【看板を外した「個」の生存率4割の衝撃】歩合縮小時代を生き抜く不動産営業の普遍的サバイバル論

【看板を外した「個」の生存率4割の衝撃】歩合縮小時代を生き抜く不動産営業の普遍的サバイバル論

国土交通省が公表した『令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について』によれば、令和6年度末(令和7年3月末)現在の宅地建物取引業者数は、132,291業者(大臣免許3,158業者、知事免許129,133業者)となり、11年連続で増加していることが分かります。

宅地建物取引業者数の推移

一般的には、宅地建物取引業者数が増加すれば、総体的に事業所数や従事者数も増加していると推測されがちです。

しかし、実際には必ずしもそう単純ではないようです。

公益財団法人不動産流通推進センターによる『2026不動産業統計集』では、不動産業の民営事業所数が減少しているデータが示されているからです。

民営事業所数の推移

もっとも、同統計における2024年調査では、雇用者のいない個人経営事業所が集計対象から除外されているため、過去の数値と比較する際には一定の留意が必要です。

総務省の『経済センサス(基幹統計調査)』における2024年改定において、主たる事業活動が行われていない事業所や雇用者が存在しない一部の個人経営事業所の捕捉方法が見直されたことが、統計上の『事業者数減少』を増幅して見せている側面を内包しているからです。

さらに、この一見矛盾とも言える現象の背景にはいくつかの要因が考えられます。

第一に、「大手・中堅企業による店舗の集約化」です。

国土交通大臣免許を取得し、複数の都道府県で展開している大手不動産会社では、DXの進展やオンライン接客、IT重説の普及などを背景として、不採算支店を閉鎖や支店の統廃合が進んでいる可能性があります。

この場合、企業単位である『業者数』は大きく変化しなくても、物理的な拠点である『事業所数』は減少することになります。

第二に、「統計上の調査対象や集計方法の違い」です。

不動産流通推進センターが基礎資料としている総務省の「経済センサス」と、国土交通省による宅地建物取引業法の施行状況調査結果では、調査対象や集計方法が異なります。

つまり、先述したように経済センサスにおいては調査手法の変更や集計対象の見直しが行われているため、両者を単純に比較することはできないのです。

したがって、宅建業者数の増加と事業者数の減少は必ずしも矛盾するものではなく、統計上の対象の違いに加え、大手企業による店舗の集約化など、複数の要因が重なった結果と理解する必要があるのです。

それでは、従業者数はどのように変化しているのでしょうか。

不動産流通推進センターの『2026不動産業統計集』では、2021年(令和3年)と2024年(令和6年)を比較した場合、18万6千人以上減少していることが確認できます。

もっとも、これについても経済センサスが基幹情報となっているため、必ずしも実態を正確に反映した人数であるとは断定できません。

不動産業の従業者数

近年では、スモールビジネスとして新規参入する事業者の増加に伴い、少人数あるいは個人で運営される宅建業者が増えているため、調査から漏れ落ちている可能性も考えられるからです。

実際、国土交通省を始めとする各種調査結果では、不動産業の事業所は9割以上が従業者10人以下で構成されていることが示されています。

そもそも、不動産業界は小規模事業者の比率が極めて高い業界です。

事業者数が増加しているからといって、従業者数が大幅に増えているわけではありません。

むしろ、少人数経営の事業者が増加することによって業界全体が細分化している可能性があるのです。

日頃、不動産実務に従事している皆様ならご理解をされているように、不動産業は消費者に住まいを提供する、あるいは資産形成を目的とした取引に不動産プロフェッショナルとして関与する素晴らしい仕事です。

それだけに不断の努力が求められると同時に、不動産実務のみならず、多様な法律や建築関連知識、市況分析や市場動向などについても常に学び続けなければなりません。

そして、多くの場合、その原動力となっているのが「高額な報酬」です。

「成果を上げるほど収入も上がる」

これをモチベーションとして努力を続けていらっしゃる方は多いでしょう。

しかし近年では、大手不動産会社がコンプライアンス強化や不祥事対策などを理由に、従来支給してきた「個人歩合」を縮小し、「チーム制」や「固定給重視」の評価制度へ見直すなど、ゆっくりとではありますが給与体系の変化が進んでいます。

