重説・契約書の電子交付(電磁的方法)で求められる「改変防止措置」と「電子署名」の要件

不動産の契約業務において、重要事項説明書(35条書面)や契約書(37条書面)のペーパーレス化が進んでいます。
しかし、「PDFにしてメールで送ればいいの?」「ハンコの代わりはどうするの?」と、電子化の具体的なルールに戸惑う営業担当者も多いでしょう。
宅建業法(つまり、不動産取引を安全で公正に行うための法律のこと)では、単にデータを送るだけでなく、後から内容を書き換えられないような厳格なセキュリティ対策を求めています。
この記事では、重説や契約書を電磁的方法(電子データ)で提供する際に必須となる「改変防止措置」や「電子署名」の要件について、知識がない初心者にもわかりやすく噛み砕いて解説します!
結論!電子データは「改変防止措置」がないと交付したことにならない
結論から言うと、35条書面や37条書面を電子データで渡す場合、そのデータが「渡した時のまま、一文字も書き換えられていない」ことを証明できる仕組み(改変防止措置)を講じなければ、法律上、書類を渡したとは認められません。
これは、大事な手紙を渡すときに、途中で中身を見られたり書き換えられたりしないよう、封筒に「封蝋(ふうろう)」をして特別なスタンプを押すのと同じです。
電子データは簡単に書き換えができてしまうため、デジタルな封蝋をして本物であることを保証する必要があります。
【メリット・デメリット】
改変防止措置を講じるルールがあることで、お客様も不動産会社も「言った言わない」「契約内容が勝手に変わっている」という後々のトラブルを完全に防げるという大きなメリット(得)があります。
一方で業者にとっては、電子署名などの機能を持つ専用のシステムを導入し、使いこなすための費用や手間(デメリット)がかかります。
電子交付(電磁的方法)で求められる3つの必須要件(一覧表)
結論から言うと、電磁的方法(つまり、インターネットなどの情報通信技術を利用したデータでのやり取りのこと)で書類を提供する場合は、以下の3つの基準をすべてクリアしなければなりません。
| 必須要件 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 改ざん防止措置(電子署名等) | 交付時点と将来の時点で、内容が同一であることを確認できること |
| 出力可能な形式 | お客様がご自身の環境で、書面(紙)の状態で確認・印刷できること |
| 宅建士の記名 | 電子データ上にも宅地建物取引士の記名があること |
要件1:改ざんを防ぐ「電子署名等」の措置
データを受け取ったお客様が、「この内容は改変(書き換え)されていない」と将来にわたって確認できるように、電子署名(つまり、電子データが本物であり改ざんされていないことを証明するデジタルのハンコのこと)などの方法を用いなければなりません。
要件2:紙に印刷(出力)できる形式であること
電子データは、ただ画面で見られるだけでなく、お客様自身がいつでも紙に印刷できる形式(PDFファイルなど)で提供する必要があります。
要件3:宅地建物取引士の記名があること
紙の書類に宅地建物取引士(つまり、試験に合格し都道府県知事から登録を受けた不動産取引の専門家のこと)が記名するのと同じように、電子データ上でも誰が説明・作成したのかを明らかにするため、宅地建物取引士の記名が必須となります。
実務上の注意点!お客様への確認と保存の説明
結論から言うと、システムで安全なデータを送った後も、お客様が実際にデータを開けるか、文字化けしていないかを一緒に確認するアフターフォローが求められます。
これは、宅配便を送ったあとに「無事に届きましたか?中身は壊れていませんか?」と確認の電話を入れるのと同じような丁寧な対応です。
【メリット・デメリット】
このような丁寧なフォローのルールがあることで、パソコン操作に不慣れなお客様でも安心して電子契約を利用できるというメリットがあります。
ただし、営業担当者はただデータを送って終わりではなく、お客様の端末での見え方まで気にかけなければならないというサポートの手間(デメリット)が生じます。
まとめ
結論として、宅建業法において35条書面(重説)や37条書面(契約書)を電磁的方法で提供する場合、単なるデータの送信では不十分です。
お客様が書面として印刷できる形式であること、宅地建物取引士の記名があることに加え、電子署名等を用いて「交付時点と将来の時点で内容が同一であること(改ざんされていないこと)」を確認できる改変防止措置を講じることが厳格に義務付けられています。
さらに実務においては、文字化けがないかの確認や保存方法の説明など、お客様が確実に内容を把握できるようなサポートが必要です。
これらの要件を満たした適切なシステムを活用し、安全でスムーズな電子交付を実現しましょう!
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