宅建業法における暴力団排除のルールとは?役員の欠格事由や不当行為による免許取消処分

宅建業法における暴力団排除のルールとは?役員の欠格事由や不当行為による免許取消処分

「宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)」では、消費者が安全に不動産取引を行えるよう、厳格なルールが多数設けられています。

中でも極めて厳しく規定されているのが「暴力団排除」に関するルールです。

「自分の会社には関係ない」と思うかもしれませんが、ルールを知らずに暴力団関係者と関わってしまえば、最悪の場合、会社が免許を失うことにもなりかねません。

この記事では、宅建業法における暴力団排除のルールや、役員の欠格事由、不当行為によるペナルティについて、法律の知識がない初心者の方でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:宅建業法の暴力団排除とは、業界への反社会的勢力の侵入を完全に防ぐ強力なフィルター

結論から言いますと、宅建業法における暴力団排除のルールは、高級な会員制クラブの入り口に立つ「非常に厳しいセキュリティチェック」のようなものです。

クラブの雰囲気を壊したり、他のお客様に迷惑をかけたりする危険な人物を、入り口の段階で完全にシャットアウトします。

それだけでなく、一度クラブに入った後で危険な行為をした場合には、すぐにつまみ出して永久追放するという仕組みになっています。

このように、不動産業界から反社会的勢力を排除し、安全な市場を保つための強力なフィルターが法律で定められているのです。

そもそもなぜ厳しい?不動産業界から暴力団を排除する理由

不動産取引は、一般のお客様にとって一生に一度の非常に高額な買い物です。

また、土地や建物という性質上、権利関係が複雑になりやすく、トラブルが発生しやすい分野でもあります。

過去には、地上げ屋(つまり強引な手段で土地の所有者から土地を買い上げようとする業者のこと)が暴力団を利用して、借地人や借家人を不当に追い出すといった社会問題が多発しました。

これは、学校のグラウンドを無理やり占拠して他の生徒を使えなくする不良グループのようなものであり、絶対に許されることではありません。

こうした背景から、宅建業法では暴力団の関与を断つための厳しい欠格事由や罰則が設けられ、消費者の利益と業界の健全性を守っているのです。

暴力団関係者は「免許」も「宅建士登録」もできない(欠格事由)

宅建業を営むための免許を取得したり、宅地建物取引士(つまり不動産取引の専門家としての国家資格者のこと)として登録したりするには、欠格事由(つまり免許や資格を与えてはいけない条件のこと)に該当していないことが絶対条件となります。

宅建業法第5条や第18条では、暴力団関係者を業界から排除するために、以下のような者は免許や登録を受けられないと明確に定めています。

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴排法)に規定する暴力団員
  • 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(これらを合わせて「暴力団員等」と呼びます)
  • 暴排法などの規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わってから5年を経過しない者
  • 傷害罪や暴行罪、脅迫罪などで罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者

暴力団員を辞めてから5年経たないとダメ

ここで注目すべきは、「現在、暴力団員である者」だけでなく、「暴力団員を辞めてから5年経っていない者」もアウトになるという点です。

これは、スポーツの大会でドーピング違反をした選手が、薬を抜いた直後には出場できず、一定期間の出場停止処分を受けるのと同じです。

過去の経歴による影響が完全に消えるまでは、不動産業界への参加が認められません。

役員だけでなく、会社の実質的な支配者でもアウト

さらに厳しいのは、免許を受けようとする法人の役員(つまり会社の取締役などのこと)に暴力団員等が含まれている場合はもちろんのこと、「暴力団員等がその事業活動を支配する者」も欠格事由になる点です。

表向きの社長は普通の人でも、裏で暴力団員が会社を操っているような「隠れ蓑」の状態は許されません。

また、免許の更新時に、過去に暴力団の実質的支配下に入った事実がある業者に対しては、「暴力団の構成員を役員等としないこと」などの条件が付されることもあります。

業務で暴力団を利用した場合はどうなる?(悪質な地上げなど)

入り口で防ぐだけでなく、宅建業者として事業を行う中で暴力団を利用した場合にも、極めて重いペナルティが用意されています。

国土交通省が定める「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、借地人からの借地権の買い取りや借家人の立ち退き交渉などの「地上げ行為」も宅建業の業務として扱われます。

この業務において、以下のような行為をした場合は厳しく処罰されます。

  • 宅建業者が暴力団を利用し、その構成員が違反行為を行った場合
  • 宅建業者自らが暴行、脅迫、詐欺、恐喝などの違法行為を行った場合

暴排法違反や違法行為へのペナルティ(免許取消など)

このような悪質な行為が発覚した場合、監督処分(つまり行政からのペナルティのこと)が下されます。

  • 指示処分:業務改善の命令
  • 業務停止処分:最長1年間の営業禁止
  • 免許取消処分:宅建業の免許を剥奪され、業界から永久追放

暴排法に基づく「再発防止命令」を受けた場合や、違反行為が明らかになった場合には、情状に応じて免許取消などの厳しい処分が行われます。

これは、試合中に悪質なファウルをした選手に一発でレッドカードが出されるのと同じくらい、厳格な対応です。

暴力団排除のルールが存在するメリット・デメリット

このような厳格な暴力団排除のルールが存在することには、次のような意味があります。

メリット

暴力団や反社会的勢力が不動産市場から排除されるため、強引な地上げや脅迫による被害がなくなり、消費者が安心して家や土地を売買できます。

また、真面目にルールを守って働く宅建業者にとっては、業界全体のクリーンなイメージが保たれ、世間からの信用が高まるという大きな得があります。

デメリット

宅建業者にとっては、従業員や取引先、あるいは法人のお客様の実態をしっかりと見極める必要があります。

もし知らずに暴力団関係者を役員にしてしまったり、関わってしまったりすると、会社全体が免許取消という致命的なダメージを受けるリスクがあるため、常に厳重なコンプライアンス(つまり法令遵守のこと)のチェックが求められます。

まとめ

宅建業法における暴力団排除のルールについて解説しました。

重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 宅建業法の暴力団排除は、業界をクリーンに保つための強力なセキュリティ。
  • 暴力団員だけでなく、辞めてから5年経たない人も免許や宅建士登録ができない。
  • 役員に暴力団員がいる場合や、裏で会社を支配されている場合もアウトになる。
  • 立ち退き交渉などで暴力団を利用した場合、免許取消などの重い処分が下される。
  • お客様の安全と業界の信頼を守るため、反社会的勢力との関わりは絶対にあってはならない。

不動産業界は大きなお金が動く魅力的な市場であるからこそ、反社会的勢力が入り込もうとするリスクが常にあります。

不動産業に従事する皆様は、この暴力団排除のルールを正しく理解し、自社に危険な人物が入り込まないよう、また危険な取引に巻き込まれないよう、毅然とした態度で日々の業務に取り組みましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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