このような構造変化は媒介営業の働き方にも影響を及ぼし始めています。

「大手集約化」と「個人の細分化」

このニ面性を有する構造変化の波が、業界の常識を静かに変えつつあるのです。

本稿では、業界全体の構造が変化しつつある時代、「個」がどのように考え、どのように自身の立ち位置を確立していくべきなのかについて検証していきます。

大手の「集約化」と「個の細分化」が同時進行する時代

DXの進展により、不動産業界においても「エリア」という概念は徐々に薄まりつつあります。

もちろん、物件調査において現場踏査は不可欠です。

しかし、基礎的な調査であれば、パソコンとインターネット環境を整え、一定の知見さえ有していれば、オフィスや外出先からでも容易に行えるようになりました。

さらに、IT重説や電子契約の普及によって、時間や距離の影響を受けることなく取引を締結できる環境が整備されつつあります。

かつては、きめ細かい店舗網や営業エリアの広さが競争の優位性を左右する重要な要素でしたが、デジタル技術の進展によって業界の効率化が進み、必ずしも多くの店舗を維持しなくても顧客対応や取引を行える時代へと変化しているのです。

このような環境変化を背景に、大手不動産会社を中心に店舗戦略の見直しが進んでいます。

大手不動産会社の強みは、何といっても豊富な資本力と全国規模のネットワークを活かした「圧倒的な集客力」と「ブランドの信頼感」です。

テレビCMや大規模なWeb広告による宣伝力に優れ、さらには多角的なサポート体制も整っています。

さらに、定期的な教育制度によって営業が一定レベルの知識と対応力を有していることも、消費者が安心できる要素の一つでしょう。

ですが、その一方で柔軟性に欠けることや、営業担当者の異動や入れ替わりが多く、継続的なフォローに不安があるという消費者からの意見もよく耳にします。

しかし、大手不動産会社が優位性を持つ構図は、今後も大きく変化することはないと思われます。

ですが、序章で述べたように、今後大手不動産会社が「個人歩合」を縮小し、「チーム制」や「固定給重視」へ評価制度を見直す動きが加速すれば、実績を挙げている営業担当者から順に新天地を求め、独立や転職していく可能性は高まるでしょう。

それでは、大手のトップセールスマンが独立開業する、あるいは少数精鋭の地場不動産業者へ転職した場合、従来と同様の成績を上げられるのでしょうか。

これについて筆者は、はなはだ懐疑的な印象を持っています。

自身も経験済みですが、いわゆる看板の影響は本人が自覚している以上に大きいからです。

集客はもとより、顧客に対して説明を行う際における信頼度も企業規模の影響を受けます。

先述したように、筆者自身が大手から中小企業へ転職した際に実感しましたし、転職先で面接担当を担うようになってからは、「年間◯件の契約件数を下回ったことはありません」と豪語して入社した営業が、鳴かず飛ばずのまま離職する後ろ姿を何度も見てきています。

看板の影響力を自身の力と過信してはならないのです。

地場の不動産業者に所属する営業担当者は、何よりも自身を信頼してもらうことに尽力します。

これは、「個」として信頼を得られなければ、説明さえまともには聞いてもらえないからでもあります。

一方で、大手の不動産会社に属していれば、その看板自体が信用を醸成します。

そのため、顧客に対してそれほど自身を売り込まなくても、面談当初から一定程度の信頼を得られた状態でスタートできるのです。この差は、非常に大きいものです。

交渉に要する時間や面談回数を大幅に減らせる可能性があるため、業務を効率化できるからです。

独立、あるいは大手から中小企業へ転職した営業担当者が、最初に戸惑いを覚えるのは、この看板効果とサポート体制の充実度の違いです。

もっとも、これまでの詳述は、大手の不動産会社に所属する営業担当者の能力を否定する趣旨のものではありません。

中小企業の多くは人手不足の影響もあり、教育体制が万全であるとはいえません。

そのため、教育訓練はもっぱら「経験して覚えろ」とばかりに、OJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)に頼らざるを得えないのです。

これにより、叩き上げた実践的な知識が得られる一方で、一定以上の座学を要する法律知識やコンプライアンス、交渉には不可欠な顧客心理に対する理解や、不動産市況を読み解く知見が醸成されにくい側面があるのです。

