【マンション管理規約の改正バブルが到来!】宅建業者にとってビジネスチャンスとなり得るか?

【マンション管理規約の改正バブルが到来!】宅建業者にとってビジネスチャンスとなり得るか?

2026年4月の改正区分所有法および2025年10月の標準管理規約改正を受け、全国の分譲マンションで管理規約の見直し需要が顕在化しつつあります。

ご存じのように、2025年10月17日に国土交通省が改正したマンション標準管理規約では、2026年4月に施行された改正区分所有法等を踏まえ、総会の開催手続きや決議要件、所在等不明区分所有者への対応、管理不全専有部分管理命令、修繕積立金の使途など、管理組合の運営に関わる重要な事項が数多く見直されました。

それだけに、標準管理規約を改正した国土交通省は分譲マンションの管理組合に対し、「管理規約の見直しが必要です」と明確に呼びかけています。

マンション標準管理規約,改正

マンション標準管理規約自体は法律や政令ではなく、あくまでも管理規約の『ひな型』にすぎません。

しかし、区分所有法等の改正に合わせて見直され、各マンションが管理規約を作成・改正する際の参考として国土交通省が示していることから、事実上の重要な指針として機能しています。

そのため、管理規約を標準管理規約に準拠させているマンションは少なくありません。

しかし、標準管理規約が改正されたからといって、自動的に各マンションの管理規約が新しいルールへと切り替わるわけではありません。

それぞれの管理組合が、現行の管理規約と改正法令との関係を確認し、必要に応じて規約変更の手続きを進める必要があります。

特に、これまで管理規約の見直しを頻繁に行ってこなかった自主管理の管理組合においては、管理会社への業務委託による支援を受けられないため、大きな負担を強いられる可能性があります。

法改正の内容を確認すると同時に規約をどこまで変更すべきなのかを検討し、さらには総会で区分所有者の合意を形成する作業を行う必要に迫られるからです。

これらの作業を、問題を生じさせずに進めるためには、少なからぬ専門知識が必要となります。

しかし、組合の理事が必ずしもそれらの知識を有しているとは限りません。

したがって、専門家への委託を検討することでしょう。

その際、委託する専門家としてまず候補に挙がるのはマンション管理士ではないでしょうか。

マンション管理士は、その名称からも想像できるように、マンションの管理に関する専門知識を有し、管理組合の運営その他マンションの管理について相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする専門家だからです。

宅地建物取引士の合格率18.7%(令和7年度)に対し、マンション管理士は令和6年度で12.7%、令和7年度で11.0%と、近年おおむね1割前後で推移しています。

単純に合格率だけを比較すれば宅地建物取引士よりも低い水準にあるため、不動産系資格の中では難関資格だと言えます。

マンション管理士は、宅地建物取引士とのダブルライセンスとして推奨される資格の一つですが、その難易度の高さから資格取得には相応の学習が必要となります。

しかし、日々多忙な不動産業従事者にとっては、学習時間を確保することも容易ではないでしょう。

そのため、マンション管理士に管理規約の改正や総会への参加を全面的に委託した場合の費用は、マンションの規模や業務量、改定箇所の数、総会への参加回数などによって異なり、具体的な費用は個別の見積もりによって決まるのが一般的です。

そのため、業務内容によっては相応の金額が請求されるケースもあります。

これは、規約変更に伴う一連の業務が単なる書類作成ではなく、コンサルティング業務に近い性質を持ち、さらには媒介報酬のように上限が定められていないためでもあります。

もっとも、法令と既存の管理規約との関係を整理し、どの条文をどのように変更するのかを検討したうえで新たな規約を作成すると同時に、管理組合の理事と相談をしながら見直しを行い、さらには新旧対比表を提示して総会での説明や質疑対応を行うのですから、相応の労力を伴う業務であり、その業務量に応じて相応の費用が発生するのは当然だといえる側面もあります。

しかし、これらの業務はマンション管理士の独占業務ではありません。

そもそも、マンション管理士は区分所有法や管理組合のルールに精通した専門家である一方で、マンション管理士という資格名称については法令上の保護が設けられているものの、管理規約の改正支援が独占業務とされている資格ではないからです。

実際、国土交通省はマンション標準管理規約第34条(専門知識を有する者の活用)で、「マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる」と定めています。

