定期借地権(一般・事業用)設定契約の代理・媒介における公正証書等の「書面化」指導義務

定期借地権(一般・事業用)設定契約の代理・媒介における公正証書等の「書面化」指導義務

不動産の営業において、土地を一定期間だけ貸し出す「定期借地権」の契約を扱う機会は増えています。

しかし、「口約束でも契約は成立するの?」「公正証書は絶対に作らなきゃいけないの?」と、書面化のルールについて迷うことはありませんか?

宅建業法(つまり、不動産取引を安全で公正に行うための法律のこと)の運用ルールでは、定期借地権の種類に応じて、公正証書などの書面を作成するようお客様に指導や注意喚起を行う義務が業者に課せられています。

この記事では、一般・事業用などの定期借地権設定契約における書面化の指導義務について、知識がない初心者にもわかりやすく噛み砕いて解説します!

結論!定期借地権の設定契約は「書面化」しないと普通の借地権になってしまう

結論から言うと、定期借地権(つまり、契約期間が終わったら必ず土地を地主に返すルールの借地権のこと)の契約を仲介する際、不動産会社は「必ず公正証書などの書面で作らないと、普通の借地権(つまり、借りる側の権利が強く、なかなか土地が返ってこない借地権のこと)になってしまいますよ」とお客様に注意を促さなければなりません。

これは、魔法の呪文を「指定された公式の巻物(公正証書など)」に書かないと、ただの落書きになってしまい、魔法(契約期間で必ず返ってくる効果)が発動しないのと同じです。

決められたルールで書面化して初めて、特別な効果が認められます。

  • 代理や媒介を行う宅地建物取引業者(つまり、免許を受けて不動産取引をビジネスとして行っている会社のこと)は、書面化について取引当事者に注意を喚起する義務がある。
  • 適切な書面化をしないと、当事者の意図に反して普通借地権として扱われてしまう。

【メリット・デメリット】

このルールがあることで、地主(貸主)は「期間が来たら確実に土地が戻ってくる」と安心して土地を貸し出せる絶大な得(メリット)があります。

一方で、不動産会社にとっては、お客様に公正証書の手続きを案内し、公証役場へ行くなどの手間をサポートしなければならないという事務的な負担(デメリット)がかかります。

種類別!定期借地権の書面化ルールと注意喚起の義務

定期借地権にはいくつか種類があり、それぞれ法律で求められる「書面のレベル」が異なります。

一般定期借地権と事業用借地権のルールの違い(一覧表)

それぞれの書面化ルールと、不動産会社がすべき指導内容を一覧表にまとめました。

定期借地権の種類書面化のルール業者の指導・注意喚起の内容
一般定期借地権「更新などをしない旨の特約」は、公正証書などの書面で行う必要がある書面で行わないと普通借地権になる点について、注意を喚起する
事業用借地権設定契約は、必ず公正証書によって行わなければならない公正証書で行わないと普通借地権になる点について、注意を喚起する

一般定期借地権の場合は普通の契約書等でもギリギリセーフですが、事業用借地権の場合は「必ず公正証書(つまり、公証人という公務員が法律に従って作成する公的な文書のこと)」で作らなければなりません。

建物譲渡特約付借地権も書面化の指導・助言を!

建物譲渡特約付借地権(つまり、将来的に地主がその土地上の建物を買い取ることを約束して設定する借地権のこと)については、法律上は口約束でも有効ですが、不動産会社は書面化するように指導・助言すべきとされています。

  • 法律上は書面によらずとも特約は有効である。
  • しかし、将来の言った言わないの紛争を防止する観点から、宅地建物取引業者は取引当事者に書面化等するよう指導、助言することとされている。

契約成立後!37条書面への記載も忘れずに

宅建業者の代理や媒介によって定期借地権設定契約が無事に成立したときは、その内容を契約書(37条書面)にもしっかりと記載することが推奨されています

これは、旅行の計画を立ててホテルを予約した後に、その予約内容(期間や料金)を「旅のしおり(37条書面)」に書き込んで全員で共有するのと同じです。

あとから確認できるように公式な記録として残します。

  • 定期借地権設定契約が成立したときは、当該定期借地権等の内容を法第37条に規定する書面(つまり、契約成立後に遅滞なく交付する契約内容を記した必須の書面のこと)に記載することが望ましい。

まとめ

結論として、宅建業者が定期借地権設定契約の代理や媒介を行う場合、お客様に対して「書面化」の重要性をしっかりと指導・注意喚起する義務があります。

一般定期借地権の特約は「公正証書等の書面」で、事業用借地権の設定契約は「必ず公正証書」で行わなければ、意図に反して普通借地権として扱われてしまうためです。

また、建物譲渡特約付借地権についても、トラブル防止のために書面化を助言することが求められます。

さらに、契約成立後には、定期借地権の内容を法第37条書面に記載することが望ましいとされています。

これらのルールを正しく理解し、お客様が不利益を被ることのないよう、適切な契約のサポートを心がけましょう!

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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