【マンション大規模修繕工事の談合発覚から考える】媒介業者が理解すべき情報非対称性とチェックの要諦

分譲マンションの大規模修繕工事は、建物の経年劣化による性能の低下を回復することで耐久性と寿命が向上し、ひいては居住者の安全確保や資産価値の維持にも貢献する欠かせない工事です。
それだけに修繕計画の立案や事業者選定、資金調達は重要です。
しかし、近年の建築資材の高騰による工事費の増加により、修繕積立金の引き上げを検討する、あるいは修繕計画を見直す管理組合も増加しています。
そもそも、修繕積立金を負担するのは各区分所有者である一方で、工事の実施による恩恵を享受するのも区分所有者です。
したがって、工事に必要な資金を負担するのは仕方がありません。
しかし、その貴重な積立金が管理会社や設計監理コンサルタント、施工業者などによって不当に浪費されているとしたら話は変わります。
公正取引委員会は、「長谷工リフォーム」(東京都港区)や「大京穴吹建設」(高松市)など工事会社三十数社に対して独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、計約16億円の課徴金納付を命じる方針を固めました。
さらに、設計監理コンサルタント会社2社を含む約40社に対して再発防止を求める排除措置命令を出すとしています。
公正取引委員会はすでに、各社に対して処分案を通知済みで、意見聴取を経たうえで最終的な判断を下すとしています。
筆者は現在、自身が居住する分譲マンションの理事を拝命し、定期総会や臨時総会に参加して必要に応じ意見を述べています。
理事会は、自薦・他薦を問わず様々な経歴や知見を有した理事で構成されていますが、必ずしも建築や区分所有法、マンション管理適正化法などに造詣が深い方ばかりではありません。
むしろ、そのような知識を有している理事の方が少数派とさえ言えるのです。
そのため、例えば修繕業者の選定や見積金額が適正か否かについては管理会社がイニシアティブを担うことも多く、それだけに施工業者や設計監理コンサルタントとの癒着や価格操作、談合などが発生する温床となり得るのです。
誤解されるのを承知で申し上げれば、多くの管理組合において理事の大半はいわば素人であり、プロフェッショナルである管理会社や設計監理コンサルタント、施工業者にとっては情報や知識の非対称性を利用することは容易です。
しかし、そのような恣意的な目的で談合や収賄が常態化し、区分所有者が長年にわたり負担してきた貴重な積立金が浪費されるようなことがあってはなりません。
本稿では、典型的な談合の手口を解説すると共に、管理組合や区分所有者が不利益を被らないために、私たち媒介業者が留意すべき事項について詳述します。
どのように談合の温床が醸成されるか
公正取引委員会による摘発の報道を見て、「なぜ談合が長年にわたって見過ごされてきたのか」と疑問を抱く方は多いでしょう。
ですが、分譲マンションの大規模修繕工事を巡る談合の発覚や公正取引委員会による処分は、何も近年特有の問題ではありません。
建設業界全体に目を向ければ、排除措置命令など独占禁止法違反に基づく法的措置は決して珍しいものではなく、談合問題が繰り返し指摘されてきたことも事実です。