もっとも、「マンション管理士に独占業務がない」ことを、「誰でも管理規約の改定に関する一連の業務を、無制限に引き受けられる」と捉えてはなりません。

マンション管理規約の改正に伴う一定の業務については、資格の有無だけで受任の可否を判断することはできない一方で、実際に行う業務の内容によっては、他法令による規制が適用される場合もあるからです。

例えば、非弁護士が報酬を得る目的で法律事務を業として取り扱えば、弁護士法第72条(非弁護士の法理事務の取扱い等の禁止)との関係が問題となるなど、実際に受任する業務の内容に応じて他法令との関係にも配慮する必要があるのです。

そのため、私たち宅地建物取引業者若しくはその従事者が、管理組合からの依頼を受けて直接的に関与する場合には、規約案の作成支援、アンケート集計、総会サポートなど、具体的な業務範囲を明確にしたうえで、個別具体的な法律相談や法律事務を行うものでないことを「コンサルティング契約書」などで明確にし、必要に応じて弁護士やマンション管理士等の専門家へ適切につなぐことが重要です。

とはいえ、筆者はマンション管理規約の改正支援全般を、不動産業者が一手に引き受けることを推奨する意図はありません。

この業務を引き受けるには、相応程度以上の知見と労力が必要となるからです。

一方で、宅地建物取引業者が弁護士やマンション管理士などの専門家と適切に連携しながら、管理規約の改正が必要なマンションを発見し、課題を整理したうえで必要な専門家へつなぐ、あるいは管理規約がいかに重要であるかを説明し、区分所有者が所有する不動産の価値や将来の売却まで見据えた情報提供を行うことは、ビジネスチャンスになり得ると考えています。

これにより、従来とは異なる新たな接点を管理組合や区分所有者と構築できる可能性が高まり、その結果、売却依頼の増加につながるなど、新たな収益機会を生み出せる可能性があると思われるからです。

本稿では、今回の法改正を受けて需要が高まっているマンション管理規約の改正をビジネスチャンスと捉え、私たち宅地建物取引業者がどのような関わりを持つべきか検証します。

「管理会社だけでは対応しきれない?」専門家による支援が広く求められる理由

今回の法改正によって管理規約の見直しが必要となる一方で、すべての管理組合が管理会社から積極的な支援が受けられているとは限りません。

実際、筆者のもとには口コミなどを通じて、管理規約の改定に関する相談が数多く寄せられてくるようになりました。

それらの話を聞いていくと、

「管理会社に管理規約の改正について相談したところ、管理業務の範疇ではないため、管理組合で対応するように求められた」

「長期修繕費用を拠出したばかりで資金が足りない状態であるのに、管理会社から紹介されたマンション管理士による見積もりはかなりの高額だった。これでは、組合員から同意を得るのも困難であるにもかかわらず、管理会社が代替案を提案してくれない」

といった内容のものです。

本来、管理規約の変更は、管理組合が主体となって進めるべきものです。

管理会社への依存が過ぎると、管理会社側にとって都合の良い内容が盛り込まれる可能性も否定できないからです。

とはいえ、区分所有法を始めとする各種の法律に管理組合の理事が必ずしも精通しているとは限らず、さらに、誰に対してどのように相談すれば良いのかさえ分からないケースもあるでしょう。

そのため、まずは管理会社に相談しようと考えるケースが多いのです。

しかし、管理規約の変更には利害調整や法的な整合性の確認が不可欠で、管理会社が積極的に対応すれば、その分だけ業務負担が増加します。

また、業務を負担したからといって直接的な利益を得られるわけでもなく、さらには、管理会社の社員が近年の法改正や管理規約の変更事例に対する専門知識を有していない、加えて人手不足であるといった背景もあるでしょう。

そのため、サポートが限定的である、あるいは管理規約の改定については一切受け付けないといった管理会社の対応が見られるケースもあり、インターネット上では「管理会社による塩対応」などと話題になることもあります。

しかし、管理会社の役割は、あくまで管理組合から委託を受けた管理業務を適切に遂行することであり、法改正に伴う管理規約の全面的な見直しや、規約案の作成、総会における詳細な説明や質疑対応までを行う義務はありません。

特に、今回の改正においては見直された条文が多く、単純に条文の文言を置き換えるだけでは済まないケースも想定されます。

これは、主な変更点だけでも、特別決議の要件、総会の定足数と議決権、総会招集時の議案要領、緊急総会の招集通知要件、所在不明区分所有者への対応、管理不全専有部分管理命令、共有部分に関する損害賠償請求権、修繕積立金の使途など、多岐にわたるからです。

