宅建業法の「誇大広告の禁止」とは?おとり広告の基準や違反時のペナルティ

宅建業法の「誇大広告の禁止」とは?おとり広告の基準や違反時のペナルティ

不動産の営業活動において、魅力的な物件をアピールする「広告」は欠かせないツールです。

しかし、「少しでも良く見せたい」「たくさんのお問い合わせが欲しい」という思いから、つい大げさな表現を使ってしまいたくなることはありませんか?

宅建業法(つまり、不動産取引を安全で公正に行うための法律のこと)では、消費者を守るために「誇大広告の禁止」という非常に厳しいルールを設けています。

この記事では、どこからが誇大広告やおとり広告にあたるのかという明確な基準や、違反してしまったときの重いペナルティについて、知識がない初心者にもわかりやすく噛み砕いて解説します。正しい広告のルールを理解し、クリーンな営業活動を行いましょう!

結論!宅建業法の「誇大広告の禁止」とは、お客様を騙すような嘘の広告をしてはいけないルール

結論から言うと、宅建業者は、物件の広さや環境、価格などについて、事実と大きく違うことや、実際よりもものすごく良い物件だと勘違いさせるような広告を出してはいけません。

これは、食品のパッケージに「果汁100%」と大きく書いてあるのに、実際には果汁が10%しか入っていないジュースを売ってはいけないのと同じです。

お客様は広告を見て買うかどうかを決めるため、嘘や大げさな表現で騙してはいけません。

宅建業法第32条では、以下の項目などについて誇大広告等を禁止しています。

  • 宅地や建物の所在、規模、形質
  • 現在または将来の利用の制限、環境、交通その他の利便 ・ 代金、借賃などの対価の額や支払方法 ・ 金銭の貸借のあっせん(ローンなど)

【メリット・デメリット】

このルールがあることで、一般の消費者は「広告の内容は事実である」と安心して物件選びができる絶大なメリット(得)があります。

一方で業者にとっては、広告を作る際に、一つ一つの言葉が法令に違反していないか厳重にチェックしなければならないという作成上のプレッシャー(デメリット)がかかります。

対象となる広告媒体はチラシからネットまで全て!

結論から言うと、誇大広告の禁止ルールは、紙のチラシだけでなく、インターネット上の情報まであらゆる広告媒体に適用されます。

新聞の折込チラシ、配布用のチラシ 、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ 、インターネットのホームページやポータルサイトなど。

何を書いたらアウト?誇大広告・おとり広告の判断基準(一覧表)

「事実と全く違うこと(虚偽)」を書くことや、「実際よりすごく良いように勘違いさせること(誇大)」、そして「存在しない物件でおびき寄せること(おとり)」はすべて法令違反となります。

国土交通省のガイドラインによる判断基準を一覧表にまとめました。

広告のパターンルールの内容
虚偽広告(著しく事実に相違する表示)事実を知っていれば絶対に買わないような、事実とかけ離れた嘘の表示をすること
誇大広告(著しく優良・有利と誤認させる表示)専門知識のない一般の人が、実際よりものすごく良い物件だと勘違いしてしまう表示をすること
おとり広告実際には売る気がない条件の良い物件を広告に載せ、別のもっと悪い物件を買わせようとすること

「著しく事実に相違する表示」(虚偽広告)の具体例

市街化調整区域(つまり、原則として家などの建物を建ててはいけないエリアのこと)にある土地を、「市街化区域」と表示した ・ 建てられてから10年経っている中古住宅を、「築後1年」と表示した 。

実際は農地なのに、「宅地」として表示した。

「著しく優良・有利と誤認させる表示」(誇大広告)の具体例

広告に「駅まで1kmの好立地」と書いたが、それは直線距離での話であり、実際の道のりは4kmもあった。

売る気がない「おとり広告」も絶対NG!

結論から言うと、実際には存在しない物件や、すでに売れてしまって取引できない物件を広告に載せたままにしておく「おとり広告」も、誇大広告等として禁止されています。

【メリット・デメリット】

具体的な基準があることで、業界全体から悪質な「釣り広告」が排除され、真面目に営業している不動産会社がお客様から正当に選ばれやすくなるメリットがあります。

しかし、売れた物件の情報をインターネットからすぐに消し忘れただけでも「おとり広告」とみなされるリスクがあり、日々の物件情報のメンテナンスの手間(デメリット)が必須となります。

要注意!誇大広告の禁止に違反した場合のペナルティ

誇大広告の禁止に違反した不動産会社には、業務停止や免許取消し、さらには拘禁刑や罰金といった非常に重いペナルティが科されます。

  • 業務停止処分:1年以内の期間を定めて、業務の全部または一部の停止を命じられることがあります。
  • 免許取消し処分:情状が特に重い場合や、業務停止命令に違反した場合は、宅建業の免許(つまり、不動産取引業として営業するための国や都道府県からの許可のこと)を取り消されます。
  • 罰則:6ヶ月以下の拘禁刑(つまり、刑務所などの施設に拘置される刑罰のこと)や100万円以下の罰金に処せられ、場合によってはその両方が科されることもあります。

【メリット・デメリット】

厳しい罰則があることで、軽い気持ちで嘘の広告を出す業者がいなくなり、不動産業界全体のクリーンなイメージが保たれるというメリットがあります。

まとめ

結論として、宅建業法の「誇大広告の禁止」とは、事実と異なる嘘の表示(虚偽広告)や、実際よりも著しく良いと勘違いさせる表示(誇大広告)、そして売る気のない物件で客を釣る行為(おとり広告)を禁止するルールです。

このルールは紙のチラシだけでなく、インターネット上のすべての広告媒体に適用されます。違反した場合は、最長1年の業務停止や免許取消し、さらに6ヶ月以下の拘禁刑や100万円以下の罰金という厳しいペナルティが待っています。

広告を作成する際は、「この表現でお客様が誤解しないか」「すでに売れた物件を掲載しっぱなしにしていないか」を常に確認し、誠実な情報提供を心がけましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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