世間一般では、独占禁止法という略語が定着しており、その正式名称が『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律』であると理解している方はそれほど多くないような印象を受けます。
しかし、この法律が公正かつ自由な競争を促進するため施行され、それ以来何度も改正されてきた経緯があることは漠然ではあっても認知されていることでしょう。
中でも、2019年から2020年にかけて施行された改正独占禁止法は、1977年の改正で導入された課徴金制度の見直しが図られたこともあり注目されました。
具体的には、課徴金額の算定についての対象期間(算定期間の上限)が、調査開始日から最長10年前まで遡及できるように改正されたのです。
このように、違反した場合の金銭的なペナルティーはもとより、風評により企業イメージが大きく損なわれるリスクがあるのに、なぜ不当な取引制限に該当するカルテルや談合はなくならないのでしょうか。
これには、「市場の構造的要因」「企業倫理と生存本能の衝突」「意思決定における心理的バイアス」という3つの根深い問題が、深く絡み合っていると言われています。
大規模修繕工事は、耐久性の維持や向上に必要とされる工事が同一内容であれば、価格以外の差別化を図ることが容易ではありません。
受注件数や企業の規模・沿革、上場の有無などが一定の目安となり得ますが、大規模修繕工事を組織的に請け負える規模の事業者であれば、安全管理体制や施工精度、使用する部材の質や規定量において極端な差異は生じにくいと言えるでしょう。
そのため、管理組合から受注を獲得するための決定的な要素となるのが、提示する見積価格です。しかし、他社との価格競争に終始すれば、施工業者が適正利益を確保することが困難となります。
その結果、健全な競争を避けて利益を担保しようとする動きが生じ、管理会社や設計監理コンサルタントを取り込んで競合他社を排除する、あるいは談合によって恣意的に請負金額を高値で維持したうえで、受注機会を順番に配分しようと他社へ働きかける事業者が現れるなど、業界構造そのものが不正の温床となりやすい土壌を形成してしまうのです。
さらに、こうした利害関係者に取り込まれるのは管理会社や外部コンサルタントに留まりません。
時に、長年にわたり理事長などの役職を担ってきた特定の区分所有者が、業者側と癒着して管理組合内の意思決定を誘導するケースも実際に確認されており、問題はより深刻化しています。
典型的な手口と手段
媒介業者が、このように不正な状況の発生を防止する手段をアドバイスするならば、その手口を理解していなければなりません。
そこで実務上、頻発している代表的な手口を詳述します。
①公募条件の恣意的な操作(絞り込み)
大規模修繕工事は、工事内容が「通常の建物維持管理」か「共有部の重大な変更を伴う」かによって決議要件は変わりますが、通常は区分所有者および議決権の各2分の1以上の賛成、つまりは「普通決議」で行われます。
これは、施工業者の選定についても、通常は普通決議によって承認されます。
しかし、実務的にはどの事業者へ見積りを依頼するか、つまりは業者を絞り込むためのプロセスに関しては管理組合による主導が一般的です。
しかし、管理組合の各理事が、必ずしも建築実務に精通しているとは限りません。
見積書に目を通しても、仮設費、共通工事費、直接補修費などの計上項目やそれぞれの金額が、工事内容や規模に対して適切か否かを見抜くことすら困難なのです。
そこにつけ込む形で、管理会社、設計監理コンサルタント、一部の理事などが、あらかじめ特定の工事業者しか満たせないような「施工実績」「資本金」「本店所在地」といった過剰な条件を公募要領に設定するのです。
これにより、真面目で安価な競合他社をエントリー段階で合法的に排除し、談合グループ内の企業だけで候補を固めるのです。
筆者の知る限り、普通決議の場で施工業者の選定に異議が申し立てられるケースは稀で、仮に問題視されたとしても、数の論理で可決されてしまうのが一般的です。
仮に、恣意的な形で業者選定が行われている証拠を得たとしても、それを突きつけて総会で問題視されない限りは、区分所有者個人の力で総意を覆すのは、極めて困難であると言わざるを得ません。
②見積金額の事前調整とサクラ
本命である事業者が管理組合に対して提示する金額をあらかじめ決めておき、談合に参加する競合他社に、本命より高値の見積書を提出させる手口です。
管理組合に対しては、「複数の事業者を競わせた結果」と主張できると同時に、本命業者が最安値でありバランスにも優れていると誤認させることができます。
③バックマージンの供与と理事の囲い込み
事業者同士が事前に協議して、受注業者や入札価格を決定するのが談合ですが、違法ではあるものの輪番制(受注機会を順番に割り当てる慣行)や降り賃(受注を辞退した業者に支払われる調整金)の支払いなど、業界内の悪しき慣習ともいえる暗黙のルールが存在します。
さらに、管理会社、設計監理コンサルタント、一部の理事を取り込む手段としては、現金のほか物品(高級時計など)、旅行、飲食の供与などが行われます。
説明するまでもありませんが、それらの原資はすべて請負金額の諸経費や工事費用の水増し金額に、巧妙に紛れ込まされています。
つまり、実際に負担しているのは各区分所有者なのです。
大規模修繕工事の積立金は、各区分所有者がこれまで負担し続けてきた貴重な資金です。
当然、無駄を省き有効に使用されなければなりません。
ですが、様々な供与によって取り込まれた関係者は、選定委員会や総会において、巧みなトークや不当な評価点操作を行い、何としてでもその施工業者が選ばれるように、組合内の合意形成を誘導するのです。
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詳述した典型的な手口以外にも、例えば2026年5月、施工会社の社員2名が神奈川県横浜市のマンション管理組合が組織した修繕委員会に潜り込み、議論を特定の方向に誘導しようとした、いわゆる「修繕委員へのなりすまし事件」が報じられました。
世間では前代未聞と言われているようですが、このような「なりすまし」に似通った手口が横行しているとの話は、かなり以前から筆者は耳にしていました。
その背景には、典型的な手口と同様に、従前から業界内で指摘されてきた根深い構造が存在するからです。
事件のあった横浜市では、ホームページ上で再発防止に向けて注意喚起を促しています。