マンション標準管理規約の主な変更点

管理規約を変更するためには、現行の管理規約と標準管理規約を対比させ、変更点や不足している規定内容を整理したうえで、標準管理規約の条文を参考に改正案の作成を進める必要があります。

さらに、変更する規定の内容に応じた決議要件を確認したうえで、適切な総会の招集・運営を行い、必要な賛成を得なければなりません。

管理組合の総会に出席した経験のある方ならご存じかも知れませんが、区分所有者の中には、なぜ管理規約の変更が必要かをなかなか理解してくれず、いくら「法改正により、現行の管理規約に沿った総会の招集や会議運営が違法となる可能性がある」「総会で決議された内容が無効となる恐れがある」と説明をしても、理解が得られない場合があります。

管理規約,変更までの流れ

そのような区分所有者に対して説明を行い賛同してもらうには、相応の時間と労力が必要となる場合もあるのです。

法令に基づく決議要件を満たすことは当然として、区分所有者に変更の必要性や条文について正しく理解をしてもらわなければ、改定後、区分所有者間に遺恨を残す結果となりかねません。

このように、管理規約の改正は単なる事務作業ではなく、法令の理解、管理規約の読解、マンション固有の事情、区分所有者への説明、さらには総会における質疑対応までを含む専門性の高い業務です。

したがって、管理会社がそのすべてに積極的に関与することが難しいのは、無理のない側面があるのです。

だからといって、序章で述べたように、筆者は管理規約の改正そのものを宅地建物取引業者が請け負うことを推奨しているわけではありません。

もちろん、これらの専門業務に精通しているのであれば受任を検討しても良いのでしょうが、それよりも、管理組合に対して「管理規約の見直しが必要ではないか」との問題提起を行い、必要に応じて弁護士やマンション管理士などの専門家へつなぐことこそが大切だと考えています。

これは、管理規約の改正をきっかけとして管理組合との接点を持つことで、そのマンションが抱えている管理上の課題を把握でき、その結果、区分所有者の売却、相続、住み替えなど、様々な不動産ニーズへとつながる可能性があるからです。

高まりを見せる管理規約の改正需要を、単なる一時的な法改正対応と捉えてはなりません。

管理会社による支援だけでは対応しきれていない領域が存在し、さらには積極的に支援している管理会社が必ずしも多くはないという現実を踏まえれば、専門家による支援が求められる領域であるといえるからです。

重要なのは、宅地建物取引業者がこの需要をどのように捉え、どこまで関与するかです。

関与する場合にも、「自社ですべて受ける」と安易に発想するのではなく、「適切な専門家へつなぐ」ことを視野に入れつつ適正に関与する姿勢が重要です。

そのようなスタンスでの関わり方こそが、管理組合との新たな接点を生み出し、今回の改正需要を新たなビジネス機会へとつなげる「鍵」となるからです。

「改正需要をどう掘り起こす?」想定される3つのアプローチ

管理規約の改正需要を新たなビジネス機会へとつなげる「鍵」と捉えた場合、私たち宅地建物取引業者は具体的に、どのような関わり方をすれば良いのでしょうか。

先述したように、筆者は管理規約の改正業務そのものを新たな収益事業として取り込むことよりも、

  1. 管理規約の見直しが必要なマンションを発見する
  2. 管理組合に問題提起する
  3. 必要に応じて信頼の置ける専門家へとつなぐ

という3段階のアプローチこそが重要だと考えています。

もちろん、日々新たな不動産知識の習得に余念のない皆さんであれば、管理規約の見直しを始めとする一連の改正業務を単独で受任することが可能かもしれません。

ですが、先述したように改正提案から総会対応まで一連の業務を引き受ければ、相応の労力と時間を必要とします。

それよりも、1件でも多く取引を完了させた方が短期的な費用対効果は高まるでしょう。

しかし、長期的な観点に立てば、管理組合との接点を持つことで、区分所有者の売却、相続、住み替えなど、様々な不動産ニーズへとつながる可能性があるのですから、一切関与しないとの姿勢が、必ずしも正解であるとは限りません。

