不動産管理会社の業務とは?効率化できる業務と必要性を解説

不動産管理会社の業務で大事なのは、効率化を図り、生産性を上げること。

不動産業は顧客の都合に合わせて仕事をしなければならないので、残業が多くなりがちで、業務の効率化が難しい業界と言われています。

しかし、効率化を促進していかなければ、利益を上げ従業員が働きやすい職場にすることができません。

この記事では不動産管理業務を洗い出し、効率化できる仕事について解説します。

不動産管理業務を効率化する必要性

一般的に不動産管理会社の担当者が適切に管理できる戸数は、250~300戸程度とされています。

それ以上の戸数を担当すると、忙しさに追われ質の高いサービスを行えなくなります。

きめの細かい業務が実践できなければ、オーナーの信頼を失い、他の会社に切り替えられることになりかねません。

また就業時間が長くなれば、モチベーションが下がり退職する人も出てくることでしょう。

管理業務が効率化されると、一人当たりの管理戸数を増やし、なおかつ質の高いサービスができるようになります。

さらに、規定の就業時間内でより多くの業務をこなすことができるようにもなっていきます。

業務の効率化は不動産管理会社にとって、取り組まなければならない大きなテーマと言えるでしょう。

不動産管理会社の業務って?

マンションやアパートの管理は、オーナーが直接行う場合もありますが、一般的には不動産管理会社に依頼します。

不動産投資が成功するか否かは、不動産管理会社によると言っても過言ではなく、しっかりとオーナーの期待に応える業務を行わなければなりません。

それでは不動産管理会社の行わなければならない業務について解説しましょう。

不動産管理会社の業務は、入居者管理及び建物管理の2つに大別できます。

入居者管理業務

入居者管理は募集に始まって、契約・家賃回収・退去までの一連の業務です。

入居者管理にかかわる業務について下記に列挙します。

・入居者募集
・内覧対応
・申込・審査対応
・契約締結
・更新手続き
・家賃回収
・家賃督促
・苦情などの対応
・退去時の立ち会い
・原状回復費用の査定と清算

入居者がこの住宅に住んで良かったと思うように、これらの管理を充実しなければなりません。

建物管理業務

建物の管理は居住者が快適に過ごせるように、建物や設備を保守する業務。

主な業務には次のようなものがあります。

・建物の清掃
・メンテナンス
・設備の修理・更新
・退去後の原状回復
・室内のリフォーム
・建物の修繕

以上のように建物管理業務には、日常的な管理業務および建物の維持・向上のためのメンテナンス業務があります。

快適な住環境を維持できなければ空室が増える原因となり、管理が悪いと建物や設備の寿命も短くなりかねません。

入居者管理での問題点と業務効率化

不動産管理業務は、顧客の動きに合わせて業務をしなければならないことが多いので、効率化を図るには難しいと言えます。

しかし可能な限り効率化を図らなければ、会社自体が利益を出す体質にならず従業員の待遇も改善されません。

電話や来店対応などで忙しい

入居希望者は物件情報を見て、電話やファックス等による問い合わせや、さまざまな連絡を入れてきます。

たとえば募集の際には「まだ広告の部屋はあいているか?」「保証人は必要か?」など電話のやり取りで一日の多くの時間が取られ、忙殺されることになります。

さらに繁忙期の休み明けには、ファックスや留守電が多く入っていて、その処理をするだけで午前中がつぶれてしまうということもあります。

このように後追いの仕事をしていると、忙しさでミスを誘発する基となり仕事の量も増える原因になります。

電話やファックスでの問い合わせ等を減らすには、WEBページの充実を図るのがおすすめです。

ホームページのリンクからメールで連絡できるようにすれば、電話による問い合わせ数を低減できます。

メールでの問い合わせならば、事務所全員で情報を共有できるメリットもあります。

またホームページで物件周辺の環境や、室内の様子を写真・動画で見られれば、顧客は事前に物件のおおよその状況を把握できます。

これにより何件も内覧する必要がなくなり、入居希望者に対して、的を絞った物件のみ案内をすれば良いことになります。

顧客としても時間と労力をセーブすることが可能になるのです。

社内での連絡ミスが多い

営業担当者は外出していることが多いので、事務の人が電話を受け担当者に伝言することも頻繁にあります。

その場合内容が確実に伝わらないと、顧客に迷惑をかけることになります。

二度三度とミスが重なれば、せっかくの顧客を失うことになります。

社内での連絡ミスを防ぐためには、連絡のあった顧客の台帳を作成すること。

問い合わせ等があった場合に、名前・電話番号・メールアドレス・問い合わせや対応内容を時系列で記載しておきます。

これにより次に連絡があった場合に担当者でなくても内容を把握でき、顧客に迷惑をかけることは少なくなるでしょう。

契約の更新手続きが大変

入居者の契約更新をする際には、台帳から対象のファイルを探し出し契約書を取り出します。

契約期間などを確認し更新料などを計算し、契約書を作成します。

その後入居者の署名捺印と更新料を支払ってもらうので、大きな手間がかかることになります。

入居者をデータベースで管理すれば、更新者を探す作業は低減されます。

部屋番号・名義人・生年月日・年齢・世帯人数・同居者・家賃・共益費・敷金・契約日・変更契約日・入居日・居住年数・電話番号・勤務先・保証人などを一覧表 で管理します。