主に、不動産取引を担う媒介業者が、直接的な形で大規模修繕工事に関与する可能性は少ないと考えられます。
しかし、不正な手段によって大規模修繕工事が発注されれば、貴重な積立金の一部が不必要に浪費されます。
それにより、次回の大規模修繕工事に備えるための修繕積立金が引き上げられれば、直接的な被害を被るのは私たちが物件を紹介した区分所有者です。
また、談合などの事実が公になった場合、風評被害によりマンションの資産性やイメージが損なわれる可能性もあるのです。
このような被害を未然に防止するためにも、不正の手口を理解しておくことが重要だと言えるでしょう。
タワーマンションは特に注意が必要か?
タワーマンションには法律上、明確な定義は設けられていません。
しかし、一般的には高さ60m以上、階数にしておよそ20階以上の建物がタワーマンションと称されています。
これは建築基準法第20条で『建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、当該各号に定める基準に適合するものでなければならない』と規定され、さらには続く第一号で、次のような規定が設けられていることが影響していると考えられています。
『高さが六十メートルを超える建築物。当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。この場合において、その構造方法は、荷重及び外力によつて建築物の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の政令で定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること』
つまり、60mを超える建築物は一般的に20階以上に相当すると考えられるため、これが判断基準の目安となっているのです。
日本においてタワーマンションが本格的に普及し始めたのは、一般的に1997年の建築基準法改正以降と言われていますが、その起点となった建物は1971年(昭和46年)に竣工した「三田綱町パークマンション」だとされています。
とはいえ、地上19階建て、高さ約52mの建物でしたから近年の認識ではタワーマンションと称して良いのかという議論もあるようですが、当時の建築技術水準としては画期的な建物であったことは間違いありません。
その後、1976年(昭和51年)には地上21階建を誇る「与野ハウス」が竣工されるなど、少しずつ超高層建築物は普及していきますが、当時は都心部においても低層建物が主流であったため、容積率や日影規制が非常に厳しく、超高層建物を建築するためには広大な敷地が必要であるなど、障害が多かったのです。
その問題を一気に払拭したのが、1997年(平成9年)の都市計画法及び建築基準法の改正です。
新たに創設された「高層住居誘導地区」では、廊下や階段などの共用部分を容積率の算定から除外することが認められ、さらに一定の条件下では日影規制についても特例が設けられました。
これにより、同様の敷地面積でもより多くの住戸を確保できる、つまりは超高層の建築物の施工が、従来と比較して容易となったのです。
デベロッパーとしては、地価が高騰しても、より多くの住戸を確保できれば採算性が見合います。
これにより超高層建築物、つまりはタワーマンションの普及が加速されるようになったのです。
ですが、ここで問題が一つあります。それが、本稿のテーマの一つでもある大規模修繕です。
明確な統計資料は確認できないものの、筆者の実務経験上、分譲マンションの平均的な階数は10階~15階建て、高さにして約30~45m程度ではないかと考えています。
仮に、それが平均値であるとした場合、大規模修繕費の総額に占める仮設工事(足場代など)は19~25%だと筆者は認識しています。
これは、国土交通省が実施した『マンション大規模修繕工事に関する実態調査』で示されている傾向とも概ね整合しています。

