重説における「既存住宅に係る建設住宅性能評価書」の保存状況の説明義務とは?

重説における「既存住宅に係る建設住宅性能評価書」の保存状況の説明義務とは?

中古戸建てや中古マンションの取引において、重要事項説明(つまり契約前に物件や取引条件に関する重要な情報を説明すること)を行う際、「既存住宅に係る建設住宅性能評価書」の保存状況を説明する義務があります。

「評価書の中身まで説明するの?」「書類が見つからない時はどうすればいいの?」と迷う新人営業マンも多いかもしれません。

この記事では、宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)における性能評価書の保存状況の説明義務について、法律の知識がない初心者でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:性能評価書の保存状況の説明とは、中古物件の「公式な成績表」があるかどうかを伝えること

結論から言いますと、既存住宅に係る建設住宅性能評価書の保存状況の説明とは、中古車の購入で例えるなら、「この車には専門の検査員がチェックした公式な性能の成績表が残っていますよ(または残っていませんよ)」とお客様に事前にお知らせするようなものです。

不動産会社は、書類に書かれている専門的な評価内容まで詳しく解説する必要はなく、あくまでその成績表が「保存されているか、いないか」を調査して伝える義務を負っています。

そもそもなぜ必要?「建設住宅性能評価書」とは

「建設住宅性能評価書」とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(つまり良質な住宅を安心して取得できるようにするための法律のこと)に基づき交付される公的な書類です。

とくに既存住宅(つまり中古物件のこと)の場合は、外から見ただけではわからない建物の劣化状況や性能を専門家が客観的に評価した結果がまとめられています。

中古物件は新築と違って品質にバラつきがあるため、お客様が安心して購入を決断するための重要な判断材料になります。

そのため、この書類が存在するかどうかを契約前に必ず説明し、お客様に情報提供することがルールとして定められているのです。

重説での説明ルールと具体的な調査方法

それでは、実際の業務においてどのように調査し、説明すればよいのでしょうか。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に基づき解説します。

説明するのは「あるか・ないか」だけでOK

保存状況に関する説明は原則として当該書類の「有無」を説明するだけで済みます。書類に記載されている細かい評価の点数や内容についてまで、宅地建物取引業者(つまり不動産会社のこと)が読み解いて解説する義務はありません

また、書類が紙ではなく、電磁的記録(つまりPDFなどの電子データのこと)で保存されている場合も「有」として扱われます。

もし、そもそもこの書類の作成義務がなかったり、交付されていなかったりする場合は、「ありません」と説明すれば完了です。

管理組合や売主への問い合わせで調査義務クリア

書類があるかどうかの調査は、売主や現在の所有者に対して「性能評価書は保存されていますか?」と照会(つまり問い合わせて確認すること)を行います。

マンションなどの場合は、必要に応じて管理組合や管理業者にも問い合わせます。

これらを実施した上で、書類の有無がどうしても判明しない場合は、お客様にそのまま「有るか無いか判明しません」と説明すれば問題ありません。

その照会を行ったという事実をもって「不動産会社としての調査義務を果たした」ことになります。

自腹で専門家を呼んで評価書を作り直す必要はありません。

要注意!「新耐震基準」の証明書としても使えるが「等級0」はNG

この「既存住宅に係る建設住宅性能評価書」は、昭和56年5月31日以前に着工された古い物件の「新耐震基準適合証明書類(つまり現在の地震対策の基準を満たしていることの証明書のこと)」として活用できる非常に便利な書類でもあります。

ただし、これには条件があります。日本住宅性能表示基準の耐震等級(つまり建物の構造の倒壊のしにくさを示すランクのこと)が「等級1、等級2、等級3」のいずれかであることが必要です。

もし、書類が保存されていても評価が「等級0」だった場合は、新耐震基準に適合している証明にはなりません。

この場合、性能評価書自体の保存状況は「有」となりますが、新耐震基準の証明書としては「無」と説明しなければならないため、絶対に勘違いしないよう注意が必要です。

保存状況の説明ルールが存在するメリット・デメリット

このルールが存在することには、次のような意味があります。

項目内容
メリットお客様が建物の品質に関する客観的なデータ(成績表)の存在を知ることができるため、購入前に書類を確認して、納得した上で安心して中古物件を買えるという大きな得があります。
不動産会社にとっても、正確な情報を提供することで後々の「欠陥があった」などの深刻なトラブルを防ぎやすくなります。
デメリット不動産会社にとっては、物件ごとに売主や管理組合に書類の有無を問い合わせる手間と時間がかかります。
また、性能評価書と新耐震基準の証明のルールの違いなどを正しく理解しておかないと、誤った説明をしてしまい宅建業法違反となるリスクを抱えることになります。

まとめ

重要事項説明における「既存住宅に係る建設住宅性能評価書」の保存状況の説明義務について解説しました。重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 性能評価書の説明とは、建物の「成績表」があるかどうかを伝える義務である。
  • 詳しい評価内容まで不動産会社が解説する必要はない。
  • 売主や管理組合に問い合わせを行い、不明なら「無(不明)」と説明して調査義務完了となる。
  • 電子データ(PDFなど)で保存されている場合も「有」になる。
  • 新耐震基準の証明にも使えるが、「等級0」の書類は証明にならないので注意。

中古物件の取引において、お客様は「この家は本当に安全なのか」と大きな不安を抱えています。

不動産業に従事する皆様は、この性能評価書の存在を正しく調査・説明することで、お客様の不安を取り除き、透明性の高い誠実な取引を心がけましょう。

あわせて読みたい

免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
あなたへのおすすめ