【宅建業法】35条書面(重説)・37条書面の電子交付(電磁的方法)の要件と事前承諾の取り方

【宅建業法】35条書面(重説)・37条書面の電子交付(電磁的方法)の要件と事前承諾の取り方

不動産営業において、契約時に欠かせない「35条書面(重要事項説明書)」と「37条書面(契約書)」。

これまで紙に印刷して大量のハンコをもらうのが当たり前でしたが、宅建業法(つまり、不動産取引を安全で公正に行うための法律のこと)の改正により、これらの書類を電子データで送付する「電子交付」が解禁されました。

「ペーパーレス化したいけれど、どうやってお客様の許可を取ればいいの?」「どんな形式のデータなら法律違反にならないの?」と悩む実務担当者も多いはずです。

この記事では、35条書面・37条書面を電磁的方法(電子データ)で提供するための要件や事前承諾の正しい取り方を、知識がない方にもわかりやすく噛み砕いて解説します!

結論!35条書面と37条書面は条件を満たせば「電子データ」で渡せる

結論から言うと、宅建業者は、お客様などから事前に承諾を得ることで、これまで紙で渡していた重要事項説明書(35条書面)や契約書(37条書面)を、電子メールやWEBからのダウンロードといった電磁的方法(つまり、インターネットなどの情報通信技術を利用したデータでのやり取りのこと)で提供することができます

これは、飛行機のチケットが紙から「eチケット(スマートフォンに表示するバーコード)」に変わったのと同じです。形はデータになっても、法律上はきちんと「紙の書面を渡した」のと同じ効力を持ちます。

  • 35条書面(重要事項説明書):重要事項説明を受けるお客様の承諾を得ることで電子化が可能
  • 37条書面(契約書):売主・買主・貸主・借主など、契約当事者の承諾を得ることで電子化が可能

【メリット・デメリット】

このルールがあることで、業者もお客様も、印刷や郵送の手間、印紙代などのコストを大幅に削減できるという絶大な得(メリット)があります。

一方で、データでやり取りするため、お客様がパソコンやスマートフォンに慣れていない場合は導入が難しいというデメリット(注意点)があります。

絶対に必要!電子交付を始める前の「事前承諾」の取り方ルール

結論から言うと、書類を電子データで送るためには、必ず事前にお客様へ「こんな方法で送ります」と説明し、記録に残る形で「OKです」という承諾をもらわなければなりません。

これは、お店で買い物をしたときに「レシートは紙と電子、どちらになさいますか?」と聞かれ、「電子でお願いします」と同意するのと同じです。勝手にデータで送りつけてはいけません。

承諾を取る方法と明示すべき事項(一覧表)

事前にお客様に示すべき内容と、承諾のもらい方をまとめました。

項目具体的な内容
事前に示すべきこと用いる電磁的方法(電子メールやWEBダウンロードなど)
ファイルへの記録方式(使うソフトウェアの形式やバージョンなど)
承諾をもらう方法記録に残るよう、書面に出力可能な方法(電子メールでの返信やWEB上での同意クリックなど)
または紙の書面での承諾

なお、一度承諾をもらった後でも、お客様から「やっぱり紙がいい」と言われた場合は、電磁的方法による提供をしてはいけません。ただし、再度承諾を取り直せば電子データで提供することが可能です。

ただ送るだけではダメ!電子交付(電磁的方法)で満たすべき3つの基準

結論から言うと、電子データで書類を渡す場合は、「いつでも紙に印刷できること」「宅地建物取引士の記名があること」「あとから勝手に書き換えられないこと」という厳格な基準を満たさなければなりません。

これは、銀行の通帳がアプリになっても、過去の取引履歴が勝手に消えたり改ざんされたりしない頑丈なセキュリティで守られているのと同じです。

宅建士の記名と改ざん防止措置(電子署名など)

  • 書面の状態で確認できるよう、紙に印刷(出力)可能な形式で提供すること。
  • 電磁的方法で提供する書面にも、宅地建物取引士(つまり、試験に合格し都道府県知事から登録を受けた不動産取引の専門家のこと)の記名が必ず必要であること。
  • 交付した時点と将来の時点で内容が同じである(改変されていない)ことを確認できるよう、電子署名(つまり、電子データが本物であり改ざんされていないことを証明するデジタルのハンコのこと)などの措置を講じること。

WEBダウンロード方式特有の「通知」ルール

お客様が専用のWEBサイトからデータをダウンロードする方式にする場合は、ただサイトにアップロードするだけでなく、ダウンロードが可能となった後、または事前に「いつでもダウンロードできますよ」とお客様へ通知をしなければならないルールがあります。

ただし、お客様がすでにダウンロードしたことが確認できた場合は通知不要です。

トラブル防止!実務で気をつけるべき4つの留意点

結論から言うと、電子交付を行う際は、お客様が確実にデータを見られる環境にあるかを確認し、アフターフォローまでしっかり行うことが国から求められています。

  • IT環境の確認:事前承諾を取る際に、業者が使うソフトウェアに、お客様のパソコンやスマホが対応しているか(見られるか)確認する。
  • 到達の確認:データを提供した後、本当にお客様の手元に届いているか確認する。
  • 文字化け等の確認依頼:電子書面の提供前に、文字化けや文字欠け、改変が生じていないかお客様自身にも確認してもらうよう伝える。
  • 保存の説明:お客様に対して、電子書面を保存する必要があることと、具体的な保存方法を説明する。

【メリット・デメリット】

細かな留意点があることで、お客様は「データが消えた」「見られない」というトラブルを防げるメリットがあります。

業者にとっては、お客様のITスキルに合わせた丁寧な説明という営業上の手間(デメリット)がかかります。

まとめ

結論として、宅建業法における35条書面(重説)と37条書面(契約書)は、厳格な条件をクリアすれば電磁的方法(電子交付)での提供が可能です。

そのためには、事前にお客様へデータの形式や送付方法を示し、メールやWEB上など記録に残る形で「承諾」を得ることが絶対条件です。

さらに、書類のデータは印刷可能であり、宅地建物取引士の記名と、改ざん防止のための電子署名等の措置が施されていなければなりません。

実務においては、お客様のIT環境の確認や、データ到達の確認、保存方法の説明といった細やかな配慮が求められます。

ルールを正しく守り、安全で効率的なペーパーレス取引を実現しましょう!

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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