宅建業の免許が取り消される「必要的取消事由」と「任意的取消事由」の違いとは?

宅建業(つまり不動産の売買や仲介をビジネスとして行うこと)を営むために欠かせないのが、国土交通大臣や都道府県知事からの「免許」です。
しかし、法律で決められたルールを破ると、この免許が取り消されてしまうことがあります。
免許の取り消しには「必要的取消事由」と「任意的取消事由」の2種類があり、それぞれ重みや扱いが異なります。
この記事では、難しい宅建業法のルールについて、法律の知識がない初心者でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながら両者の違いと対象となる事由をわかりやすく解説します。
結論:「必要的取消事由」は一発退場、「任意的取消事由」は状況次第の重いペナルティ
結論から言いますと、2つの事由の違いは処分の「確実さ」にあります。
必要的取消事由
ルール違反をした時点で「必ず」免許を取り消さなければならない、行政に裁量の余地がないレッドカード(一発退場)です。
- 必要的取消事由:ルール違反をした時点で「必ず」免許を取り消さなければならない、行政に裁量の余地がないレッドカード(一発退場)です。
- 任意的取消事由:状況や行政の判断によって免許を「取り消すことができる」、重いイエローカードのようなものです。
サッカーの試合に例えるなら、審判への暴力行為などの悪質なファウル(必要的)はすぐにレッドカードが出ますが、ユニフォームの規定違反など(任意的)は、事情を聞いた上でレッドカードになるかもしれない、という違いに似ています。
そもそもなぜ免許取り消しがある?厳しいルールの理由
不動産取引は、一般のお客様にとって一生に一度の非常に高額な買い物です。
そのため、宅地建物取引業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)は、購入者の利益を保護し、不動産の流通をスムーズにするために厳しいルールを設けています。
もし、悪意を持ってお客様を騙すような会社や、トラブルを起こす危険性が高い人に免許を与えたままにすれば、社会に甚大な被害が出てしまいます。
これは、飲酒運転を繰り返す人に運転免許を持たせたままにするのと同じくらい危険なことです。
だからこそ、業界の健全性を保つために、行政による「免許の取り消し」という強力なペナルティが用意されているのです。
必要的取消事由とは?(絶対に免許を失うレッドカード)
必要的取消事由(つまり必ず免許が取り消される条件のこと)に該当した場合、国土交通大臣や都道府県知事などの行政は、情状酌量の余地なく免許を取り消さなければなりません。
必要的取消事由となる具体的なケース
宅建業法第66条第1項によれば、以下のような場合に免許が確実に取り消されます。
- 欠格要件(つまり宅建業を営む資格がない状態のこと)に該当してしまったとき 破産手続きの開始決定を受けて復権していない場合や、犯罪を犯して禁錮以上の刑を受けた場合、宅建業法違反などで罰金刑を受けた場合、暴力団員に該当する場合などです。法人(会社)の役員や政令で定める使用人(つまり支店長などの責任者のこと)のうち一人でもこれらに該当してしまった場合、会社全体の免許が取り消されてしまいます。
- 不正の手段で免許を取得したとき ウソの書類を出して免許を取得する行為です。これは他人の身分証でクレジットカードを作るような完全な詐欺行為とみなされます。
- 業務停止処分違反や情状が特に重いとき 業務停止処分(つまり一定期間の営業禁止のこと)を受けているのに無視して営業した場合や、違反行為の悪質さが極めて高い場合です。
- 免許後1年以内に事業を開始しない、または1年以上事業を休止したとき 免許をもらったのにずっと事業を放置している場合は取り消されます。使っていない空き家を整理されるようなイメージです。
- 会社の消滅や廃業の届出がないのに事実が判明したとき 会社が合併で消滅したり、破産したりしたのに行政へ報告しなかった場合です。
任意的取消事由とは?(取り消される可能性があるイエローカード)
一方で、任意的取消事由(つまり行政の判断で免許を取り消すことができる条件のこと)は、必ずしも一発で取り消されるわけではありませんが、放置すれば免許を奪われる可能性がある危険な状態です。
任意的取消事由となる具体的なケース
宅建業法では、主に以下の2つのケースが規定されています。
❶免許の条件に違反したとき
行政から免許をもらう際に、特別な条件(例えば、特定の期間内に報告書を出すことなど)を付けられることがあります。
この条件に違反した場合は、免許を取り消される「可能性があります」。スポーツで言えば、「次の試合で遅刻したら退部」という条件付きで残してもらっていたのに、遅刻してしまったような状況です。
❷事務所の所在地や業者の所在がわからないとき
行政が宅建業者の事務所の場所や、役員の居場所を確知できなくなった場合、官報や公報で「連絡をください」と公告(つまり公に広く知らせること)を出します。
その公告の日から30日経過しても業者から申し出がない場合、免許を取り消すことができます。これは長期間音信不通になった「幽霊会社」を整理するためのルールです。
取消事由のルールが存在するメリット・デメリット
このように、免許の取り消しに「絶対」と「可能性あり」の2つの基準が用意されていることには、どのような意味があるのでしょうか。
メリット
悪質な業者や事業を行っていない幽霊業者が速やかに業界から排除されるため、お客様が安心して不動産取引ができるようになります。
真面目にルールを守る業者にとっても、悪徳業者がいなくなることで業界全体のクリーンなイメージが保たれ、お客様から信用されやすくなるという大きな得があります。
デメリット
ペナルティが強力すぎるため、たとえば役員の一人が個人的なトラブルで罰金刑を受けただけでも、会社全体の免許が突然消滅(必要的取消)し、事業が継続できなくなるという大きなリスクを常に抱えることになります。
まとめ
宅建業の免許取り消しに関する2つの事由について解説しました。
重要なポイントを箇条書きでおさらいしましょう。
宅建業の免許は、一度失うと再び取得するまでに長い期間(原則として5年間)がかかり、ビジネスにとって致命傷となります。
不動産業に従事する皆様は、自分自身だけでなく会社の役員や責任者の日々の行動にも気を配り、法律のルールを遵守した誠実な営業を心がけましょう。
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