つまりブランド力や組織力など、大手企業ならではの強みは確実に存在するということです。

しかし、近年では所属する企業規模によらず、SNSや動画配信サービスを通じて自ら情報発信を行い、顧客との接点を自ら構築できるようになりました。

かつてのように、多額の広告費を投じられる企業だけが情報発信において優位性を持つ時代ではなくなりつつあるのです。

つまり、現在の不動産業界は、大手企業が経営資源を集中させ効率化と規模の利益を追求する動きを加速し、個人や小規模事業者は機動力や自身の専門性を武器に独自の市場を切り開くという、二つの異なる方向への進化が同時に進んでいる状態と言えるのです。

大手の「集約化」と「個の細分化」が同時進行する時代

このような構造変化で最も厳しい状態に置かれているのは、中間層の事業者かもしれません。

一定規模の従業者を抱えながらも、大手ほどには資本力や知名度を持たず、かといって小規模事業者ほどの機動力は有していない。

さらに、専門性に特化して差別化を図るには事業規模が大きく、独自性を打ち出しにくいからです。

こうした中堅事業者は、人件費の上昇や広告費の高騰、人材不足など、様々な経営課題に直面しています。

さらに、このような変化は企業経営だけの問題ではありません。

現場で働く営業担当者の働き方や価値観が少しずつ変化し、その結果、「少しでも事業規模の大きな会社に所属していれば安泰」という意識が薄れているからです。

つまり、会社の規模を問わず、一人ひとりがどのような専門性を持ち、どのような価値を提供できるのか、それがこれまで以上に問われる時代へと移行しつつあると言えるのです。

そして、このような構造変化は、近年大手不動産会社で進みつつある「個人歩合の縮小」とも決して無関係とは言えないのです。

大手による「個人歩合」縮小の背景

大手の不動産会社が歩合給(インセンティブ)の縮小・廃止に踏み切る背景には、行き過ぎた成果主義が招いた「囲い込み」などの不祥事や、顧客離れに対する危機感があるものと思われます。

おそらくは、「属人的な営業体制」から「チーム営業」へ転換しなければ、急速に進む業界構造の変化に対応できないと考えた経営陣が、歩合給の縮小・廃止によって過度な成果主義を是正し、

組織全体としてコンプライアンスを徹底できる体制を構築しようと判断したのでしょう。

もっとも、従来不動産業界において営業担当者のモチベーションを支えてきたのは、「高額な歩合給」でした。

そのため、成果と報酬が連動するという構図そのものは、これからも大きく変化することはないと筆者は考えています。

筆者自身、知識を磨き、人脈を広げ、顧客との信頼関係を築き上げることで成果を積み重ね、それに見合った報酬を得ることが自己研鑽を続ける原動力となってきたからです。

このような価値観は、なにも筆者に限ったものではないでしょう。

休日を返上して顧客のもとへ日参し、深夜までの残業を連日繰り返す。残業手当などつきませんから、早く帰れるならそれに越したことはありません。

しかし、努力が成果に結びつけば高額な報酬が得られる。

それを支えとして、過酷とさえ言える業務に従事してきたのです。

これは、あくまで筆者が企業に属していた昭和から平成にかけての話ですから、現在はだいぶ改善されているとは思います。しかし、その本質は大きく変わっていないでしょう。

現在でも同様の働き方を行い、激務の合間に資格取得に励み、市況分析や法改正に目を配りながら顧客のために奔走している営業担当者を、筆者が講師として赴いた企業研修で見かけるからです。

