【宅建業法】誇大広告・おとり広告の罰則とは?6ヶ月以下の拘禁刑や罰金について

【宅建業法】誇大広告・おとり広告の罰則とは?6ヶ月以下の拘禁刑や罰金について

「少しでも多くのお客様から反響が欲しい」という思いから、物件の広告をつい魅力的に書きすぎてしまうことはありませんか。

しかし、「宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)」では、物件を実際よりも極端に良く見せたり、存在しない物件を載せたりする行為に対して、極めて厳しいルールと罰則が設けられています。

「少し大げさに書いただけ」「ネットの情報を消し忘れただけ」といった言い訳は通用しません。

この記事では、宅建業法における誇大広告やおとり広告のルールと、違反した際の「6ヶ月以下の拘禁刑」などの重い罰則について、法律の知識がない初心者でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:誇大広告・おとり広告は「6ヶ月以下の拘禁刑や罰金」になる一発退場レベルの反則!

結論から言いますと、宅建業法における誇大広告などの禁止ルールは、スポーツの試合で例えるなら「自分の成績をごまかしてドーピングをする」ような、絶対にやってはいけない重大な反則行為です。

軽い注意やイエローカードで済むものではなく、警察や裁判所が関わる犯罪として「6ヶ月以下の拘禁刑(つまり刑務所に入ること)」や「100万円以下の罰金」が科されるほど、非常に重いペナルティが用意されている一発退場レベルのルールなのです。

そもそもなぜ厳しい?誇大広告・おとり広告を禁止する理由

不動産は数千万円もする非常に高額な商品であり、一般のお客様にとって一生に一度の大きな買い物です。

もし、チラシやインターネットの広告に「駅徒歩5分」と書いてあったのに、実際に買ってみたら山道で30分もかかる場所だったとしたら、お客様の生活や人生設計はめちゃくちゃになってしまいます。

これは、パッケージに豪華なステーキの写真が載っている高級なお弁当を買ったのに、蓋を開けたら中身が白ご飯しかなかったというレベルの完全な詐欺と同じです。

お客様が広告の情報を信じて、安全に安心して家探しができるように、国は「ウソをついたり、大げさに言いすぎたりしてはいけない」という強力なバリアを張っているのです。

宅建業法における「誇大広告」と「おとり広告」の定義

宅建業法第32条では、宅地建物取引業者(つまり不動産会社のこと)が広告を出す際のルールを厳格に定めています。

国土交通省が定める「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、違反となる広告は大きく以下の3つに分けられます。

1. 虚偽広告(著しく事実に相違する表示)

広告に書かれていることと事実が全く違い、もし本当のことを知っていたら誰も買わないような広告のことです。

  • 市街化調整区域(つまり原則として家を建ててはいけないエリアのこと)にある物件を、家が建てられる市街化区域と表示する
  • 築後10年経過している建物を、新築(築後1年)と表示する
  • 地目が農地である土地を、宅地と表示する

2. 誇大広告(著しく優良・有利と誤認させる表示)

実際のものよりも、極めて優れている、あるいは極めてお得であるとお客様に勘違いさせる広告のことです。

専門知識を持たない一般のお客様が騙されてしまうレベルのものが該当します。

  • 直線距離では駅から1キロだが、実際の道のりでは4キロもあるのに「駅まで1キロ」と表示する
  • 「絶対に値上がりする」「必ず儲かる」といった、将来の利益を断定的に約束する表現を使う

3. おとり広告(存在しない、または売る意思のない物件の表示)

お客様を集める(集客する)ためだけに、非常に条件の良い架空の物件や、すでに売れてしまった物件を広告に載せ、来店したお客様に別の物件を勧める行為です。

  • すでに他の人が契約済みの物件を、インターネットのポータルサイトに掲載し続ける
  • 実在しない架空のマンションの部屋を、相場より破格の家賃でチラシに載せる

ネットやSNSも対象!規制される広告の媒体と表示項目

「チラシではなく、自社のホームページだから少し自由に書いてもいいだろう」という考えは間違いです。

誇大広告のルールが適用される媒体(メディア)は、新聞の折込チラシ、雑誌、テレビ、ラジオはもちろんのこと、インターネットのホームページやSNSなど種類を問いません。

また、規制の対象となる広告の表示項目も細かく決められており、以下のような内容でウソや大げさな表現をしてはいけません。

  • 所在(地番や位置図など)
  • 規模(面積や間取りなど)
  • 形質(構造や経過年数など)
  • 利用の制限(建築基準法による制限や借地権の有無など)
  • 環境(日当たりや公共施設の整備状況など)
  • 交通その他の利便(最寄り駅までの所要時間など)
  • 代金や借賃などの対価の額や支払方法
  • 金銭の貸借のあっせん(ローンの金利や条件など)

違反した場合の重いペナルティ(6ヶ月以下の拘禁刑・100万円以下の罰金)

「ちょっと大げさに書いただけ」「ポータルサイトの情報を消し忘れただけ」と軽く考えていると、取り返しのつかない事態になります。

宅建業法第81条によれば、第32条の誇大広告等のルールに違反した者は、「6ヶ月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(つまり両方のペナルティを同時に受けるということ)」と定められています。

個人だけでなく会社にも罰金が科される(両罰規定)

さらに恐ろしいのは、広告を作った担当者個人の責任だけで終わらない点です。

宅建業法第84条には「両罰規定(つまり違反した本人だけでなく、その会社にも罰金が科されるルールのこと)」が定められています。

会社の営業マンが自分の売上を伸ばすために勝手におとり広告を出した場合でも、それを管理する会社に対しても100万円以下の罰金が科されるのです。

業務停止や免許取消などの行政処分も

警察による刑事罰とは別に、行政処分(つまり都道府県知事や国土交通大臣から受ける営業上のペナルティのこと)の対象にもなります。

  • 指示処分:広告の訂正や業務改善の命令
  • 業務停止処分:最長1年間の営業活動の禁止
  • 免許取消処分:情状が特に重い場合、宅建業の免許を剥奪され、業界から永久追放される

誇大広告の禁止ルールが存在するメリット・デメリット

このような厳格な広告ルールが存在することには、次のような意味があります。

メリット

お客様が正確な情報に基づいて、騙されることなく安心して家や土地を選べるようになります。

真面目にルールを守って働く不動産会社にとっては、悪質なウソで集客するライバル業者が排除されるため、業界全体のクリーンなイメージが保たれ、世間からの信用が高まるという大きな得があります。

デメリット

不動産会社にとっては、インターネット上の物件情報が「すでに売れていないか」を常に最新の状態に保つためのメンテナンス作業や、チラシの表現が法律に違反していないかを確認するためのコンプライアンス(つまり法令遵守のこと)チェックの手間とコストが常にかかり続けます。

まとめ

宅建業法における誇大広告やおとり広告の罰則について解説しました。

重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 誇大広告やおとり広告は、6ヶ月以下の拘禁刑や100万円以下の罰金という重い罪になる。
  • 会社にも罰金が科される「両罰規定」があり、違反は会社全体の責任になる。
  • 虚偽広告(ウソ)、誇大広告(大げさ)、おとり広告(架空)のすべてが禁止されている。
  • チラシだけでなく、インターネットのホームページやSNSも規制の対象である。
  • 違反すれば、最長1年間の業務停止や免許取消といった行政処分の対象にもなる。

「他社もやっているから」「すぐにバレないから」という軽い気持ちでの広告出稿が、一瞬にして個人の人生と会社の未来を奪います。

不動産業に従事する皆様は、法律のルールを正しく理解し、常にお客様に誠実で透明性の高い情報を提供するよう心がけましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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