これらの中から契約更新に必要な事項を取り出せるプログラムを作っておけば、労力と手間が低減できます。

【入居者データ例】

不動産管理,効率化
また一歩すすんでインターネット上で、更新契約書への署名や更新料のオンライン決済などができれば、さらに効率化が推進できます。

クレーム処理が多い

不動産管理では、業務の半分がクレームといっても過言ではありません。

クレームの内容は、騒音やごみ出しに関する苦情や、建物・設備の不良など、多岐にわたります。

クレーム処理は初期の対応が遅れると、大きな問題に発展しかねません。

クレーム処理は受けた人だけでなく、ほかの社員と情報を共有する必要があり、すべての人が分かるようにしておかねばなりません。

そのためにはクレーム履歴をデータベースで管理し、社員間で共有しておく必要があります。

これによりたとえ担当者が不在でも、クレームについては事務所員の誰もが入居者と話し合うことが可能になります。

家賃の督促が大変

不動産管理で避けて通れないのが家賃の滞納ですが、督促には時間と手間がかかります。

滞納者に電話をしても出ず、仕事をしている人は夜遅くならないと帰らないなど、なかなか連絡が取れません。

「1ヵ月ぐらいなら」などと考えていると、2ヵ月経っても支払ってくれません。

このように家賃滞納は時間と労力がかかるだけでなく、ストレスも溜まり、裁判ともなるとさらに大変なことになります。

家賃の支払いを振込にしておくと、支払い忘れや支払い不能が起きる原因となります。

スムーズに家賃の回収を行うためには、口座振替や保証会社の収納代行などを積極的に活用していきましょう。

これにより家賃回収の効率化を進められます。

建物管理での業務効率化

建物は年数を経ると、あちこちに不具合が発生したり、設備の故障が起きたりするようになります。

場当たり的な補修をしていると、多額の費用が掛かり補修のための日数もかかることになります。

したがって建物や設備の管理についても、業務の効率化を図る必要があります。

日常の清掃業務

マンションやアパートについては、エントランスや階段・エレベーターなどの共用部分の清掃業務があります。

これがきちんと行われていないと入居者は快適に住むことができませんし、建物の寿命も短くなってしまいます。

作業員によって清掃が行き届かない部分があったり、作業にむらがあったり、担当が変わると一から教えなければならないことも。

清掃業務において業務の効率化を図るには、マニュアルを作成すること。

汚れやすい場所や集中的に掃除をする場所を明確化し、毎日行う清掃と毎週行う清掃・毎月行う清掃など分ける必要があります。

清掃業務は建物管理の中でも重要な業務、掃除の内容も手順や範囲・時間などをマニュアル化するようにしましょう。

これにより入居者の定着率が向上し、建物の資産価値を長期間保つことも可能になります。

通常のメンテナンス

入居者からは、共有スペースの照明がつかない・水漏れが止まらない・ブレーカーが落ちるなどの様々なトラブルの連絡があります。

連絡があった時あわてて駆け付けるのでは効率が悪いだけでなく、入居者に身の危険が及ぶようなことも。

ガスや水道などのライフラインに関わる部分や、照明の交換などについては、あらかじめ交換時期や修繕時期をデータで管理する必要があります。

これらの業務をデータ管理し、適時メンテナンスをしておけば、場当たり的な仕事を減らすことが可能になります。

法定点検

建築基準法や消防法、電気事業法などで、建物の点検は定期的に行うことが定められています。

たとえば、消防用設備については6ヵ月に一度点検し3年ごとに消防署に報告しないと、30万円以下の罰金や拘留に処せられます。

法定点検を行わなければならない設備は様々ありますが、一例として次のようなものがあります。

点検内容 目的 対象物
消防設備点検 入居者の生命と建物を守る 消火器・屋内消火栓・スプリンクラー・自動火災報知・避難器具・誘導灯など
エレベーター点検 入居者の命を守る 安全装置やワイーヤーロープなど
防水槽清掃・専用水道検査 飲料水を清潔・安全に 貯水槽・高架水槽の清掃・遊離残量塩素等の水質検査
建築設備点検 建物が適切に管理されているか 換気設備・排煙設備・非常照明・給水設備・排水設備など

法定点検は建物や設備を長持ちさせるだけでなく、入居者の安全を守るためにも必要なこと。

これらの管理をきちんと行わないと、点検の時期を逸することもあり得ます。

点検時機を逸しないためには、すべての法定点検項目をデータベースで管理する必要があります。

これにより費用や時間を省き、業務の効率化が実現可能になるでしょう。

まとめ

不動産管理会社の業務で、効率化できる部分は多くあります。

業務の効率化を図り、無駄な時間を削減し営業できる時間を増やせれば、会社の業績は上がります。
その結果、社員の給与も増え、オーナーは安心して管理を任せられ、入居者は快適な生活を営むことができるでしょう。

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