レインズへの成約通知や価格査定の根拠提示は「守秘義務違反」にならない?正当な理由の解説

不動産営業において、物件の価格査定を行う際や、レインズに成約報告をする際、「他のお客様の取引価格などの情報を勝手に使って、守秘義務違反にならないの?」と不安に思ったことはありませんか?
宅建業法(つまり、不動産取引を安全で公正に行うための法律のこと)では、業者に対して業務上知り得た秘密を守る義務を課していますが、「正当な理由」があれば情報を開示することが認められています。
この記事では、価格査定の根拠提示やレインズへの報告が守秘義務違反にならない理由と、実務での注意点について初心者にもわかりやすく噛み砕いて解説します!
結論!取引事例の提示やレインズへの報告は「正当な理由」にあたり守秘義務違反にならない
結論から言うと、不動産会社がお客様に価格査定の根拠として過去の取引事例を見せたり、レインズに成約情報を報告したりすることは、法律上の義務を果たすための「正当な理由」として認められており、守秘義務違反にはなりません。
これは、病院のお医者さんが、患者さんの病気を治すために他の専門医にカルテの情報を共有するのと同じです。
業務を正しく行うために必要な範囲での情報共有は、ルール違反にはなりません。
【メリット・デメリット】
正当な理由による情報共有が認められることで、不動産市場に正確な過去の実績データが流通し、適正な価格で取引ができるという絶大な得(メリット)があります。
一方で業者にとっては、どこまでが「必要な範囲」なのかを常に意識して情報を慎重に管理しなければならないというプレッシャー(デメリット)があります。
宅建業法の「守秘義務」とは?正当な理由の4つのパターン(一覧表)
守秘義務が解除される「正当な理由」には、裁判や法令に基づく場合など、主に4つのパターンがあります。
| 正当な理由のパターン | 具体的なケース |
|---|---|
| 法律上秘密事項を告げる義務がある場合 | 裁判の証人として証言を求められたときや、税務署等の職員から質問検査権に基づく質問を受けたとき |
| 取引の相手方に真実を告げなければならない場合 | 価格査定の根拠として取引事例を提示したり、指定流通機構(レインズ)に報告したりするとき |
| 依頼者本人の承諾があった場合 | 本人が情報開示に同意しており、依頼者の利益を損なわないとき |
| 他の法令に基づく事務の資料として提供する場合 | 地価公示法に基づく標準地の価格判定などのため、不動産鑑定士に情報を提供するとき |
価格査定の根拠としての取引事例の提示
宅建業者は、媒介契約を結ぶ際に媒介価額(つまり、物件をいくらで売り出すのが適正かを査定した金額のこと)について意見を述べる場合、その根拠を明らかにする義務があります。
そのため、過去の同種・類似の適当な取引事例をお客様に示すことは正当な行為とされます。
指定流通機構(レインズ)への成約情報の報告
専任媒介契約などを結んだ物件が売れた際、取引価格を含む成約情報を指定流通機構に通知することも法律上の義務であるため、正当な理由に該当します。
要注意!実務における情報取り扱いのNG行動
いくら「正当な理由」があっても、お客様のプライバシーに関わる「氏名」を伝えたり、営利目的の業者にデータを横流ししたりすることは絶対にやってはいけません。
これは、レストランで「この前〇〇さんがこのワインを注文しましたよ」と実名を出して他のお客様に勧めるのがNGなのと同じです。
「先日、同じ年代のお客様にこのワインがよく売れましたよ」と、個人が特定されない形で活用しなければなりません。
【メリット・デメリット】
個人情報を伏せるルールがあることで、過去の売主・買主のプライバシーが確実に守られるというお客様へのメリットがあります。
反面、営業担当者は資料を見せる前に名前が黒塗りされているかなどを確認し、口外しないようお客様に説明しなければならないという事務的な手間(デメリット)がかかります。
まとめ
結論として、宅建業法では業者や従業者に対して業務上知り得た秘密を守る義務(法第45条、第75条の3)を定めていますが、お客様への価格査定の根拠の提示や、指定流通機構(レインズ)への成約情報の通知は、法律上の義務を果たすための「正当な理由」として公式に認められています。
そのため、これらを行うことで守秘義務違反に問われることはありません。
ただし、情報を利用する際は「成約価額」や「時期」などの必要なデータにとどめ、取引当事者の氏名など個人を特定できる情報を収集・提示することは禁止されています。
ルールを正しく理解し、お客様の大切な秘密を守りながら、安全で適正な不動産取引を行いましょう!
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