努力の対価として高額な報酬が存在するからこそ、厳しい競争環境の中にあっても向上心を維持し続けることができるのです。

これは、不動産媒介業務が属人的な要素の強い仕事だからでもあります。

顧客から信頼される営業担当者のもとには数多くの紹介が集まります。

そして、その紹介が新たな顧客を生み出す。

こうした好循環を創出できれば、反響に依存する必要はないのです。

しかし、顧客からの信頼を得るためには誠実さも重要ですが、それだけでは足りません。

接客マナーや言葉遣いはもちろんのこと、法律、税制、建築、市況分析など幅広い知識が求められます。

顧客のために奔走する営業ほど多忙ですから、学び続けることが容易ではありません。

だからこそ、自己研鑽に対するインセンティブが重要な意味を持つのです。

したがって、成果と報酬の連動性が弱まれば、優秀な人材ほど自らの能力を正当に評価してくれる環境を求めるようになります。

そもそもが属人的な要素の強い業界なのですから、営業担当者の価値観は、企業への帰属意識よりも自己の市場価値に向かいやすい傾向にあります。

そのため、「優秀な営業ほど早く辞めていく」のは宿命と受け止めている経営者も少なくないのです。

さらに近年では、SNSや動画配信サービス、クラウド型業務支援ツールによって一人、あるいは少人数でも事業を展開しやすい環境が整いつつあるのです。

少人数,事業発展,ホームページ制作,ブランディング

つまり、大手企業が組織力を強みに集約化を進める一方で、成果に対する対価を求める人材は、自らの専門性と機動力を武器に独自の市場を開拓していく。

この流れは、今後さらに鮮明になっていくと思われます。

そして、このような構造変化は、第一章で述べた「大手の集約化」と「個の細分化」をさらに加速させる可能性を内包しているのです。

では、このように細分化が進む不動産市場において、「個」はどのような武器を持ち、いかなる戦略によって生き残りを図るべきなのでしょうか。

次章では、「個」のサバイバル戦略について考えてみたいと思います。

「個」が生き残るためのサバイバル戦略

第一章、第二章で述べてきたように、不動産業界では大手企業による集約化が進む一方で、個人や小規模事業者による細分化も同時に進行しています。

もはや、付和雷同では生き残れない時代とさえ言えるのです。

こうした環境変化の中で、「個」として生き残るためには何が必要なのでしょうか。

近年では、「個の時代」や「フリーランスの時代」といった言葉を耳にする機会が増えました。

実際に、統計局が5年ごとに実施している「就業構造基本調査」の結果(調査期日2022年10月1日)を見ると、有業者のうち本業がフリーランスの数は209万人とされています。

フリーランス,割合,令和4年

フリーランスを選択した理由は、「専門的な技能等を生かせるから」及び「自分の都合の良い時間に働きたいから」の割合が2位までを占めており、この回答は属人的要素の強い不動産業にそのまま当てはまるとさえ言えるでしょう。

ですが、フリーランスとして生き続けるのは容易ではありません。

それを裏付けるように、フリーランス協会が毎年実施している「フリーランス白書」を見ると、フリーランスとなった方の約4割が、翌年には他の就業形態で働くか無業になっているとのデータが示されているのです。

さらに、3年後には約6割、5年後には約7.5割がフリーランスから離脱しているとされています。

つまり、一人ひとりの市場価値がこれまで以上に厳しく問われているといっても過言ではないのです。

しかし、5年を経過しても約2.5割は、それぞれの市場で生き残っているとの現実もあります。

もちろん、フリーランス全体の動態調査結果を直ちに不動産業界に当てはめるのは適切とは言えません。

しかし、何が明暗を分けているかを知ることは大切です。

筆者は、第一に「専門性」だと考えています。

売買仲介、賃貸仲介、投資用不動産、相続、任意売却、空き家対策、負動産問題への対応、収益物件、競売、管理業務など、不動産業務は多岐にわたります。

その全てに精通することは理想ですが、現実には容易ではありません。

だからこそ、自らの強みを明確にし、特定分野について「この人に相談したい」と思われる存在になることが重要だと言えるのです。

第二に重要なのが、「学び続ける姿勢」です。

不動産業界を取り巻く環境は常に変化しています。

法改正、税制改正、金利動向、建築資材価格、人口動態、市況変化など、営業担当者が把握しておくべき情報は枚挙に暇がありません。

たとえ努力して身につけた知識であっても、それが変化することなく通用し続けるほど、不動産実務は甘くないのです。

だからこそ、顧客から信頼される営業担当者ほど、人知れず努力を重ねています。

華やかな成果の裏には、地道な自己研鑽の積み重ねが存在していることを忘れてはならないのです。

第三に重要なのは、顧客との信頼関係です。

不動産は高額であり、消費者にとって人生における重要な意思決定の一つです。

企業規模、つまりは看板が大きいほど顧客から信頼を得られる可能性は高まるものの、それはすくなくとも当初の段階においては、個人より企業そのものが信頼されている側面が大きいからに過ぎません。

