AI不動産価格査定書を導入しようと思いますが、なにか気を付けるところはあるでしょうか?|不動産仲介営業お悩み相談室

不動産業界でご活躍のあなた、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。
今回は「AI不動産価格査定書を導入しようと思いますが、何か気を付けるところはあるでしょうか?」というお悩みを取り上げます。
AI査定書を導入している不動産会社も多くなりました。
本稿をご覧いただいているあなたの会社でも、AI査定書を導入されているのではないでしょうか。
自動で査定が作成できるサービスも、ひと昔前までは「不動産価格査定書作成ソフト」などが主流で、算出される査定価格もめちゃくちゃでした。
当時、このような不動産価格査定書作成ソフトで私の自宅も査定してみましたが、「こんな高い査定価格なら今すぐ売るわ!」と思うものから、「こんなに安いわけないだろ! 馬鹿にするな」と思うものまで、精度は各サービスまちまちで、とても信用して利用できるクオリティではなかったと記憶しています。
しかし、単なる不動産価格査定書作成ソフトではなく、AI査定書が主流となった今、その精度には目を見張るものがあります。
特に都心部の区分所有マンションの査定では、驚くほど高い精度で査定価格を算出してくれます。
AI査定書の登場と精度の向上により、商圏を広くとっている買取再販業者さんや、区分所有専門業者さんは仕事がやりやすくなりましたね。
以前なら、その対象物件の地元不動産業者に価格をヒアリングしたり、レインズの成約情報を精査したりして価格を知り、その上でお客様にお見せする査定書や提案書を作成していましたが、今やAI査定書でサクサクっとできてしまうのですから、本当に便利な世の中になりました。
このように非常に便利なAI査定書ですが、その導入や運用にあたって何の問題もないのでしょうか。
前述のように商圏を広くとっている不動産会社さんでは、多少査定価格に齟齬があっても、コストやスピードを考えればAI査定書の導入も理解できます。
しかし、商圏を絞った(人口30万人~50万人程度)地域密着型の不動産会社ではそういうわけにはいきません。
このような地域密着型の不動産会社では、商圏内で「どの不動産が、どの時期に、どれだけの販売期間で、どのくらいの価格で売れたのか」を知っておくのはもちろんのこと、できればその売主の売却理由や、買主のおおまかな属性も知っておきたいところです。
売主の売却理由や買主の属性は成約価格に大きく影響を及ぼすことから、これらの情報収集のため、値付業者を訪問して成約に至るまでの話をヒアリングできれば最高です。
もちろん、その値付業者のプライバシーポリシーの範囲内に限りますが。
つまり、地域密着型の不動産会社ではAI査定書を作らないと査定価格が分からない、または査定価格に自信がないようでは困るのです。
私のクライアント先で、地域密着型の不動産会社に対しては、不動産価格査定は次の手順で行っていただくようにご提案しています。
【不動産価格査定の手順】
- まず現地を見て、直感で価格を考える。
「ん~~。この物件は…2,380万円!…だと私は思う。」 - 事務所に帰り、電卓で価格を出す。
「敷地が〇坪、坪単価が〇万円、建物の残存価値が…合計2,240万円!」 - 最後にAI査定書で価格算出。
「カタカタ…ピコーン!! 価格は2,200万円~2,460万円。」
このような1~3までの手順を経て査定価格を決めるわけですが、AIでの査定価格は最後に念のため見てみる程度にした方が良いと思います。
上記の物件であれば、電卓でたたき出した2,240万円と2,380万円の真ん中である2,310万円程度を査定価格とすべきで、AIの価格である2,200万円~2,460万円は参考として見ておく程度でいいでしょう。
直感と手計算の平均で査定価格を決めるとは、なんて乱暴な算出方法だとのご批判を受けそうですね。
しかし、この直感と手計算を混ぜ合わせる手法で算出した価格は、結果として「芯を食っている」ケースが多いのも事実です。
ベテラン営業ほど、この感覚を言葉で説明するのは苦手ですが、不思議と価格は大きく外しません。
当然、直感をこれだけ重視するためには相当の実務経験と相場勘が必要ですが、このような一見乱暴な査定価格算出方法も頭の片隅に置いておいてください。
全国すべての不動産成約データをカバーするデータベースが無い以上、現時点ではAI査定書を妄信することは危険です。
そして少し古臭いことを申し上げるようですが、地域密着の不動産営業担当なら、物件を見ただけでおおよその価格を言えるくらいにならなければプロとは言えないと思いませんか。
これだけAIが発達し、不動産テックのサービスが充実しているにも関わらず、まだまだ地元の不動産会社がお客様のお力になれる拠り所は、「その街と、その街の不動産に精通している」という点であり、この点を十分に理解されたうえで不動産価格査定書を導入されるのであれば、業務効率向上の効果も期待できるでしょう。
これからの時代はAIを使う能力が重要だと巷間言われております。
しかし、地域密着型不動産営業の現場においては「AIを使う能力」だけでなく、「不動産実務の実力を身につけ、その上でAIを使いこなす能力」を養ってください。
これこそが、地域密着型不動産会社がAI時代においても選ばれ続ける理由ではないでしょうか。
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株式会社レコ
不動産業専門コンサルタント
梶本幸治
本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買仲介の仕入れ営業・販売戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。
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