保証協会の社員地位喪失から1週間以内!営業保証金の供託義務と未供託のペナルティ

保証協会の社員地位喪失から1週間以内!営業保証金の供託義務と未供託のペナルティ

多くの不動産会社は、宅地建物取引業保証協会(つまり不動産会社が加入する公式な業界団体のこと)に加入することで、数千万円という高額な「営業保証金」の供託を免除されています。

しかし、もし分担金の払い忘れなどで、この保証協会の社員としての地位を失ってしまった場合、会社はどうなってしまうのでしょうか。

この記事では、保証協会の地位喪失後に発生する「1週間以内の営業保証金の供託義務」と、それを怠った場合の免許取消しなどの重いペナルティについて、法律の知識がない方でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:保証協会を退会・クビになったら、1週間以内に「高額な現金を国に預け直す」必要がある!

結論から言いますと、保証協会を退会・クビになったら、1週間以内に「高額な現金を国に預け直す」必要があります。

保証協会の社員地位喪失に伴う供託義務とは、スポーツクラブで例えるなら、「法人向けの団体割引プランを解約されたため、今日から1週間以内に正規の年会費(数千万円)を一括で全額支払ってください。払うまでは施設を使えません」と宣告されるようなものです。

宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)の規定により、保証協会に守られていた特権がなくなり、原則に戻って、自分の会社単独でお客様を守るための担保金(営業保証金)を、たった1週間という極めて短期間で国に納めなければならないという非常に厳しいルールです。

そもそもなぜ必要?「営業保証金」と「保証協会」の仕組み

不動産取引は動く金額が大きいため、万が一不動産会社がお客様を騙したり倒産したりした場合に備えて、国はあらかじめ不動産会社から高額なお金を預かっておく仕組みを作りました。

これが営業保証金(つまりお客様に損害を与えた場合に備えて国に預けておく担保金のこと)です。

本店だけで1000万円、支店ごとに500万円という大金が必要です。

営業保証金は高額なため、保証協会という連帯グループが存在する

しかし、すべての会社がこれほどの現金を用意するのは大変です。

そこで、宅地建物取引業保証協会というグループに加入し、数十万円の分担金を出し合うことで、連帯責任でお客様を守る仕組みを利用できます。

これにより、個別の会社は高額な営業保証金の供託を免除されるという特例を受けているのです。

保証協会の社員地位を失うのはどんな時?

保証協会に加入していれば安心ですが、ある日突然、その社員の地位を失う(つまり保証協会を強制的にクビになる、あるいは自ら退会すること)場合があります。

分担金や還付充当金の期限切れなどでクビになる

とくに注意すべきなのは、他社が起こしたトラブルの連帯責任として請求される特別弁済業務保証金分担金や、自社が起こしたトラブルの穴埋めである還付充当金などを、法律で決められた期限内(通知から1ヶ月以内や2週間以内など)に納付しなかった場合です。

これらの支払いをサボると、強制的に保証協会の社員としての地位を失ってしまいます。

地位喪失後のルール:1週間以内に営業保証金を供託すること

宅建業法第64条の15では、保証協会の社員の地位を失った場合の実務ルールが厳格に定められています。

主たる事務所の最寄りの供託所に預ける

社員の地位を失った不動産会社は、当該地位を失った日から「1週間以内」に、宅建業法第25条の規定に従い、本来納めるべきだった全額の営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所(つまり国が管理するお金の公的な保管所のこと)に供託しなければなりません。

現金だけでなく、国債や地方債などの有価証券(つまりお金の価値を持つ公的な証明書のこと)を充てることも可能です。

供託をして届出をするまで「事業の開始」はできない

お金を預けた後は、免許を受けた国土交通大臣や都道府県知事に対して、供託書の写し(つまりお金を預けたことを証明する公的なレシートのコピーのこと)を添えて届出をしなければなりません。

さらに、この届出が完了するまでは、不動産取引の事業を開始(継続)してはならないと決められています。

つまり、1週間以内にお金を用意して行政への手続きを終えるまで、会社の営業活動は完全にストップしてしまうということです。

供託や届出をサボった場合の重いペナルティ

「1000万円なんて急に用意できない」「少しの間なら黙って営業してもバレないだろう」と甘く考えていると、会社が完全に吹き飛ぶほどのペナルティが待っています。

長期間放置すると「免許取消し」になる

営業保証金を供託したという届出をしないまま3ヶ月が経過すると、免許権者から「早く届け出なさい」という催告(つまり行政からの強い警告のこと)が届きます。

その催告が到達した日からさらに1ヶ月以内に届出をしないと、宅建業の免許を取り消される可能性があります(法第25条第7項)。

無届で営業をすると「6ヶ月以下の拘禁刑や罰金」に

お金を預けて届出をする前に、勝手に不動産の営業活動を行ってしまった場合、宅建業法第81条第1号の規定により、「6ヶ月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを併科する(つまり刑務所に入る刑罰と罰金の両方を同時に受けること)」という非常に重い刑事罰に処せられます。

単なる注意では済まされず、前科がついてしまう犯罪行為として扱われます。さらに、行政処分として最大1年間の業務停止命令を受けるリスクもあります。

営業保証金の供託義務が存在するメリット・デメリット

このような厳しい1週間ルールの供託義務が存在することには、次のような意味があります。

メリット

お客様にとっては、取引している不動産会社が保証協会を退会したとしても、すぐに別の形で担保金(営業保証金)が確保されるため、「いざという時に損害賠償を受けられない」という無防備な空白期間が生まれないという絶大な得があります。

これにより、不動産市場全体の安全性が保たれます。

デメリット

不動産会社にとっては、万が一手違いなどで保証協会をクビになった瞬間、たった1週間で1000万円以上の現金などをかき集めなければならず、できなければ営業停止や免許取消しに直結するという、会社存続に関わる強烈なプレッシャーと資金繰りのリスクを抱えることになります。

まとめ

保証協会の社員地位を失った際の、営業保証金の供託義務について解説しました。

重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 保証協会の社員地位を失うと、営業保証金の免除特権がなくなる。
  • 地位を失った日から「1週間以内」に、営業保証金を供託所に預けなければならない。
  • お金を預けて行政に「届出」をするまでは、事業を行ってはならない。
  • 届出を放置すると、最終的に「免許取消し」の処分を受ける。
  • 届出前に営業すると「6ヶ月以下の拘禁刑や100万円以下の罰金」という犯罪になる。

保証協会に加入しているからといって、永遠に安全というわけではありません。

支払うべき分担金などを滞納してクビになれば、たった1週間で数千万円のキャッシュを求められる地獄が待っています。

不動産業に従事する皆様は、この恐ろしいペナルティの仕組みを正しく理解し、保証協会での義務を誠実に果たして、会社とお客様を守る安全な経営を心がけましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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