどまらない役割」を発揮することが強く求められているのです。

具体的にどんな業務が含まれる?

具体的には、不動産会社自らが積極的に取り組むべき業務として、以下のようなものがあげられます。

  • 空き家や空き室の利活用に関する課題の整理
  • 相続などにおける複雑な権利関係への専門的なアドバイス
  • お客さまにとって最適な不動産の利活用方針の提案
  • 遠方に住んでいて自ら管理できない所有者に代わって行う、空き家や空き室の管理業務

これらのような、物件の仲介に先立って行われる助言や、いわゆる不動産コンサルティング業務(つまり不動産の有効活用や相続対策などの専門的なアドバイスを行う業務のこと)が「媒介以外の関連業務」に該当します。

別途報酬を受け取るための3つの絶対ルール

不動産会社がこれらの関連業務を提供し、適正な報酬を受け取るためには、法第46条第2項(つまり宅建業法で定められた仲介手数料の限度額ルールのこと)に違反しているとみなされないよう、厳格な手順を踏む必要があります。以下の3つのルールを必ず守りましょう。

媒介契約とは「別の契約」を結ぶこと

最も重要なのは、媒介業務(つまりお客さまの間に立って不動産の売買や貸借の契約をまとめる仲介のこと)とコンサルティング業務などの関連業務をしっかりと切り離すことです。

不動産会社は、媒介契約(つまり不動産会社に仲介を依頼する契約のこと)とは別に、業務内容や報酬額を明らかにした書面等によって、新たな業務委託契約を締結しなければなりません。

事前に業務内容と報酬額を明確にして説明すること

関連業務を行う場合、あらかじめその業務内容に応じた料金設定を行うなどして、報酬額の明確化を図る必要があります。

「とりあえず相談に乗って、後から適当な金額を請求する」といった進め方は許されません

事前に契約内容を十分に説明し、依頼者の理解と合意を得た上で契約に進むことが絶対条件です。

業務の種類契約の扱い報酬の扱い
媒介業務(仲介)媒介契約を結ぶ法律で定められた上限額の範囲内
コンサルティング等の関連業務媒介契約とは別に契約を結ぶ事前に合意した設定料金を受け取れる

成果物がある場合は書面等で交付すること

不動産の利活用方針の提案書や、空き家の調査レポートなど、コンサルティング業務を行った結果としての成果物がある場合には、それらを書面で交付するなどの対応を行うことが求められています。

目に見える形で成果を提示することで、お客さまの納得感や安心感を高めることにつながります。

これらのルールを正しく守って結ばれた別の契約に基づいて報酬を受け取ることは、宅建業法が禁じている「限度額を超えた不当な報酬の受領」には該当しないと公式なガイドラインでも明言されています。

このルールがあるメリット・デメリット

このコンサルティング報酬に関するルールが明確に定められていることには、次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

お客さま側

事前に「何をどこまでやってくれて、いくらかかるのか」が明確な別の契約書を取り交わすため、後から名目不明な高額費用を上乗せ請求される心配がなく、安心して専門的なアドバイスを受けることができます。

不動産会社側

今まで「仲介手数料の上限があるから」と無料でサービスしがちだった複雑な相続相談や空き家調査について、正当な対価(コンサルティング報酬)を堂々と受け取れるようになるため、新しいビジネスの柱として取り組みやすくなります。

デメリット

不動産会社側

仲介の世間話の延長線上で何となくアドバイスをしただけでは別途報酬を請求することはできず、必ず事前に「別の契約書」を準備して合意を得るという事務的な手間がかかります。

まとめ:ルールを守って正当なコンサルティング報酬を得よう

宅建業法における「媒介業務以外の関連業務」のルールは、不動産会社がコンサルティングや管理業務を行う際、仲介業務とは明確に切り離して事前契約を結べば、別途報酬を受け取ってよいというものです。

  • 空き家相談や相続アドバイスなどのコンサルティング業務が対象となる
  • 媒介契約とは「別の契約」として書面等で締結しなければならない
  • 事前に業務内容と料金設定を説明し、お客さまの合意を得ることが必須である

不動産営業において、お客さまの悩みに寄り添うコンサルティングは非常に価値のある仕事です。

「仲介のついで」にするのではなく、独立したプロのサービスとしてしっかりとした契約手順を踏み、お客さまの課題解決と自社の利益アップの両立を目指しましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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