建物が高層化すれば、それに比例して外皮面積も増加するため、修繕工事費全体が増加します。
さらに、工事期間の長期化に伴い諸経費も上昇する傾向にあり、国土交通省の調査で仮設工事費の割合が29%に達しているとの回答も確認できます。

一般の中低層マンションと比較した場合、タワーマンションの大規模修繕に関する施工事例の蓄積は依然として十分とは言い難い状況にあります。
これは、国土交通省が実施した超高層マンションの実態調査においても、施工経験を有する事業者や技能者などの不足が課題として挙げられていることからも窺えます。
つまり、問題はタワーマンションの大規模修繕工事について十分な施工実績を有する事業者が限られているということです。
国土交通省の「超高層建築物の大規模修繕受注に向けた取り組み」への質問に対し、「何も対策していない」と回答した事業者が40.2%に達している事実は看過できません。

もちろん、施工業者は可能なら是非にでも受注をしたいのでしょうが、多くの事業者が施工経験の不足に不安を抱き、さらには『技能者や施工に係る人数が不足している』と回答しているのです。

また、タワーマンションの大規模修繕時においては、低・中層マンション以上に高度な安全対策が求められると同時に、超高層建築物特有の設備系統の複雑さ(配管経路など)にも対応しなければなりません。

経験則に基づく知見に乏しければ、超高層建築物であるがゆえに発生する諸問題を事前に察知するのは困難で、見積もりや請負金額の精度が低くなります。
そのため、突発的な事態が生じた場合、追加金額が請求される可能性が高まるのです。
もちろん、請負契約の遵守は当然ですから施工会社からの要望が直ちに受け入れられるとは限りません。
しかし、請求内容が合理的であれば、管理組合が容認せざるを得ない可能性もまた高まるのです。
さらには、施工実績を有する事業者が限られることで競争環境が狭まり、価格形成の透明性が損なわれる可能性も否定できません。
これらの複合的な要因によって、タワーマンションでは、いざ大規模修繕工事の実施を計画した際に、それまで積立てられてきた修繕積立金だけでは不足し、一時金の徴収や管理組合名義で金融機関からの借入が行われ、その結果修繕積立金の引き上げを余儀なくされる事態が生じる可能性もあるのです。
私たち媒介業者は、このようなリスクを正しく理解したうえで、タワーマンションの購入を検討する顧客に対し、長期修繕計画や積立状況について適切な情報提供を行う必要があるのです。
マンション管理は「性善説」だけでは守りきれない
これまで見てきたように、大規模修繕を巡る談合や不正は、決して特殊な事例ではありません。
市場構造や情報の非対称性、管理組合の意思決定プロセス、さらには施工経験を有する事業者の偏在など、様々な要因が複雑に絡み合うことで、不正が発生しやすい環境が形成されているのです。
もちろん、すべての管理会社や設計監理コンサルタント、施工業者が不正に関与しているという意味ではありません。
むしろ、多くの事業者は高い職業倫理を持ち、区分所有者の利益を第一に考えながら誠実に業務を遂行しています。
筆者自身も、30年を超える不動産業務の経験を通じ、これまで数多くの管理会社や建築関係者と接してきましたが、真摯な姿勢で管理組合を支援している方が大半であると感じています。
それだけに、事件が報道されるのを見かけると、強い憤りを覚えます。
一部の事業者による不正行為によって、業界全体が貶められる状況は看過できないからです。
しかし、そのような前提を踏まえたとしても、「皆が善意で行動してくれているはずだ」という性善説だけでマンション管理を語るのは危険です。
そもそも、区分所有者同士は家族や親族、友人ではありません。
世代や職業ばかりか価値観すら異なる人々が、一つの建物を共同で所有し、長期間にわたって維持管理していくという、極めて特殊な共同体なのです。
それだけに、数千万円から数億円、場合によっては十億円を超える資金が動く大規模修繕工事に対し、利害関係や誘惑が生じるのは、ある意味で避けられないとも言えるのです。
だからこそ重要なのが、「誰も不正を行わない」ことを前提とするのではなく、「悪意を持った人間が介在した場合でも、不正が起こりにくい仕組みを構築すること」です。
これは、金融機関における内部統制や上場企業のコーポレートガバナンスと同様の考え方です。
担当者個人の人格や良心に依存するのではなく、例えば次の図で示すように、透明性と相互監視によって不正を抑制する仕組みを整備することこそが重要だと言えるのです。