むしろ、宅地建物取引業者が積極的な関与をしてこなかった領域だからこそ、未開拓のビジネス領域、いわゆるブルーオーシャンとなる可能性があるのです。

そもそも、消費者はすでにマンションの価値が売買価格や立地だけではなく、「管理も重要である」ことに気がついています。

購入検討時においては、管理規約はもとより管理費や修繕積立金の額、長期修繕計画や総会議事録、さらには建替え検討時における合意形成の難易度など、あらゆる側面で比較検討するようになっているのです。

説明するまでもないでしょうが、分譲マンションでは専有部分だけでなく、共有部分や敷地についても区分所有者として共有持分を有することになります。

そのため、マンション全体の利用や管理に関する事項については、区分所有法をはじめとする法令や管理規約で規定されたルールに従う必要があります。

そして、新たな区分所有者となる購入者は組合員の一員として、管理組合の運営方針や管理費・修繕積立金の負担、大規模修繕、さらにはマンション全体の意思決定に関わることになるのです。

それだけに、区分所有者が遵守すべきルールである管理規約の存在は重要です。

ですが、標準管理規約は序章で述べたように、あくまでも「ひな型(指針)」に過ぎません。

そのため、区分所有法等において「規約で別段の定めをすることを許容」している事項、いわゆる規約で任意に定めることができるとされている事項については、法令や公序良俗に反しないことを前提に、マンションの実情に応じた内容を定めることができます。

そして、このような柔軟さはマンションごとの事情に応じた管理を可能にするメリットがある一方で、管理規約の内容を十分に検証しないまま長期間運用されれば、現在の区分所有者にとって不合理な規定が残存する結果となっている可能性があります。

特に、築年数が経過しているにもかかわらず、適宣管理規約の見直しを行ってこなかったマンションでは、制定当時は合理性があった規定でも、現在の居住実態や区分所有者の構成、社会環境、法制度などと合わなくなっている可能性が高いでしょう。

特に、自主管理マンションにおいては過去の区分所有者間の合意や慣行を前提として規約が運用されているケースが見受けられるため、注意が必要です。

例えば、専有部分の利用方法やペットの飼育、駐車場・駐輪場の利用、修繕や費用負担、役員の選任方法などについて、マンションの実態と管理規約との間に乖離が生じている可能性が高いからです。

このような状態が放置されれば、区分所有者が入れ替わったのを契機に、表面化してこなかった問題が顕在化する可能性があります。

また、旧態依然の管理規約を見て、購入を見合わせる方もいらっしゃるでしょう。

このように、管理規約の見直しを長期間行わないことが、結果として購入検討者から敬遠される要因となり、マンションを所有する各区分所有者の資産価値に影響を及ぼしている可能性すらあるのです。

マンションの取引を扱う際、私たち宅地建物取引業者は管理規約だけではなく、総会議事録、長期修繕計画、管理費・修繕積立金など、マンション管理に関する様々な情報に接します。

その過程で、

  • 管理規約が長期間改正されていない
  • 総会議事録を見ても、法改正への対応について議論された形跡がない
  • 管理規約に関する問題が繰り返し議論されている一方で、なんら進捗が認められない

といった兆候を発見した場合、それが管理組合に対して問題提起を行うきっかけとなります。

その際、「この規約は違反です」「条文が無効とされる可能性があります」と指摘する必要はありません。

それよりも、「現在の法制度やマンションの実態に照らして、一度専門家を交えて管理規約を確認されてみてはいかがでしょか。微力ではありますが、私もサポートさせていただきます」と伝え、管理組合から関与することについて了解を得られれば、その範囲を明確にしたうえでサポートに徹し、必要に応じて専門家へとつなぐ。

これが、先述した3段階アプローチの最終段階です。

重要なのは、管理規約の改正そのものを目的としないことです。

あくまでもどのような問題を抱えているかを把握し、必要な支援を行うのです。

その結果、管理組合との信頼関係の構築が実現できます。

そして、関係性の構築が、将来的な区分所有者の売却、相続、住み替えなどの不動産相談へと発展する可能性を高めてくれるのです。

このように、「管理規約の把握⇒管理上の課題⇒専門家との連携⇒不動産相談」という流れを意識して関与することが、宅地建物取引業者にとって重要なのです。

ただし、形成された管理組合との接点を「営業機会」と捉え、露骨に利用してはなりません。「結局、売却案件を探していただけなのか」と見限られる可能性があるからです。

たとえ困難を伴うとしても、管理規約の改正が、結果的には区分所有者の暮らしやすさや資産価値の向上に直結することを伝え、それを実現できるようにサポートする姿勢を示す。

