重説で必須!「水害ハザードマップ」における所在地説明のルールと最新の調査方法

重説で必須!「水害ハザードマップ」における所在地説明のルールと最新の調査方法

不動産の売買や貸借の契約前に行う「重要事項説明」において、近年特に気をつけなければならないのが「水害ハザードマップ(つまり洪水や高潮などの水害リスクと避難所の情報が書かれた地図のこと)」を用いた所在地説明です。

「マップを見せるだけでいいの?」「古いマップでも大丈夫?」と疑問に思う新人営業マンも多いかもしれません。

この記事では、宅建業法(つまり不動産取引のルールを定めた法律のこと)に基づく水害ハザードマップの説明ルールや最新の調査方法について、法律の知識がない初心者でもスッと理解できるように、日常の出来事に例えながらわかりやすく解説します。

結論:水害ハザードマップの説明とは、お客様に物件の「現在地」と「水害リスク」をマップ上で指差して教えること

結論から言いますと、水害ハザードマップの説明とは、大きな遊園地の入り口でパンフレットを広げて「今ここ(現在地)にいて、このエリアは濡れるアトラクションがありますよ」と指差して教えてあげるようなものです。

取引の対象となる宅地や建物の位置を含む水害ハザードマップを提示し、その物件の概ねの位置を示すことが、不動産会社に義務付けられています。

具体的な説明ルールと対象となる3つの水害

宅建業法のルールでは、売買・交換・貸借のすべての取引において水害ハザードマップの提示と所在地の説明が必要です。

洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示する

水害と一口に言っても原因は様々です。法律では「洪水」「内水(つまり大雨で下水道や水路から水があふれること)」「高潮」の3つについて、水防法に基づき作成されたハザードマップをそれぞれ提示し、物件のおおよその位置を示すこととされています。

記載内容の詳しい解説までは義務ではない

注意したいのは、不動産会社が「このエリアは〇メートルの浸水リスクがあり、過去にこのような被害が起きた」といった、マップに記載されている内容の詳しい説明まで行う義務はないということです

遊園地の案内スタッフが「ここが現在地です」と教えるのが義務であり、「このアトラクションの仕組みは〜」と専門的なことまで語らなくても良いのと同じです。

【実践編】最新のハザードマップの調査・入手法

では、説明に使うマップはどのように準備すればよいのでしょうか。

市町村の窓口やホームページで「最新版」を入手する

ルールでは、物件がある市町村が配布している印刷物、またはホームページに掲載されているものを印刷して使うこととされています。

電磁的方法(つまりテレビ会議などを利用したオンラインでの重要事項説明のこと)で提供する場合は、ホームページ等からダウンロードしたデータの提示でも問題ありません。

重要なのは、市町村のホームページ等を確認し入手可能な「最新のもの」を用いることです。

去年のパンフレットを見せたら、新しいアトラクションが載っていなくてトラブルになるのと同じように、ハザードマップも随時更新されているため、契約の直前に最新版を確認する必要があります。

マップが作成されていない・見つからない場合の対処法

自治体によっては、内水や高潮のマップをまだ作っていないケースがあります。

市町村に照会して、水害ハザードマップの全部または一部を作成していない、もしくは配布や掲載をしていないことが確認できた場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになります。

この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨をお客様に説明する必要があります。

避難所の案内と「誤認防止」のワンポイントアドバイス

法律上の直接の義務ではありませんが、国土交通省の解釈・運用の考え方(つまり法律の詳しい運用方針を示したルールのこと)では、以下の点に配慮することが望ましいとされています。

  • 水害時の避難に関する情報を提供するため、マップ上に記載された「避難所」の位置もあわせて示すこと。
  • 浸水想定区域に入っていないからといって、水害リスクが全くないとお客様が勘違い(誤認)しないように配慮すること。
  • マップに記載されている内容は将来変更される場合があることを補足すること。

水害ハザードマップ説明ルールが存在するメリット・デメリット

このルールが存在することには、次のような意味があります。

項目内容
メリットお客様が事前に水害リスクを把握できるため、大雨や台風の際に命を守る行動をとりやすくなるという大きな得があります。また、不動産会社にとっても「そんなリスクは聞いていない!」という購入後や入居後のクレームや裁判トラブルを未然に防ぐことができます。
デメリット不動産会社は、物件ごとに3種類の水害マップの最新版を調べ、市町村に確認する手間と時間がかかります。調査漏れや古いマップを使ってしまうと、宅建業法違反としてペナルティを受けるリスクがあります。

まとめ

重要事項説明における水害ハザードマップの所在地説明ルールについて解説しました。重要なポイントを箇条書きで振り返りましょう。

  • 物件の所在地を、水害ハザードマップ上で指差して教える義務がある。
  • マップは「洪水」「内水」「高潮」の3種類をそれぞれ確認・提示する。
  • 常に市町村のホームページ等で「最新版」を入手して使用する。
  • マップがない場合は、市町村に確認した上で「存在しない」と説明する。
  • 避難所の位置もあわせて教え、リスクがないと勘違いさせない配慮が望ましい。

水害ハザードマップの説明は、お客様の命と財産を守るための非常に重要な業務です。不動産業に従事する皆様は、日頃から担当エリアの最新マップをチェックし、安心・安全な不動産取引をサポートできるよう心がけましょう。

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免責事項

本記事は、「宅地建物取引業法」および国土交通省の「解釈・運用の考え方」の概要を、実務に携わる方向けに分かりやすく要約・解説したものです。正確な情報提供に努めておりますが、法令の厳密な定義や例外規定をすべて網羅しているわけではありません。最終的な法解釈や、お客様との個別具体的な取引における適法性のご判断につきましては、ご自身の責任において法令の原文を直接ご確認いただくか、行政機関・弁護士等の専門家へご相談いただきますようお願いいたします。

監修者情報

ミカタ株式会社 代表取締役 荒川 竜介
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