実際、媒介業者の業務不履行に関する相談を消費者から受けた際、企業名は出てくるものの、担当者名がうろ覚えであるケースは珍しくないのです。

だからこそ、企業規模に左右されない信頼関係を築くことが重要だと言えるのです。

自身を信頼してくれる顧客が多いことによってもたらされる利益を、本当の意味で実感できるのは、大手企業から中小企業へ転職したときや、自ら独立開業したときかもしれません。

最終的に顧客の意思決定を左右するのは、企業の看板だけではないのです。

この視点は、今後ますます重要になっていくでしょう。

これは、大手企業に所属している、あるいは独立しているかを問わず、すべての営業従事者に共通する普遍的な価値と言えます。

また、SNSや動画配信サービスによって、個人が直接顧客との接点を持つことのできる時代となりました。

したがって、日々の実務を通じて得た知見や経験を、誠実に発信し続けていくのは有効な方法と言えるでしょう。

しかし、華美な自己演出を行い、承認欲求を満たすためだけに情報発信を行うことはお勧めできません。

目にする方の気持ちを無視したような投稿は、かえってマイナスイメージを与えかねないからです。

あくまでも実直な姿勢で、信頼を積み重ねるために情報を発信し続ける姿勢こそが肝要なのです。

また、研修などで「個の時代」が訪れようとしていると話すと、すぐに独立開業と結びつけて考える方は少なくありません。

しかし、独立によって理想を実現できるかどうかは極めて不透明です。

大手企業にも中小企業にも、それぞれ固有の強みがあります。それらを捨てて独立したとしても、必ず成功できるとは限りません。

独立には、傍目からは見えない様々な苦労が伴うことを理解しておく必要があるのです。

一足飛びに独立開業を目指すよりも、自らが置かれた環境の中で、自身がどのような価値を顧客に対して提供できるのか、その問いと向き合い続けることの方が重要です。

それこそが、本質的な意味で「個の時代」を生き抜くための条件となるからです。

不動産業界は今後も変化を続け、大手企業の集約化はさらに進むかもしれません。

そして、そのような環境下においては、専門性を武器とする個人や小規模事業者が、これまで以上に存在感を高めていくものと思われます。

つまり、「大手か個人か」という単純なニ項対立ではなく、それぞれが異なる強みを活かしながら共存していく時代へと移行していくのです。

そして、そのような時代だからこそ、最後にものを言うのは看板の大きさではありません。

まず顧客に対して誠実であり続けること。

さらには学びを怠らず、専門性を磨き続け、人から信頼される存在であり続けること。

結局のところ、時代がどれほど変化したとしても不動産業者の本質は、人と人との信頼関係の上に成り立つ極めて普遍的な営みだと言えるのです。

まとめ

本稿で論述したように、現在の不動産業界は大手企業による「効率的な店舗集約」と、スモールビジネスによる「個の細分化」という二面性を持つ構造変化のただ中にあります。

大手不動産会社における個人歩合の縮小やチーム制への移行は、優秀な営業担当者が自らの市場価値を問い直し、独立や転職を模索する契機を静かに創り出しているのです。

しかし、企業の看板を外した「個のサバイバル」は、決して容易であるとは言えません。

統計が示す通り、フリーランスとして生き残れるのは数年で数割という厳しい現実が存在しているからです。

一足飛びの独立開業だけが正解ではありません。

変化の激しい時代だからこそ、自身の力を過信せずに保有スキルの棚卸しを行い、専門性を有した「個」として活動できるかどうかを慎重に見極める必要があるのです。

そして、まだその「機」ではないと思ったのなら、今ある環境下で顧客に対し実直に向き合いながら、専門性を磨き、学び続けるのです。

今後、業界内でさらにDXが進展し、その結果組織のあり方が変化したとしても、不動産業の本質として最も重要な「人と人の普遍的な信頼関係」が変わることはありません。

結局のところ、最後にものを言うのは看板の大きさではなく、皆さんの「個」に対する周りからの信頼度にこそあるのです。

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監修者情報

H.L.C不動産コンサルティング 奥林洋樹
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