その結果、区分所有者から売却や相続、住み替えなどの相談が寄せられるようになるのであれば、それこそが本来目指すべきビジネスの形ではないでしょうか。

消費者は、すでにマンションの価値が立地や価格だけではないことに気がついています。

それだけに、マンションの価値を総合的に捉え、その価値を維持・向上させるために必要な情報を提供し、問題があれば専門家へ橋渡ししてくれる存在は、管理組合や区分所有者にとって貴重だと言えるのです。

今後ますます望まれる存在

2026年4月の改正区分所有法によって、これまで管理規約の見直しをしてこなかったマンションは特に、管理規約と改正法令との関係を確認し、必要な対応を検討することが求められています。

しかし、特別決議を要する管理規約の改正は、それほど簡単な作業ではありません。

序章で述べたように、規約の改正には、改正された法の内容を確認すると同時に、どこまで変更すべきなのかを検討し、さらには総会で区分所有者の合意を形成する作業が必要となります。

そして、それには少なからぬ労力と専門知識が必要です。

特に、役員の成り手不足や賃貸化、区分所有者の高齢化などが顕在しているマンションでは、改正が困難となりがちです。

これは、これらのマンションに限らずではありますが、管理規約の改正を契機として、修繕積立金や管理体制など、現状においてマンションが抱えている別の課題まで議論が広がることもあるため、区分所有者ごとの利害関係が対立する状態になりがちだからです。

このようなケースの場合、管理規約の改正を困難にしているのは、管理規約改正に伴う事務作業よりも、むしろ利害関係の調整だとさえ言えるのです。

しかし、適切な対応を段階的に行うことで、負担を軽減することは可能です。

そして、それを実現するために、私たち宅地建物取引業者が自らすべてを担うのではなく、必要に応じて専門家と連携しながら尽力するのです。

「管理規約の改正に関与する仕事が増えるだけ」と捉えてしまえば、専門性と労力を要する業務が増えるだけに終わります。

しかし、「管理規約の見直しを入口に管理組合との新たな接点を構築できる」と捉えれば、新たなビジネス機会が生まれます。

管理規約の改定そのものを自社で請け負うのか、あるいは情報提供やサポートに留めるのかは、各社が有する知識や人員、専門家とのネットワークによって異なるでしょう。

しかし、少なくとも今回の法改正によって顕在化した管理規約の見直し需要を、ただ「自社の業務範疇ではない」と見過ごすのは、賢明な判断とは思えません。

変わりゆく購入検討者の意識や、区分所有者の不動産ニーズまでを視野に入れ、管理規約の改正を新たなビジネス機会と捉え、自社の専門性や体制に応じた適切な関与に取り組むことが、他社との差別化を図るうえでも大切なアプローチであると、筆者は考えています。

まとめ

「管理規約の改正業務を手掛けたことがない」「知識が不足している」「必要とされる労力の割りに、見込める利益が少ない」と捉えれば、管理組合から相談を持ち込まれた場合でも、「弊社の業務範囲外です」と、即座に断りたくなるでしょう。

専門業者ではないのですから、その判断自体は当然です。

しかし、他社との差別化を実現して安定的な収益を上げ続けるためには、専門性を高める努力が欠かせません。

そのような意味において、手間がかかり、かつ相応の知識が必要となる管理規約の改正業務は、新たなビジネス戦略の一つとなり得るのです。

だからといって、本稿で論述したように、必ずしも改正業務の全てを自社で行う必要はありません。

サポート役に徹し、必要に応じて専門家への橋渡しをすることだけでも、十分な成果を得られる可能性があるからです。

重要なのは、「管理規約の改定業務そのものを引き受けること」だけではありません。

管理規約の改定を入口としてマンションが抱える管理上の課題を把握し、必要に応じて専門家へつなぎ、管理組合や区分所有者にとって有益な支援を提供すると同時に、その存在を印象付けることです。

関与によって構築された信頼関係が、売却、相続、住み替えなどの不動産相談につながるのであれば、それは単なる法改正対応を超えた、新たなビジネス機会となります。

管理組合から管理規約に関する相談を持ち込まれた際、それを「業務が増えて面倒」と捉えるのか、それとも「管理組合との関係を構築できる機会」と捉えるのかは皆さん次第です。

ですが、視点の違いこそが、今後の宅地建物取引業者に求められる差別化の一つとなり得ることを、忘れてはならないのです。

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