このような考え方は、区分所有法やマンション管理適正化法が目指している方向性とも一致しています。
私たち媒介業者は、原則として管理組合の取り組みに対して、直接的に関与はできません。
ですが、無関係という訳でもありません。
仮に、大規模修繕工事を巡る談合や不正が発覚すれば、多額の修繕積立金が失われるばかりではなく、管理費や修繕積立金の値上げ、一時金の徴収、さらにはマンションそのもののイメージ低下や資産価値の毀損を招く可能性があります。
その結果、直接的な影響を受けるのは、私たちが仲介した顧客であり、さらには地域全体のマンション市場へ影響を与える可能性もあるのです。
近年、媒介業者に求められる役割は単に売買を成立させることではなくなりつつあります。
購入後の維持管理や修繕計画、管理組合の運営状況まで含めた適切な情報提供を行い、顧客が長期にわたって安心して暮らせる環境を支援することが、重要な責務の一つとなっているのです。
だからこそ、私たち媒介業者は談合や不正の存在をいたずらに煽るようなことはせず、その手口や構造を正しく理解したうえで、必要に応じて顧客に情報提供を行なうなど、健全なマンション管理を支える一助となる行動が求められているのです。
まとめ
歴史や経済活動を俯瞰すると、人間の欲望に限りはないことが分かります。それは、人の集合体である企業についても同様です。
個人であれば、「これだけ稼いだのだから、あとはのんびりと暮らそう」といったリタイが選択される余地もある一方、近代企業は株主や投資家から常に成長や競合他社を上回る利益を求められるのですから、安閑としている余裕はありません。
現状維持を選択すれば相対的なシェアを失い、場合によっては市場から淘汰されかねないからです。
そのため、変化の激しいビジネス環境においては、常に新しい価値やサービスを生む出すための創造的な事業活動を推進していかなければなりません。
しかし、言葉で表すのは簡単ですが、その実現は容易ではありません。
そこで、談合やカルテルの土壌が醸成されるのです。
飽くなき成長への欲求が、時にイノベーションを生み出す原動力となり、時に不正の温床ともなるのです。企業の抱える根源的な矛盾が、そこに存在するのです。
談合やカルテルは、不動産業界や建築業界に限った問題ではありません。
近年も食料品業界など様々な分野で独占禁止防止法違反が疑われる事案が報じられており、不当な取引制限は業界を問わず発生し得る普遍的な問題だと言えるでしょう。
大規模修繕工事は、建物の安全性や資産価値を維持するために欠かすことのできない重要な事業です。
それだけに私たち媒介業者は、その原資である修繕積立金が、区分所有者によって長年にわたり積立てられてきた共有財産であるという原点を、改めて認識する必要があります。
そのうえで、一部の不正によって貴重な積立金が浪費されることがないよう、管理状況や長期修繕計画、修繕積立金の積立状況などについて、プロフェッショナルとしての知見に基づき精査し、顧客に対して適切な情報提供を行うことが、私たちに求められる誠実さだと言えるでしょう。
大規模修繕工事を巡る問題は、決して管理組合や施工業者だけの問題ではありません。
建物の維持管理を通じて顧客の暮らしと資産を守るという視点に立てば、私たち媒介業者もまた、健全なマンション管理を支える重要な担い手の一人だからです。
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