建築確認前の物件は契約・広告できない?宅建業法の「時期の制限」を徹底解説

建築確認前の物件は契約・広告できない?宅建業法の「時期の制限」を徹底解説

未完成の物件を取り扱う際、「図面ができたから早くお客様に紹介したい」「早く契約を決めてしまいたい」と焦ることはありませんか。

しかし、「宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)」では、未完成物件の広告や契約を行うタイミングについて厳格な「時期の制限」が定められています。

この記事では、宅建業法における契約締結や広告開始の時期の制限ルールや、プラン変更時の例外対応について、法律の知識がない初心者でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:建築確認などの「行政のOK」が出るまでは、広告も契約も一切できない!

結論から言いますと、未完成物件の広告や契約は、新作映画で例えるなら、「映画の公開(建築)に対する行政の厳しい審査をクリアして、正式に上映の許可が出るまでは、予告編を流すこと(広告)も、前売り券を売ること(契約)も絶対にしてはいけない」というルールです。

行政からオーケーが出て初めて、お客様に向けて宣伝したり、売買などの契約を結んだりすることができます。

そもそもなぜ制限がある?時期の制限ルールが存在する理由

不動産は非常に高額な商品です。

もし、行政の許可が下りていない段階で広告を出し、契約まで済ませてしまったらどうなるでしょうか。

その後に行政の審査で「この図面のままでは危険だから建ててはいけない」と却下されたり、計画が大幅に変更されたりした場合、お客様は「約束していた家が手に入らない」という甚大な被害を受けることになります。

このようなトラブルを未然に防ぎ、お客様が確実に計画通りの物件を手に入れられるようにするため、宅建業法では確実性が担保されていない段階での広告や契約を固く禁じているのです。

「広告」と「契約」の時期の制限ルール(宅建業法第33条・第36条)

宅建業法では、広告と契約それぞれについて制限が設けられています。

  • 広告の開始時期の制限(法第33条):許可などの処分があった後でなければ、広告をしてはならない。
  • 契約締結等の時期の制限(法第36条):許可などの処分があった後でなければ、売買や交換の契約を締結したり、媒介をしてはならない。

必要な許可・確認とは具体的に何?

ここでいう「許可」や「確認」とは、主に以下のものを指します。

  • 開発許可(つまり土地を宅地に変えるための行政の許可のこと):都市計画法に基づく許可
  • 建築確認(つまり家を建てるための行政の審査・オーケーのこと):建築基準法に基づく確認

これらをクリアして初めて、市場に出す準備が整ったことになります。

【実践編】プラン変更やセレクトプランの場合はどうなる?

実際の業務では、「一度オーケー(建築確認)をもらったけれど、後から間取りを変更したい」というケースがあります。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、このような場合の契約対応についても細かく定められています。

マンションの設計変更に関する特例

マンションのように複数の住戸がある物件において、当初の建築確認を受けた後に「変更の確認」を受けようとする場合、以下の条件を満たせば、変更の確認を受ける前でも契約を締結してよいとされています。

  • 契約の対象となっていない「他の住戸」の専有部分の変更である場合
  • 共用部分の変更があり、かつ構造上主要な部分の変更にならないなど、変更の程度が著しくない場合

セレクトプランは「停止条件」をつければ契約OK

お客様が間取りを選べるセレクトプラン(つまり建築確認を受けたプランと受けていないプランをあわせて示す方式のこと)や、マンションのスケルトン・インフィル(つまり柱や梁などの骨組みと、内装や設備を分けて作る方式のこと)などの場合、購入者の希望に応じて設計が変わり、後から変更の確認が必要になることがあります。

この場合、「変更の確認を受けること」を停止条件(つまり条件がクリアされた時に初めて契約の効力が発生するルールのこと)にするなどして消費者の保護を図っていれば、変更の確認を受ける前に契約を結んでも差し支えないとされています。

時期の制限ルールが存在するメリット・デメリット

この時期の制限ルールが存在することには、次のような意味があります。

項目内容
メリットお客様にとっては、行政の許可が下りた確実な物件だけを検討・契約できるため、「買ったのに家が建たない」といった致命的なトラブルを避けられるという大きな得があります。
デメリット不動産会社にとっては、土地の仕入れから建築確認が下りるまでの間、一切の広告や販売活動(契約)ができないため、資金を回収できるタイミングが遅くなり、事業のスケジュール管理がシビアになるという面があります。

まとめ

宅建業法における建築確認前の物件の広告・契約の時期の制限ルールについて解説しました。重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 建築確認や開発許可などの行政のオーケーが出るまでは、広告も契約も禁止されている。
  • 確実性のない物件でお客様が損害を被るのを防ぐためのルールである。
  • マンションにおいて、他の住戸の変更や軽微な共用部分の変更なら、変更確認前でも契約できる場合がある。
  • セレクトプランなどは、変更確認を受けることを「停止条件」にすれば契約可能である。

「早く売りたいから少しだけフライングしよう」という行為は、宅建業法違反となる重大な問題です。

不動産業に従事する皆様は、この時期の制限ルールを厳格に守り、お客様に安心と確実性を提供する取引を心がけましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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