未完成物件の広告はいつから出せる?宅建業法の「広告開始時期の制限」を解説

未完成物件の広告はいつから出せる?宅建業法の「広告開始時期の制限」を解説

宅地や建物の売買において、物件が完成する前に広告を出して購入者を募集することはよくあります。

しかし、「宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)」では、未完成物件の広告を出すタイミングについて厳格なルールが定められています。

「図面ができたからすぐに広告を出そう」と急いでしまうと、法律違反になってしまう可能性があります。

この記事では、宅建業法第33条の「広告の開始時期の制限」について、法律の知識がない初心者の方でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:未完成物件の広告は、「開発許可」や「建築確認」などのOKが出てからしか出せない!

結論から言いますと未完成の宅地や建物の広告は、行政からの「開発許可(つまり土地を宅地に変えるための許可のこと)」や「建築確認(つまり家を建てるための行政の審査・オーケーのこと)」が下りるまでは、一切出してはいけません。

これは、飲食店の新メニューに例えるなら、「保健所などの審査が必要な新作ケーキを、レシピの審査に通る前に『来週発売!』とチラシで宣伝してはいけない」というルールと同じです。

行政のオーケーが出て初めて、広告(宣伝)をスタートできるのです。

そもそもなぜ制限がある?広告開始時期のルールが存在する理由

不動産は非常に高額な商品です。

もし、行政の許可が下りていない段階で広告を出し、それを見たお客様が購入の意思を固めたとします。

しかし、その後に行政の審査で「この図面のままでは危険だから建ててはいけない」と計画が却下されたり、大幅な変更を命じられたりしたらどうなるでしょうか。

お客様は「広告で見た理想の家が手に入らない」という大きな損害とトラブルを抱えることになります。

これは、映画の予告編を見てチケットを買ったのに、映画自体がお蔵入りして上映されないのと同じくらい、お客様を裏切る行為です。

このような事態を防ぐために、確実性が担保されていない未完成物件の広告は禁止されているのです。

広告が出せるようになる「許可・確認」とは具体的に何?

では、具体的に何の許可が下りれば広告を出せるようになるのでしょうか。宅建業法では、主に以下の2つが基準となります。

建物を建てる際の「建築基準法の確認(建築確認)」

建物を新築・増改築する際、その設計が建築基準法に適合しているかを行政や指定機関がチェックするものです。この「確認済証」が交付されて初めて、建物の広告が出せるようになります。

土地を造成する際の「都市計画法の許可(開発許可)」

山林や農地などを宅地に変える(造成する)際に必要な許可です。この許可が下りる前の「開発予定地」といった曖昧な状態での広告は禁止されています。

【実践編】プラン変更やセレクトプランの広告はどう対応する?

実際の業務では、「一度オーケー(建築確認)をもらったけれど、後から間取りを変更したい」というケースがあります。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、このような場合の広告対応についても細かく定められています。

設計変更の申請中でも、元のプランでの広告は継続できる

当初の確認を受けた後、設計変更の申請(つまり変更の確認のこと)を行っている期間中であっても、すでに許可を得ている「当初のプラン」の内容で広告を出し続けることは問題ありません。

変更後のプランを広告したい場合の条件

まだ許可が下りていない「変更後のプラン」を広告したい場合は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 「現在、変更の確認を受ける予定である」という事実を広告に明記すること
  • すでに許可を得ている「当初の確認内容」も一緒に表示すること

また、お客様が間取りを選べる「セレクトプラン」などの場合も、まだ建築確認を受けていないプランについては「変更の確認が必要である」という旨をしっかり表示すれば広告が可能です。

マンションの「スケルトン・インフィル(つまり柱や梁などの骨組みと、内装や設備を分けて作る方式のこと)」の場合でも、「具体的な間取りが定められた場合、変更の確認を受けることが必要となることもあります」と記載すれば問題ありません

広告開始時期の制限ルールが存在するメリット・デメリット

このルールが存在することには、どのような意味があるのでしょうか。

項目内容
メリット行政のオーケーが出た確実な物件だけが市場に出回るため、お客様は「買ったのに建たなかった」「全然違う間取りになった」というトラブルを避けられます。不動産市場全体への信頼が高まり、真面目な宅建業者(つまり不動産会社のこと)が安心して商売できるという大きな得があります。
デメリット不動産会社にとっては、土地の仕入れや設計が終わってから、実際に行政の許可が下りるまでの間、宣伝(販売活動)を一切始められないため、販売スケジュールがタイトになり、資金回収を急ぐプレッシャーがかかります。

まとめ

宅建業法における未完成物件の広告開始時期の制限について解説しました。重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 未完成物件の広告は、建築確認や開発許可が下りてからでなければ出せない。
  • 許可前の広告は、お客様を大きなトラブルに巻き込む危険があるため禁止されている。
  • プラン変更の申請中でも、当初のプランであれば広告を続けられる。
  • 変更後のプランやセレクトプランを広告する場合は、「変更申請予定である旨」と「元のプラン」を一緒に表示する必要がある。

「早く売りたいから、許可が下りる前に少しだけ広告を出してしまおう」というフライングは、宅建業法違反となる重大な行為です。

不動産業に従事する皆様は、このルールをしっかり守り、お客様に正確で確実な情報を提供する誠実な広告活動を心がけましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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